ドラマ系AVが人気ですが、「どこまでドラマに徹底すればAVとして正しいのか」あえて考察しましょう!

ストーリーって重要?紙とテレビの話〜同じエロ素材でも別のストーリーと時間軸が流れているのです!?

アダルトビデオとは、その名の通り動画です。写真と動画の違いがあるとしたら、時間軸でストーリーラインが必ず動くか否かということ。写真の場合、見る人の動かし方ひとつで自由自在の時間とストーリーを作り出せます。たとえストーリーが用意されていたとしても、それを無視して再構築することは簡単……もとい、「お話を作るのが好きまたは上手な人ならば簡単」です。むしろ自分の思うようになること、停止するタイミングは自己都合なので、昔の人たちは「エロ本」を重宝していたわけです……昔じゃなくても、未だ重宝している人はいらっしゃると思います。

 

はたしてAVは動画なので、ストーリーがなくても自然にストーリーラインが構築される媒体です。人がA点からB点に移動すれば、ストーリーがなくてもストーリーを感じます。ましてや口説くセリフやら、キスやらすれば、それだけでお話になっているわけで、その流れに乗っかるほうが楽チンな快感を得られる(はずと信じてます、AVよ!笑)ので、自分の考えで動かすことはなくなるわけです。

 

そこぐらい至れる尽くせりだったからこそ、AVはエロ本を凌駕していった。エロ本だってページをそのまま見ていれば同じなのですが、じっくり活用することが多く、また何度も見ることも多く、1ページ目から最後までを順番に見るのは最初ぐらい。強者は最初から自分のページ進行で見たりします。そのような、「エロに対してポジティブ」な人がエロ本ユーザーだったと考えると、AVとは、「エロを受け身でとらえる」癖を作り出した感じがしますね。

 

草食系男子を生み出したのは、AVなのかもしれない(笑)

 

そんな受け身なオナニー(身も蓋もない言い方笑)を繰り広げるAV男子たちですが、流行がやはりあります。作品としての流行もあれば、女優ちゃんの流行もある。意外と単純ではなく、かなり細かいレンジで目まぐるしく流行が変化しているのです。

 

「巨乳が好きです!」なんてワードがweb上に踊ることも多く、「女の子のスタイル」とか、「エロさ加減」が重要だと思われていますけど、ハードだからずっと売れているなんてことがないのです。痴女系女優と言われる女の子だって、ラブラブな表情の作品が当たったりすることがあります。

 

理由があるとすれば、黎明期AVのように、エロ顔=痴女系、可憐な顔=清楚系のようにバチっとわけられることが、AV女優になくなったからでしょう。

 

「可愛い顔しているのに、予想に反してエロい」ではありません。そんなのはAVにとっては当たり前のことです。今の時代は、「こんなスケベでヤリマンなのに、純情そうな顔をして感じちゃっているよ、この女!」のほうが受けるし売れるのです。

 

「淫乱女の純情こそ最高のドキドキを感じる」というNTRが定番化したのが納得の、2回転ぐらいひねったエロ心理ですね、2020年のエロとは(笑)

「知ってる?ドラマAVが大人気なんだって!」と言われている昨今のAV状況

そして現在のAVでは、ドラマ系作品が人気が高いと言われています。ドラマ系といっても、Vシネやピンク映画並のストーリーがあるものもあれば、ちょっとしたストーリーテーマがあって、それに沿って流れが絡みで寸断されずに最初から最後まで続く作品など、さまざまです。この辺りが、AVが自由で良いところですね。何かにとらわれてしまい、逃げ場のなくなった迷作映画ってありますが、そうなる前にSEXできちんとした作品を構築することができるわけです。

 

SEXシーンだけあれば良いなんて、AVをなめすぎですよ(笑)上手な編集をしている作品は観ていて飽きないです。SEXシーンをそのポイントに使うなんて、AVをさらに進化させた高等テクニックです。おすすめAVとすればこれなんかいかがでしょうか。

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そして最近、AVではドラマ系AVがブレイクしているようです。ブレイクの理由として語られているのが、朝霧浄監督作品が当たったこと。監督の作品には男女がエロくなり夢中にSEXをするに至るスムーズなストーリーラインがあり、そこに女優たち、男優がのめり込んでいくことで、AV以上のエロさを匂わせ、映像から醸し出させ、売上にも反映される最高の作品となっていきました。

 

