本当に昔は良かったの!?AVは人気商売になり芸術に昇華するか!?


AV黎明期って、本当にいい時代だったの!?

Netflix『全裸監督』は、山田孝之などの著名俳優たちの起用し、テレビスポットCMにも登場するなど、AVユーザーではない層にアピールした結果、大ヒットと言って間違いないでしょう。

そこに描かれる、AV黎明期の群像劇は、リアルやドキュメントではなく、エンタメドラマと言えども、現在ではあり得ない状況下でのAV制作エピソードや、現在につながる状況でのAV女優誕生劇など、人々の感動……というか琴線に刺さる作品でした。

一部、あの作品を観た人たちが、「昔のAVはエネルギーがあって良かった」とSNSなどで発信しているようですが、どうでしょうか???

麻雅庵は、キャリア的に、村西監督のダイヤモンド映像とはお仕事はしていないのですが、その直後ぐらいにAV絡みのお仕事をスタートしているので、結果的に、村西監督に会って仕事をした人たちから直接に教えてもらっていますので、結論は……関わっている人たちの年齢が若くエネルギーがすごいけど、そこで動く金額が強烈だったからいろいろな人が登場しており、猛烈ですけど肯定もできないかなぁという(笑)。今の何百倍も黒い世界でしょうね(笑)

いにしえのAVを懐かしむ世代からは、「昔のAVは面白かった」と発信しているのが拡散の一因でもありますが、確実に言えることがあります。

 

「今のAVのほうがあらゆるクオリティーは高い」

 

カメラ機材周りや、編集ソフトの技術進歩や価格が下がったことはもちろん、関わる人たちも整理されているし、「AV女優が綺麗になっている」こと。これは、女子がAVの存在を認識するようになったことも理由にあるかもしれません。

80年代以前のアイドルについて、「当時のほうが良い」と言っていることと似ているかもしれません。まず第一に、アイドルもAV女優も圧倒的に数が少なく、なり手側も、「そんなヤクザみたいな仕事!」と家族からすれば大問題でしたから、今のAV女優と似たり寄ったりでした。

その後、世の中の価値観の変化は、アイドルの地位を向上させ、それを観た世代を刺激して、「地下アイドル」という芸能界の外側から誕生することになりました。

AV女優に関しては、「昔のほうが良かった」とはまるで言えない部分もあります。昔も可愛い人たちいましたけど、ごくごく一部だけが、テレビ露出OKでした。パブリシティーに関しては、今のほうが厳しくチェックしています。

事実、週刊誌に現役の超有名大学生であることを掲載されたAV女優は、通えなくなりいつの間にか退学。そのままAV業界からもフェードアウトしました。

「絶対にバレないからとスカウトされたときに言われてAV女優になってデビューしたんですが、地元に帰ったときにビデオ屋さん(たぶん当時だからレンタル店)に行ったら、『地元が生んだAV女優!』ってポップがついてて(笑)。そこで覚悟を決めた感じでしたね」と、20年くらい前にAV女優さんにインタビューしたときに語ってました。

昔と今のAVの価値観を比較するのは無意味!?

人間は「比較対象化」することで、価値観を上昇させようとします。『全裸監督』という作品を肯定するために、現在のAVと比較するとかそれと同じこと。

まったくもって無意味であり、無価値です。

『全裸監督」が、とても面白い作品なのは確かだし、この夏、Netflixに加入した人は多かったことでしょう……観たら即、止める人も多いかもしれないけど(笑)

映画『カメラを止めるな!」のときの狂騒もそんな感じでしたね。低予算で作っていても、面白さは普通の映画よりも面白いと。これもまさしく、「観させたもん勝ち」。

麻雅自身は、「現在が1番面白い」とは書きましたが、それは「現在進行形の肯定」です。

それこそ自分が1番のめり込んでいた時代こそ1番面白いのは確かでしょう。でも、比較して語るならば、現在進行形もちゃんと観ているのならばの意見です。

昔の価値観を出されると、どうにも日本人は釣られがちです。映画「ボヘミアン・ラプソディ」も典型例だと思いますよ。だって日本でのクイーン人気は、こんなに映画が騒がれるほど大人気ではなかったし。

どちらの映画も、ちゃんと作品として面白いと思った人は、パロディーAV、近年の名作をご覧ください(笑)楽しめますから!

中出しを止めるな!
中出しを止めるな!

