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数年前、東京都小金井市で、アイドルがファンに刺される、という事件があったのを覚えていますか?
刺した動機について、容疑者は「声をかけたところ、無視して電話をするふりをしたので刺した」と供述していたそうです。
また、当日だけに限らず、犯人はSNSに嫌がらせの書き込みを何度もしていました。
そういった事から今回は、いわゆる「ストーカーによる殺人未遂事件」となりました。
それにしても、以前は熱烈なファンであり、「好きだ」と言ってくれていた人が、いつの間にか『憎悪』という感情を抱くようになるのですから、人の愛情とは本当に不思議なものです。
それも、心の中で葛藤しているだけならまだしも、実際に嫌がらせを行い、殺意まで抱くようになった挙句、現実に行動に移してしまうのですから、大変恐ろしいことです。
今回のような事件に至らなかったとしても、ストーカーが犯罪なのは、現代では誰もが認識している事かと思います。
しかし、皆さん、心のどこかで自分には全く関係の無い話だと、思っていませんか?
実際はそんな事はなく、世の中の誰しもが被害者になる可能性もあれば、加害者になる可能性もあるのです。
今回はそんな、「ストーカーとは自分は無縁だ」と思っている皆様に、『愛情が憎悪に変わるスイッチ』とはどこにあるのか?
また、その正体についてお伝えしたいと思います。
『愛が憎悪に変わる時⁉ストーカースイッチはどこにあるのか?』
ストーカーになってしまう人の心理を、一緒に勉強して行きましょう。
ストーカーの心理メカニズムとは?
ストーカーは犯罪ですが、その前段階として、疾患性(しっかんせい)の側面があるそうです。
疾患性とは、相手に対する過剰な関心と、反応をほしがる禁断症状です。
これは、恋愛以外にも起きるもので、親子、友人間、上司部下、ご近所、医師と患者など、あらゆる関係で発生します。
また、反応をほしがる欲求が禁断症状にまで到達すると、「自分のことを愛してくれなくて良いから、反応だけはして欲しい」というものになります。
最初の感情としては、「愛されたい」とか「仲良くしたい」などの好意的なものだったのに、この禁断症状がエスカレートしていくにしたがって、その好意が暴走してしまいます。
すると、禁断症状の痛みが膨れ上がり、その結果、
「この痛みを与えているのはあいつだ。復讐せねばならない」という風に変化します。
こういった思い込みの強さにより、自分の行動制御が不可能になります。(「ツイッターのブロックや着信拒否をするのは危険」ストーカー相談の専門家に聞く 弁護士ドットコムニュース 05月27日より)
ストーカー 5つのタイプとは?
ストーカースイッチの事を勉強する前に、まずは、一般的なストーカーについての認識を深めましょう。
一言で、『ストーカー』と言ってもその種類は様々ですが、分類すると5つのタイプに分けることが出来ます。
以下、その5つです。
これらに共通しているのは恋愛妄想があるということです。
1・イノセント・タイプ
被害者とは何も交流がなく、ストーカーが一方的に思いを募らせてつけ回します。
被害者は、誰がストーカーなのかを知らないこともあります。
このタイプは男性が多いようです。
2・挫折愛タイプ
ストーカーの典型的なタイプです。
別れたあと、相手に翻意を求めてつきまとい始めます。
このタイプは求愛だけでなく、
時には攻撃性が加わり、傷害や強姦、殺人事件に至ることもあります。
3・破婚タイプ
一方の意志で婚姻関係を解消した際に生じる。
粗暴な性格の人が多く、婚姻中はDVなどが見られます。
2人の関係が密だった分、愛憎の葛藤も深刻で、殺人事件に至ることもあります。
4・スター・ストーカー
アイドル、女優などの芸能人や、政治家、学者などの有名人を対象とするストーカーです。
自分を認知してほしくて接近します。
元々はその有名人の熱狂的なファンであることが多いです。
5・エグゼクティブ・ストーカー
医師や弁護士など、社会的地位があり、他人の話を聞き、よく相談に乗ってくれる人、対人的な仕事をしてくれる人を対象とします。
自分勝手な幻想を抱いてつきまといます。
ストーカーの心理で共通しているのは、甘えと攻撃です。
他人との適切な関係が築けず、心理的に未熟なまま成長したために、他人を思いやるのが苦手で、相手の拒絶に対しては敏感に反応します。
特に現代版のストーカーは、以前の好意や愛情を一挙に逆転させて、憎悪と攻撃をむき出しにしていく傾向があるようです。
(出典元:「面白いほどよくわかる!犯罪心理学:心の問題について心理学の観点から解決に導く」著者:内山絢子)
ストーカースイッチの正体はこれ!カタストロフィー理論とは?
ストーカーの心理メカニズムも、その種類も分かりましたが、そのスイッチは結局どこにあって、どういった時に入れ替えられるのでしょうか?
「イラスト図解 わかる!使える! はじめての心理学」によると、とある以下の理論が当てはまるようです。
【カタストロフィー理論】
心理学でいう「カタストロフィー理論」とは、緊張状態から急下降し、悲劇的な結末を迎えることです。
この場合、愛と憎しみのように相反する感情が突然入れ替わることです。
この本の例で説明すると、恋人から、何の前触れもなく、突然の別れを告げられた人が受ける大きなショックが、憎悪に変わるスイッチになります。
この時の感情を矢印で説明すると、以下の流れになります。
★相手から突然別れを告げられる→まだ好き→納得が出来ず反発!