朝霧監督作品ブレイクきっかけのひとつであるのが、川上奈々美ちゃんとの作品なのですが、彼女は監督の作品に対して、興奮したことのみならず、内容の流れ、作品制作での現場指示など、あらゆる面をベタ褒め評価をしていました。AV女優として、「これはやった!」という達成感が残ったのでしょう。

 

しかし、その作品の真似することで、ドラマ系AVが増えたのではないようです。朝霧監督のドラマ性を帯びたオリジナリティーあるAVによって、ユーザーが感化されて、監督の作品を観て興奮を得る、さらにAVには必ずあるドラマ系AVを観ることの興奮を覚えた結果、ユーザーが増えた。それにメーカーリサーチが追いついて、ドラマ系AVはブレイクしたと思われます。

きっかけは朝霧監督作品かと思いますが、その後に関してはシンクロタイミングで起こった。「こういうのが興奮する」と朝霧監督が構築し続けていたAVに、出演した女優ちゃんたちが影響されて、ドラマ的な構造を伴うことの興奮がDVDから飛び出したのでしょう。たまにDVDから興奮がはみ出しているAVってあるんです。

 

ドラマのストーリーが影響したのか、展開に飲み込まれた女優たちが影響されたのか、それは観た人のみならず、出演者すらわからないかもしれません。売れる作品ってそういうものなんです。では現在のAVでなぜドラマ系が売れていくのかを検証してみたいと思います。

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「AVとは、誠か虚構か」を語る「愚」に気づいたユーザーと、気づかないユーザーがいる

「あれは本当に感じているんですか?」という、愚にもつかない質問をさせられたことは数多あります。仕事ですから聞かないといけないのですが、返事はもちろん、「はい。感じてます」ですから。質問時間の無駄と活字の無駄。もしくは、書けない返事をしてくれた女優ちゃんもいたりして、それはそれで時間の無駄(笑)

 

AVに限らず、SEXとは男女の虚虚実実。プライベートだろうがそれこそ、「本当に感じているのか?」とか、「本当に気持ちいいのだろうか?」という疑心暗鬼なわけです。それでも乗り越えるのが男女の仲と言ってしまえばそれまでですが、まぁそういうもの。

 

「お互いに気持ちいいと言っていることを、赤の他人がなぜ否定しなければならないの?」と、

 

「本当にごまかさないで気持ちいいなんてことがあり得るの?」

 

が対立概念として成立しちゃっていて、それを消すことができないのがSEXだったりします。

 

AVにおける否定概念としてのSEXもあって、「AVみたいなSEXをしていないから、僕らは幸せなSEXをしている」というパターンもあります。これこそ、「誰がその定義を決めたの?」という話でして、AVみたいなSEXが何を指しているのかわかりませんが、「演技的で大袈裟な喘ぎと悶えと、フィニッシュ」とするならば、それが大好きな女子も男子もいますから、「勝手に定義付けをするな」となります。

 

「SEXの虚実」なんてのがあるとするならば、「恋から覚めると見事に気持ちよさがなくなる」場合がありますよね。特に女子側は勃起概念ではないSEXがありますから、見事に覚めちゃう人がいるようです。男子は、勃起しちゃうと、好きとか可愛いとかどうでも良くなる人がほとんどなので(女子の方々、これはマジです笑)、その場合は、射精させた後に、好きとか嫌いを確認すると、快感からの油断もあって、思わず本音がピュッと発射しちゃいますよ(笑)

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AVは、約40年かけて、快楽刺激を盛り上げる装置として最高に機能的な存在になったわけです。なので、そんじょそこいらにいる、SEXのことなんか普段考えていない人たちの、浅い意見なぞ凌駕しちゃうほどによくできています。でもケンカしないで堪えているわけです。何かあった場合、必ず不利になる業界なのを知っているから。

 

SEXについて語ることと、AVについて語ることは、本当ならばまるでベクトルの違う話です。同じ目的を目指しているプレイならば同じベクトルでしょうけれど、愛情の獲得と、AVの内容を同じにしてもどうしようもない。小説や映画と同じような、いろいろな学習要素のひとつとして解釈するならばOKなのですが、それもひとつの意見にすぎないことを自覚してもらいたいわけです。

 

「AVに余計な思想を持ち込んで、ややこしくするな」……ややこしくしたい方々もいらっしゃいますから、それはそれで、私としては許容しておきますが、1ライターとしては、「それはいらない」と思っています。

 

思想的なことよりも、ドラマ要素だったりドキュメント的な雰囲気だっり、いくらでも興奮するものがありますから。

 

そして現状でドラマが受けるということは、「お芝居のなかにあるリアル」を感じる能力が高い人たちがいるということなのでしょう。ドラマとドキュメントが微妙なラインで進行している「TERRACE HOUSE」が未だに人気を得ている事実がそれを示しています。

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思いっきりクサいドラマを受け入れる女子がいる時代、AVのドラマを女子はどう観ている?

