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ミルジェネソニック!とは何なのか!?
「セクシー女優が歌を歌う」という状況は、ここ数年、当たり前のことになってきました。アイドル活動=歌という、世の中の考え方がありますし、至極当然な流れでしょう。しかし、実際に活動しているアイドルたちには、目標や目的があって、「アイドルとして歌を歌っている」側面があります。そういう意味では、セクシー女優たちは達成している。それなのになお、歌を歌わなければならないのでしょう。
自己顕示欲や、人前で歌うことをやってみたかったことの実現、さらなるファン層の獲得など、それぞれに意味や目的があるわけです。最大の目的は、「歌う理由があるから」ではないでしょうか。
9月25日、東京・新宿歌舞伎町にあるライブハウスとしては大箱として知られる、「新宿BLAZE」で開催された『ミルジェネソニック!2019』。
セクシー女優のオリジナル楽曲のCDレーベル『ミルキーポップジェネレーション()・通称ミルジェネ』は、毎月、『ミルジェネプレミアムライブ』と、『美女と野獣』というライブを開催しています。そのミルジェネが主催する年に一度の大きなライブイベントなのです。
ミルジェネのライブは、「生バンド」が基本ポイント。難しそうと尻込みする女優さんもいるのですが、実はバンドのほうが歌を歌う意味では簡単です。自分の変化についてきてくれるからです。歌ってみるとよく分かりますよ。轟音であればあるほど、歌が上手に聴こえ、気分がいいです。
それでは、9月25日『ミルジェネソニック!2019』に出演したメンバーをあいうえお順(敬称略)にてご紹介しましょう。
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MCには、神咲詩織ちゃんと、シンガーソングライターであり、ピアニストであり、バンド「Gen & F. Trinoski」のボーカルである平方元さんという、『美女と野獣』ライブで、素晴らしいハーモニーを歌い奏でる2人が担当。もちろん、ライブプログラムに『美女と野獣』コーナーがあり、2人も歌ってくれました。
それぞれに歌手活動を行なっているメンバーたち。ミルジェネからCDを出している阿部乃みくちゃんと希島あいりちゃん。
主催から対バンまで、あらゆるライブに出演しているAMATSUKAちゃんに、たくさんのアイドルライブイベントに出演して、活動域を拡げる篠宮ゆりちゃん。
恵比寿マスカッツメンバーであり、アイドル活動にも勤しむ羽咲みはるちゃんと桜もこちゃん。もこちゃんは、アイドルユニット『HONEY POPCORN』のメンバーでもあります。
独自の活動のなかで、「歌を歌いたい!」となり、ミルジェネプレミアムライブに初出演して話題を呼びミルジェネでは2度目となる戸田真琴ちゃん。
ミルジェネと同じぐらいの活動を誇り、数多のメンバーを輩出してきたセクシーアイドルユニット『マシュマロ3d+』のリーダーである水嶋アリスさんは、今回のライブがソロ初挑戦です。
ミルジェネでは、バンドと出演者のリハーサルが行われますが、ミルジェネが誇る、バンドメンバーは、それぞれが人気が高いミュージシャンがゆえにリハーサルもライブ前日に合わせるスケジュールでした。そんなところに、これまた忙しい仕事の合間を縫って「やりたいです!」と参加希望してきたメンバーもいました。
女の子たち中心のライブではあるけれど、彼女たちの歌声の埋没ギリギリまで、楽器隊は自己主張をしてくれます。デカいだけでなく抑えるところは抑え、限りなく歌を聴いて、表現してくれています。それを可能とする凄腕ミュージシャンたちによる贅沢編成なのです。
だから、ミルジェネライブをひと言で現すと、「リアリティ」です。彼女たちのパフォーマンスはダイレクトに、客席に届きます。カラオケライブだって可能ですが、音圧が違ってきますよね。リアルに、「しびれる」わけです。メリットやら素晴らしさを、運営側が書こうともそれを判断するのはファンなので、これくらいにしておきましょう。
925開催!ミルジェネソニック!2019の熱く可愛くセクシーでパワフルなパフォーマンス
8組がそれぞれ2曲ずつ披露するのですが、1曲ごとに交代していく形式にしました。お仕事の事情で来れないファンでも、「間に合う!」ということがありますので、プログラムされました。
当日のセトリはこちらになります。
OVERTURE〜出演者ランウェイ〜Welcome To The Jungle/Guns N’ Roses
【前半】
AMATSUKA
01.innocent Angel/AMATSUKA
希島あいり
02.あゝ無情/アン・ルイス
阿部乃みく
03.reach for the sky/阿部乃みく
羽咲みはる
04.ロマンティック浮かれモード/藤本美貴
戸田真琴
05.透明人間/東京事変
桜もこ
06.星間飛行/ランカ・リー
水嶋アリス
