「9年やってきたからこそのタイミングで巡ってきたお仕事なのかなって思う瞬間もありました」
―そして昨年はAV活動以外も、さまざまなマルチな活動が目立っていて『野間文芸新人賞』に執筆小説『春、死なん』(講談社)がノミネートされましたね
「野間文芸は私にとっても憧れのものだったので、ノミネートされたことを聞いたときは嬉しくて、泣いてしまいました。本当に応援してくださる皆さんのおかげだと思っています」
―受賞は惜しくも逃してしまいましたが、小説のいちファンとしてこれからも作品を楽しみにしています!ほかAV以外で印象に残っているお仕事ってありました?
「レギュラー出演させていただいてるインターネット報道番組で『性産業は廃止すべきだ』と主張されている方と番組内で討論するお仕事があって、それが印象に残っています。面と向かって『廃止すべき』って言われる機会がなかったので、緊張してしまって。その人の主張が書いてある記事やこれまでの投稿をを読んだりして臨んだんですが、ずっとどきどきしてました」
―AV関係者にとっては無視できない主張です
「働く人たちの動機や労働環境も十人十色だから、どっちが正しいと断定はできないだろうし、私が思っている正義や、これまで見てきた環境や価値観とは違うんだろうなって思ってたんですけど…」
―人それぞれの考え方、正義があるとはいえ、それで生活をしていたり自分からそのお仕事を選んでやりがいを感じている人もたくさんいるわけですし…
「今までもSNSなどでアンチの人に否定的な意見を投げかけたりされることはあったんですけど、話すこともできないし一方通行な気がして。だからこそ、互いに存在確認ができて、きちんと対話できるのはすごくありがたいことでした。今回はたまたま巡ってきたお仕事で、私自身はAV界を代表する立場ではないですし、性産業というカテゴリーの一部にしか属していないわけですけど、やっぱり真っ向からお話するのってかなりカロリーを使いました。でも、デビューしてすぐの時にこういう意見を言われるのと、10年近く活動してきたこのタイミングで言われるのではやっぱり受け止め方も違うと思うので、その年数に合わせたお仕事があるのかなって強く感じる出来事でした」
―たしかに、まなちゃんがAV界代表で出ていっているように見えてしまうのですごく神経を使ったのでは…と、思います。私も勝手にそういう目で見てしまいました…
「今でよかったっていうか、今だからこその巡り合わせだったのかなって思って、私も改めてすごく考えさせられる機会になりました。実際は番組内での30~40分くらいの特集だったんですけど、衝撃的なのもあって番組終了後は、グッタリしちゃったんです…。私があまりにも性産業を肯定しすぎることで、却って誰かに嫌な思いをさせたり、違和感を抱かせてしまった部分もあっただろうし。特に印象に残っているのはこのお仕事で、それ以外はAV撮影も含めて柔らかいことや優しい瞬間が多かった1年でした」