2020年の年明けにおいて、「このドラマは受けないだろう」という世間の下馬評を見事にひっくり返したドラがが、「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)でした。このところ、マンガ原作ドラマが当たりまくりのTBS系列ドラマですが、どれも共通しているのは、「成就しなそうで成就していく恋愛ドラマ」です。

 

最終的にはハッピーになってほしいわけです、主人公が。そこに自己投影している傾向も高めです。しかしながらリアルに自己投影というよりも、「主人公と同じような幸せな気分に浸りたい」ぐらいでしょうね。「勇者ちゃんみたいになりたい」なんてことは考えておらず、ドラマでいえば、主人公の周辺にいて応援する脇役たちの気分なのでしょう。

 

ドラマが受ける時代とは、「良い方向にすべてが転がっていく」ことを望んでいる時代です。特に上手くいく概念に乏しい昨今、そこに疫病が大流行したりすれば、現実世界は闇夜と同じでしょう。現実とドラマの切り替えすることが当たり前の令和の人間たち。だからこそ、「嘘くさくても、リアリティーが欠如していても、ドラマは望んでいる方向に転がってもらいたい!」わけですが、連続ドラマの場合、途中で逆に舵を切っても修復できるので、「精神的な揺れ」も楽しめるのでしょう。だから「恋つづ」は受けたわけです。

 

そんな女子たちですが、ドラマ系AVは観ているのでしょうか?

 

予定調和とかを通り越したほどの、「お約束展開」の連続は、90年代の昼帯ドラマを思い出すほどにわかりやすいのがAVのドラマストーリー。そして精神的に揺れて堕ちるのではなくて、「肉体的な快楽」で堕ちるのがAVですから、それに自己投影はできないでしょうね。女子だったり女子的な思考が強い男性は、ドラマAVは苦手だと思います。

 

「そんなに軽くないから!」という感じで(笑)

 

しかしながら、「堕ちる人間」が好きな人もいることは、ドキュメントなのかドラマなのかの狭間を走る「TERRACE HOUSE」の人気が証明しています。ということはドラマAVが好きな女子がいるということにもなる。

 

サンプル動画で満足している女子たちは、ほぼここに該当しているのでしょう。「堕ちる瞬間」と、「堕ちた後の哀れかつエロい姿」を観ることができれば満足なのですから。

 

AV業界的な現実を考えると、ドラマ系AVが流行しているときとは、男性的思考が高まっているときです。AV女優が堕ちる姿を見せるだけでなく、流れからストーリーだけでなく、その女の子がどうしてそうなっていくかなど、全てを含めて観たいわけです。そのなかで不幸せな快楽に身を委ね(NTRなんかそれ)、淫乱変態になってしまう姿を興奮する。そしてAV女優ちゃんに関しても、「この子は変態快楽を覚えてしまった子だ」みたいな感じで、見たりする興奮を覚えている。とても上から目線っぽいですが、それが「男性的思考」ということになるわけです。

 

補足しておきますと、女子向けAVは同じドラマでも真逆の思考で作られているので、似ているけれど、全く違うものです。受け入れるどころかハマる人はハマります。ドラマ系AVを敬遠しているような女子がいたら、女子向けAVを勧めると良いと思います。

 

そういえば、「これは向いている向いていない」などの、視聴的啓蒙行為は、AVの場合、広い層にアピールするわけじゃないので重要なのですが、業界的にやってない作業のひとつですね。課題のひとつかもしれません。

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脚本をおいてけぼりにしてしまったAVの罪は大きい!?