07.大声ダイヤモンド/AKB48
篠宮ゆり
08.乙女の1.2.3/篠宮ゆり
【後半】
美女と野獣(平方元&神咲詩織)
09.ディズニーメドレー
神咲詩織
10.闇夜のきらり達/神咲詩織
11.戸田真琴
Re:Re:Love/大森靖子feat.峯田和伸
桜もこ
12.カレンダーガール/わか・ふうり・すなお from STAR☆ANIS
水嶋アリス
13.サラバ、愛しき悲しみたちよ/ももくろクローバーZ
篠宮ゆり
14.fancy baby doll/田村ゆかり
希島あいり
15.この世界で/希島あいり
羽咲みはる
16.スキちゃん/スマイレージ
AMATSUKA
17.明日も/SHISHAMO
阿部乃みく
18.叫べ!/阿部乃みく
全員歌唱
小さな恋のうた/MONGOL800
どうでしょうか。それぞれに個性を発揮しまくりな選曲です。オリジナル楽曲を持っている人もいますから、オリジナルのみで攻めた人。オリジナルとカバーを混ぜて、表現を変化させた人。カバーでも、アニソンだったり、J-ロックだったり、昭和歌謡ロックもあり。アイドルでは、ハロプロ、AKB、ももクロと贅沢波状の攻撃ライブでした。
誰がどういう楽曲を選ぶかで、その子の個性がはっきりと分かることでしょう。
ラストを飾った『小さな恋のうた』は、バンド紹介からのソロプレイがあり、そしてエンディングまでずっと手をあげて歌い続けるファンたち。素敵な大団円となり、ライブは終了しました。
難曲ぞろいのセトリをこなした、それぞれ神テクの持ち主であり、現在の音楽シーンで活躍中の、ミルジェネソニックバンドメンバーは、こちらの5名です。「この人、あのアーティストのライブで観た!」なんてことが絶対にありますからご確認くださいませ。
Gt&bandmaster 二木元太郎
Ba 櫻井陸来
Key 長﨑祥子
Cho 曽根由希江
Dr 早川誠一郎
それぞれの個性、それぞれの伝えたいことを感じるのがライブの醍醐味
阿部乃みくちゃん。
努力家、人一倍歌を聴いて、自分を仕上げていく人。でも周囲の音もちゃんと聴いて、バンドとの呼吸感が一番な人。「歌はカラオケで歌っても上手にならなくて、歌を聴くことが1番大事」と伝えたことがあるのですが、それをずっと実践してくれている人。ライブ進行や他のメンバーにも優しい人。トリを任せたことには、こういう理由があるのです。そして最高のエンディングを作り上げてくれました。
AMATSUKAこと天使もえちゃん。
ソロライブ回数は1番多い人。自分の歌い方、表現力をきちんと持っている人。ファンとのつながりはみんな大事ですけど、「一緒に歌って騒ごうよ」という主張が見えてくる人。常に上を目指している人。トップバッターを務めてもらった理由は、「彼女こそ、ライブのエネルギーをスタートからトップギアに入れてくれる」と信じていたから選びました。全員歌唱の「小さな恋のうた」のパート分けは、Pでしたけど、「このほうがみんなで歌っているようになります」と、フォーメーションを考えてくれたのは、AMATSUKAその人です。音を考えている人ですね。
羽咲みはるちゃん。
完成度の高いハロプロを歌わせたら、セクシー女優以外の、普通のアイドルたちのなかに入れても、最高水準を出してくれるパフォーマンス完成度の高さを誇る超アイドル。ステージから見えるファンを、隅から隅までチェックし、自分のファンのみならず、他の推しで来ているファンにも感動と一体感を与えてくれる、アイドルなるべくしてアイドルなうさちゃんです。
希島あいりちゃん。
努力家であり負けず嫌いであり、ステージを見せることは、「ファンが楽しんでくれること」に重きを置いている人。何かしらのアイデアを出してくれて、毎回のライブが、前よりも何かしらアップしているのです。今回は、Youtubeで観たという、アン・ルイスとバックバンドのパフォーマンスを取り入れたり、ギターメーカー『ダン・エレクトロ』のエンドーサー(メーカーから認められたギタリスト)として、ストロークプレイでかき鳴らして、ライブを盛り上げてくれました。
桜もこちゃん。
喋り方はへにょへにょしていて、可愛らしいもこちゃんですが、歌となると全く違ってきます。力強さとエネルギーが放射され続けるステージングを見せてくれる。歌声もしっかりしていて、教えたことを全て吸収していく素直な人。「エンディングはジャンプして、バンドを止めてください」と言ったら、「Youtubeで検索したけど無くて……」と、天然っぷりもちゃんと発揮してくれる。今ではバンドとのコラボをとても楽しんでいる1人です。
篠宮ゆりちゃん。
熱心なアイドル活動を続けているしのみーですが、「最初はステージに立つのが本当に嫌だった」と今でも言ったりするタイプ。ところがステージ上では、可愛くて仕方がないほどの、超アイドルパフォーマンスを展開します。彼女は、音感が優れてまして、モニターから聴こえる自分の声よりも、「バックの音さえあれば歌えます」という歌が、完全に自分の体に入っている人。ミルジェネのライブで、ファンのリフトが見られたのはしのみーのパフォーマンスのみ。ファンと培われた一体感を、ミルジェネでは、バンドと表現してくれているのです。