<カタストロフィー理論発生>→ストーカーになる恐れ
ちなみに、この時に『カタストロフィー理論』が起きないために、別れを告げる方が気を付けられることがあります。
それは、可能な限り、お互いに納得して別れるような仕組みを作ることです。具体的にはこちらです。
『カタストロフィー理論』発生への回避法~相手と別れたい場合に~
①サインを出す
デートの約束を入れない、連絡の頻度を落とす、相性が悪いと遠回しに伝えるなどのサインを意識的に相手に送ります。
②直接会う
直接会って別れの意思を伝えた方が、相手は現実を受け止めやすくなります。
また、別れ話の際に気をつけた方が良い、NG事項が以下です。
【NG事項】
×別れ話を電話で済ます
相手が目の前にいない場合、現実をうけとめられず、悲しみや怒りがわきます。
×別れ話をメールで済ます
フる方が一方的に別れを告げる印象が強まり、相手の攻撃衝動が起こる恐れがあります。
別れを告げる場合は、以上のことに気を付けて、相手のストーカースイッチを押さないようにしましょう。
ポイントは、「離れたい」という自分の気持ちを、一気にではなく徐々に伝える、という事です。
自分がストーカーにならない為にはどうすれば良い?
片思いに悩んだり、失恋したりした場合の『愛の暴走』対策として、一人で抱え込まないで、「誰かに話を聞いてもらったほうがいい」ということがあります。
私も、恋に悩んだ時や失恋した時には心を許せる友人に話しては気を紛らわせております。
自分の失恋エピソードを人に話すのは、羞恥心が0なわけではないのですが、笑えるレベルの段階でネタにしてしまえば、一つの話題として浄化されます。
しかし、恋愛の悩みを他人に話すことが苦手な人もいるかと思います。
特に男性は、プライドが高く恋愛の話をする習慣のない人が多いため、自分が振られた事など出来るだけ人に話したくないのかもしれません。
ですが、そんな風に殻に閉じこもり気味の男性にこそ、他人に打ち明けてみることをお勧めします。
女友達どころか男友達ですら話す人が居ない…そんな方の場合は、相手はカウンセラーでも、キャバクラでもテレクラでも構いません。
見ず知らずの他人に話すなんて…!
と抵抗があるかもしれませんが、とにかく一度騙されたと思って話をしてみてください。
すると、その瞬間、それだけで心が軽くなります。
私の経験上、この時点では持続性はあまり期待出来ないのですが即効性は効果抜群です。
おまけ〜可愛い過ぎると食べちゃいたくなるのはなぜ?
時々、可愛すぎるペットや赤ちゃん、または大好きな彼女に対して「可愛い!!可愛いすぎて食べてしまいたい!」という感情に支配される人がいます。
これは、何故なのでしょうか?
すごく可愛いものをみると、ついつい食べてしまい!と思ってしまうのは、実は心理学的にも説明可能な感情表現であることが、研究で判っています。
イェール大学のオリアナ・アラゴン博士によると、この“cute aggression(かわいいものへの攻撃)”や“dimorphous expressions(感情の二形性)”と呼ばれる感情表現は、我々が感情のバランスを取るためのものだと説明しています。
1つの感情に強く支配されると、人は時に真逆の感情を出すことで、釣り合いを取ろうとします。
だから例えば、とても嬉しい時に涙が出てしまったり、痛く悲しい場面なのに笑いが出てしまう、といった”二形の感情”つまり”同時に2つの感情”が出る状況が起きてしまうのです。
また、「2種類の表現を使う人ほど激しい感情の調節をうまくおこなえている。」
「2つの対照的な感情の表現こそが脳と心に平静を取り戻す人間の持つメカニズムかもしれない。」とも言われているそうです。
というわけで、可愛い子供の顔をみて「食べちゃいたい」と思うのは、そのあまりの可愛さに感情が堪え切れず、情緒のバランスを取る方法として脳が反対側の感情を引き出そうとしていることであり、決しておかしなことでは無いのです。
そうはいっても、後先の事を考えて「食べちゃいたい」気持ちは妄想レベルに留めておいてくださいね。
(「嬉し涙って何?うれし涙を流す人は感情調節がすぐれている証拠:研究」
「【納得】子供が可愛すぎて食べちゃいたい!?その科学的根拠が判明!」より)
まとめ
- ストーカーは、犯罪の前段階として、疾患性の側面がある。
- 好意が暴走すると、禁断症状の痛みが膨れ上がった結果、思い込みの強さにより自分の行動制御が不可能になることがある。
- 『ストーカー』は、大きく分けると5つのタイプがある。
- ストーカースイッチの正体『カタストロフィー理論』は、緊張状態から急下降し悲劇的な結末を迎えることで、愛憎スイッチが入れ替わってしまう状態のことである。
- 『カタストロフィー理論』の発生は、気持ちを一気にではなく徐々に伝えることで、未然に防ぐ事が出来る。
- 片思いに悩んだり、失恋したりした場合の『愛の暴走』対策として、一人で抱え込まないで誰かに聞いてもらうと心が軽くなる。
皆様、自分が加害者にも被害者にもならないために、この理論を理解し、頭に入れておいてくださいね。
そうすれば、自分は相手に支配されているのではなく、この理論に支配されている事に気付き、少しは冷静になれるはずです。
以上、今回の調査で加害者側の気持ちも少しは理解できた気がした、マツ子でした~!!