映像内の刺激的なアングルの発見や、キャスティングでいかに可愛い女子をAV女優にするかが最重要課題なのはAVに関わった人ならばわかります。それで作品が作られていき、AVを観ていくうちに一番欠落しているのは何かもすぐにわかります。

 

「脚本」です。作品を観ていると、プロットから即、撮影台本に飛んでいるのが丸分かりです。脚本として練られた感じがしない作品ばかりです。ドラマ系AVですら、そんな作品がありますから、その場で考えて進めたものもあるでしょうね。

 

初期VRが上手くいかなかった理由もこれがあると思います。VRの特性を、AVとして研究検証する時間が短すぎるということだったのでしょう。

 

SEXをポイントにしているから、実はストーリーの軸は簡単にできてしまうのがAVです。堕ちるタイミングをどこにするかとかですよね。キスだけで堕ちるとしたら、「どういうキスをすれば良いか」でけりがつきます。

 

精神的な動きを見せるほど、大変申し訳ありませんが、AV女優もAV男優も、そこまで演技やセリフなどが上手なわけではありませんし、専門的レッスンを受けていない人がほとんどですから、微妙な機微を伝えてることは不可能と断言します。エロさは伝わっているから十分なのですよ、作品としては。演技でくくると難しいというだけです。

本来ならば、それら素人さん演技をクリアするためにも、脚本を詰めるのが重要なのですが、時間的問題と予算的な問題から、1番お金をかけない部分が脚本になっていったのがAVです。SEXですら、そういう詰め方も可能だったはずですが、女優と男優のスキルに任せることでクリアしていき、その後は男優にお任せする状況になっていきます。

 

AVは、月に何本消化するかが鍵を握る「プログラムピクチャー」ですから、お任せできる部分があれば分担ではないけれどお任せして、現場プロフェッショナルを誕生させて作品を作り上げています。

 

想像力から誕生した作品は、ドラマであってもとても少ない。朝霧監督作品が受けたのは、脚本レベルの完成度が高いことによって、精神的に響く、心のち●こを勃起させたことが大きかったのでしょう。

 

制作予算とは、何かの不測の事態でもなければ、下がることあれど上がることは少ないです。売れない話が聞こえてくるAV業界であればなおさらでしょう。だから今後も脚本がクローズアップされて、予算が取られることはほとんどないでしょう。また脚本は、一番訴求力として見えづらいところでもあります。映画ですらわかりづらいのならば、眼目が違うAVではほとんど判別不能です。

 

しかしながら脚本がちゃんと練られていて、アドリブや現場のノリでで進んでいるのではない作品が定期的に登場しないと、AV業界の才能は廃れる一方だと思うのです。だってドラマ系AVは定期的に人気を得るという事実があるのだから。

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まとめ〜徹底的にドラマを作り出してAVとしても成立する作品が観たい

webのタグ付けがなされるようになってからですが、AVを監督で観ようとするコアな人が誕生しました。それぐらいにマニアにとって魅力のあるジャンルということですが、それまであまりその部分が語られなかったのは、やはり映画のように、「監督の作品」ではないからでしょう。監督たちも積極的にクレジットしない人が多かった。

 

最近は、ユーザー側が引っ張り出すことで、監督を語ることが増えています。「作品をパクろうとも、監督が違うから同じにならない」なんて言い方がされるわけです。そのぐらい、作品に自身を投影している作家性のある監督が、AVにも多数現れているわけです。

 

少数派でマニアックだった「監督論」や、「脚本論」ができるようになり、アカデミー賞のように賞することができる場ができるようになれば、世間の視点はまた違ったものに変わる可能性があります。あくまでも可能性レベルですけど(笑)

 

結論としては、「もっともっと、食い入るように観れるほどのドラマ性のあるAVが観たい」です。さらにいえば、女子を巻き込むほどのドラマ性があるAVもまた課題のひとつです。そうでないと、サブスクブームが去ったとき、AVが観られなくなる可能性が高いのです。「あっちのオプションはいらない」的なことは、オンデマンド・ケーブルテレビ界隈ではとっくにあった話。最初は人気があったのに、いつの間にか解約する人が増えてしまっているのです。

 

そりゃあ、AVのモザイクを大きくして、時間で垂れ流しするだけならば、誰だって飽きて観なくなりますよ。オンデマンド・ケーブル業界のみなさん!

 

翻って、AV業界ですが、別に新機軸とか新しい刺激とかが必要というよりも、脚本や映像も含めて、ちゃんと整理された映像作品を作ることが今後必要でしょう。ギラギラと刺激的な作品ならば余裕で作れる能力があるのだから、キラキラして整理されて残るものを作ることを考える状況かもしれません。逼迫しているからさらに必要なのかもしれません。

 

結論!「どこまでも徹底的に、泣けたり笑ったり、最後はちゃんと抜けて、感動するようなAVが観たいです!」