意外と分業されていたAV女優のお仕事!?

現在のAV女優は、自身が主演や参加したAV作品をSNSなどで告知して当たり前ですね。

「自分が出ている作品を宣伝せずしてどうする」というのは、女優たちからも出ていますから、自分の存在と立場を認識している女子が多いことの証明でしょう。

昔を振り返りますと、リリース作品がどうなっているのかを知らない女優だらけだし、AV出演も3本だけとかいっぱいいます。『全裸監督』に登場する黒木香さんもそうですよね。

「宣伝せずとも売れる」理由があり、当時、レンタル店にはビデオを販売していました。今のようなロイヤリティ契約ではないから、関わった人たち誰もが、「入金されたら終わり」なわけです。それでは、女優たちは日頃、どんなお仕事をしていたのかというと、雑誌媒体でのグラビア活動です。ところが内容は、真っ二つに分かれていました。

単体AV女優の王道路線とはこちら↓

3本くらいメーカーで名前ありきの作品を撮る→人気があるので別メーカーがもう3本撮る→その間に写真集を撮る→写真集の宣伝を兼ねてグラビア撮影→認知されたのでもう3本くらい撮影してリリースする頃には引退。

企画AV女優の王道路線とはこちら↓

作中に、顔を出したり出さなかったり。名前はない素人女子として撮影→本業は別に持っている女子が多く、OLから風俗まで多岐に渡る→今日はAV、明日は雑誌、絡みがあるかないかがお仕事の金額の鍵を握る→要はアルバイトなので、引退時期は本人もよく分からない。

 

単体AV女優だったけれど、「本人がまだこちらで稼ぎたい」などの理由から、AV女優を引退せずに残る女子がいて、これがキカタンのスタートです。媒体も、名前付きのAVリリースされている女優が絡み撮影にも出てくれるので、媒体としては嬉しい限りでした。

このように、単体と企画だと、関わる内容がまったく違っていたのが事実です。さらに単体の場合、ほとんどの女優が擬似絡みでした。

その辺りで小ネタをひとつご紹介すると、15年くらい前から登場したのが、「絡まないと嫌という女優」です。SEXしないとわからないし、演技するのがめんどくさいのが理由でした。この時代に、女子のSEXの価値観が変わったがわかりますね。たぶん、「援助交際」世代の登場がきっかけです。

また、「AV女優」というワードが全面的に定着したのは、SODやムーディーズ、KMPなんかが登場した時代です。その前は単体グラビア系だと、「AVアイドル」とか、「AVモデル」とか言ってました。AV撮影の現場では、単に「女優」と言っていたと思います。

AV女優が、AV女優として名前も定着し、世の中にきちんと認識されたのが約20年前。そして、AV女優のお仕事は誰もがいろいろなことをする時代へと変わっていくのです

メジャータレントやお笑い業界の深夜の相手役として
必要とされた21世紀初頭のAV女優

90年代テレビ東京系列『ギルガメッシュないと』は、無名タレントではなく当時の人気AV女優を起用した番組でした。

パブリシティも含めて、全国区に顔が出て、タレント扱いされることを良しとした女優さんが出演して、飯島愛さんはここから、人気タレントになっていったわけです。

その後、同じテレビ東京系列で、SOD所属AV女優の番組ができたり(夏目ナナさんとか範田紗々さんとか、かすみ果穂さんとか出演してました)、その制作スタッフそのままで、S1などの所属AV女優を使ったのが、『おねがい!マスカット』となります。

テレビ東京では、他にも、『ゴッドタン』の「キス我慢選手権」にAV女優を起用。最後には映画にまでなったし、お笑いタレントとAV女優が最接近する時代になりました。恵比寿マスカッツは、ゴールデンタイム中のゴールデンタイム番組の、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系列)なんかにも出演してましたね。

エロいネタをやりたいけど、グラビアの子だと無理、じゃあ「AV女優を使えばいい」という流れが、彼女たちの需要を生み出します。明石家さんまさん27時間テレビ「今夜も眠れない」でのラブメイト10に、やたらとAV女優がランクインしていて、AVファンは大騒ぎしていたようです(笑)。SMAP司会放送のときには、キムタクと共演したりしましたよね。そのメンバーでは、古川いおりちゃん友田彩也香ちゃん水城奈緒ちゃんは現役で活躍中です。