戸田真琴ちゃん。
「歌もやりたいんです!」と貪欲な姿勢を見せてくれる吸収力と放射力の塊という太陽のようなまこりん。選曲してくる楽曲も、椎名林檎(この日は東京事変)や、大森靖子と、あきらかに、「日常から音楽を楽しんで聴いてる」姿が想像できる歌を選曲してきます。そして可愛らしさをたっぷりアピールするステージングは、小さい体をめいっぱい動かして、弾みまくります。映画監督に初挑戦してた彼女は、映画ファンとしても有名です。ステージにおける演技的歌唱表現では、飛び抜けて説得力があるまこりんです。
水嶋アリスちゃん。
先ほども書いたように、『マシュマロ3d+』のマシュマロ☆ソーダであり、同グループのリーダー。マシュマロのMCタイムでは天然キャラを炸裂させているのですが、この日は、複数アイドルユニットの楽曲を、1人で全力パフォーマンスしてくれました。努力の結果がステージに溢れ出しており、彼女のファンのみならず、他のファンに、「感激しました!」と言わせてました。AV女優ファンには、AKBGやモノノフ(ももクロファン)を見てきた人が多く、選曲も含めて彼女は初ソロステージに勝利を収めました。それは、忙しい最中に、かなりの練習を積み上げてきたことの証明でしょう。
ライブイベント『美女と野獣』プログラムとは、グランドピアノ、歌とコーラスだけで作り出す内容です。今回はエレピを使用してのパフォーマンスとなりましたが、バンドの轟音の後に、会場に響き渡る美しいハーモニー。現役アーティスト・平方さんが、「かみしおとは、何層にも音を積み上げることができる」と言っていた歌唱力を持つ神咲詩織ちゃん。今年いっぱいでAV女優引退を表明している彼女ですが、歌手活動は引き続き行うとのこと。これまでとは違った表現で、ファンを楽しませてくれることでしょう。オリジナル楽曲『闇夜のきらり達』は、AV女優たちのことを歌った作詞作曲した楽曲です。それがどれほどのリアリティーを持っているのかは、聴いたAV女優たちが涙していたことが物語っているでしょう。
ミルジェネに出演して新しい表現力をエネルギーにしていくセクシー女優たち
「AV女優はアダルトビデオに出てこそAV女優である」ことを、このステージに上がっているメンバーは全く否定しません。歌手活動などを行うと、「本当はそっちがやりたかったんだろう」と、上から目線で言われる方々がSNSなどに闊歩してますが、子どもの頃にやりたかったことをやれている人が、どれだけいるのかを考えると、ただのやっかみです(笑)
AV女優だからこそ、ある程度以上の人気の見込みが計算されて、ミルジェネライブも企画され毎月ライブが開催されています。ところが、ライブパフォーマンスが1mmでも劣っていたら、「やっぱりAV女優だからねぇ」と言われていしまう諸刃の剣でもあります。普通のアイドルと違い、「AVじゃないことをやるマイナスな目線」が払拭できません。AVファンにもいることでしょう。
普通のシンガーやアイドルを目指している女子たち以上に、「やる以上は恥ずかしいお遊戯会はできない」と突きつけられています。
セクシー女優の歌のイベントは、数々、開催されるようになりました。そのなかで、彼女たちが、どのような表現をするのかは、本来、彼女たちの自由だし、どのように楽しむのかはファンの自由です。だからこそ狭いカテゴリーに収まるならば、ライブに未来は見えません。
ただエロいだけの表現では、立ちゆかなくなってきつつあるAV業界において、セクシー女優が歌うライブイベントとは、「今まで以上の表現力と説得力を得る場所」として、彼女たちが、もがき葛藤し続ける場所なのでしょう。
上手くいって喜び、失敗して悲しみ、声援に励まされ、自分自身が何者なのかをリアルに感じさせて場所として機能する「ミルジェネライブ」。今回の『ミルジェネソニック!2019』出演者の歌とパフォーマンスは、もっと世間の荒波に揉まれてもいいでしょうし、もっと評価が高くて良いと思います。AVは、記録メディアに刻まれただけのものではなく、そこから実態として飛び出している存在だからこそ。
10月30日は、『ミルジェネプレミアムライブVol.12』が開催します。
阿部乃みくちゃん、戸田真琴ちゃん。そして琥珀うたさんが登場します。
10月21日は、『美女と野獣Vol.25』が今回のライブと同じ、神咲詩織さんが登場します。
11月21日は、『ミルジェネプレムアムライブVol.13』が開催します。
AMATSUKA、希島あいりちゃん、枢木あおいちゃんが登場します。
「ライブは1回1回が記憶に刻まれるリアルな時間です。各ライブそれぞれ、チケット発売中なので、ぜひ一度、会場でお会いしましょう。ミルジェネ二代目プロデューサーあん様こと、麻雅庵より」
執筆=麻雅庵(https://twitter.com/an_asaga_otft)