今だと考えられない状況ですけど(笑)、それぐらいにAV女優の需要が伸びまくっていた時期です。理由として考えられるのは、「深夜帯テレビは男子視聴者がほとんどで、エロネタをだった」はメインです。AV女優好き女子とかほとんど存在していなかった時代ですから。

そこにプラスされるのが、「タレントもお笑い芸人も、テレビスタッフまでもが、『もしかしたらチャンスがありそうな隙のある女子』と共演したいと思っていた」でしょうか(笑)

Twitter駆使してDMしまくって、付き合うことになった芸人さんと女優ちゃんいましたよね(笑)。自ら説明するところの、「ハニートラップにかかった」と写真週刊誌に撮られた大物芸人もいたし(笑)

需要の内容が違ってきてますけど(笑)、とにかく、「実際の彼女には知られたくない内緒の彼女」的な役割として、テレビには出られないキャバ嬢じゃなくて、AV女優だったと考えて間違いないでしょう。

まだまだ男がはしゃいでも許される時代に、AV女優は大いなる需要があり、それが強要問題以降、社会的取り扱いが難しくなったので、現在に至るというわけです。

AV女優になりたい女子を生み出すまでに変化したAV業界!?

マスカッツなどの活躍していた時期は、素人さんでも番組内で、自分の下ネタを暴露したり、パンツ丸出しするようになり、グラドルたちもエロネタに参入します。そして、SNSの影響からなのか目立ってきたのが、「AV女優大好き女子」の存在です。

現役AV女優の野々原なずなちゃんなんかは、今でもAVユーザーですし、春埼めいちゃんは、AV女優のイベントによく出没してました。実際に、麻雅庵がMCをやったライブで、「可愛い子がいるなぁ」と思ってみていた子がいたのですが、その後に会ったAVデビューインタビュー中に、「それ私です(笑)」となりました(爆笑)

まだまだいるし、AV女優にならなくとも、「ひびやん女子=大槻ひびきちゃん大好き女子」という言葉もあります。「エッチで可愛い憧れの女子」的な立ち位置になります。

さらにスマホ普及によって、サンプル動画なども簡単に観られるし、非推奨の無料動画なんかも観ていたり。スマホを観ていると、AVじゃなくてもエロマンガ広告いっぱい出ますから、「実際の経験ではなくて、AV的なプレイをしたいと妄想する潜在的スケベな女子」が誕生したということでしょう。

さらにマスカッツ以降には、「AV女優だけのライブ」もたくさん存在するようになりました。とはいうものの、まだまだDVDサイン会イベント、ライブでも女子の姿は少ないです。でも、これが現在のアイドルのようになる可能性だって否定できません。

それが女子の望んでいる姿なのかもしれませんから。

麻雅庵が「2代目Pあん様」として内容に関わっているライブが、9月25日「ミルジェネソニック!2019」です。希島あいり、阿部乃みく、AMATSUKA(天使もえ)、篠宮ゆり、羽咲みはる、桜もこ、戸田真琴、水嶋アリス、MCに神咲詩織登場しますので、ぜひ観にきてくださいませ。

エピローグ〜さらにAVが巨大化する可能性とは!?

黎明期がドラマ作品として扱われるようになったアダルトビデオ。潜在的にも、時代背景も含めて、まだまだ需要がありそうです。

現在進行形AVは内容が進化しつつも、AVメーカーが解決に対して懸命に活動を続ける強要問題を含めた社会的問題や、最近はだいぶ収まりつつある内容の過激化など、AV女優に対しての負荷は大きいです。

女子人気はまだ勃興期にあるため、先ほどの問題も含めて、本体のAV業界がちょっと追い込まれつつあるので、一般的企業の資本投下はしづらい状況でもあります。

AVは、今後もその特殊な業界性が、ドラマ素材として活用されたり、見た目以上に脳内刺激するエンタメとして進んでいくと思います。きちんと世の中に提示できるものも増えています。例えば、ストリップは、ダンサーとして、現役人気AV女優が上がるで、相乗効果を生み出しているはずです。

絵画も映画も、最初はエンタメの典型だったのが(どちらもヌードが重要ですよね)、今では芸術として昇華されています。エロは原動力になるのは歴史的な事実です。

風俗の一環としての機能、女優も含めて働く側から見ると、一攫千金の場所だったAVは、新しいステージに動きつつある真っ最中なのです。

執筆=麻雅庵