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人前では歌えない!? 「放送禁止」な名曲たち
皆さんは「放送禁止歌」と呼ばれる歌をご存じでしょうか?
「差別的」だとか「反社会的」だとか、さまざまな理由で「公共の場で放送するのにふさわしくない」と放送局が判断した歌のことです。
そんな放送尾禁止歌の中には、「猥褻である」ために放送しない、とされている歌もあります。
簡単に言えば「エロい内容だからダメ」ということです。
ドラマのベッドシーンは良くてエロい歌はダメ、という理屈はよくわからないのですが……。
せっかく世の中に生み出されたのに、世の中にあまり知られてはいけないものである、と言われてしまった放送禁止歌たち。
そんな哀しい運命を背負った放送禁止歌をご紹介します。
NHKに怒られた!? 力士の「モロ出し」がテーマ、なぎら健壱の『悲惨な戦い』
フォークシンガー、役者、タレントなど、さまざまな肩書で活躍しているなぎら健壱さん。
なぎらさんが作詞作曲した放送禁止歌が『悲惨な戦い』という歌です。
放送禁止歌の中ではかなり有名な歌なので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
歌の内容は、
国技館での「雷電」と「若秩父」による相撲の取組中、若秩父のまわしが落ちてしまって大事な部分がモロ出しになってしまう、というものです。
続けて、カメラを止めようとしたカメラマンがうっかり股間をアップで映してしまったり、行事が軍配で隠そうとしてうっかり急所を殴りつけてしまったり……。
「わいせつ」と言うより、ギャグテイストに溢れたコミックソング、という感じです。
まあ、「チ〇コが出てるんだからわいせつ!」という理屈も成り立つのかもしれませんが。
というわけで、なぜこの歌が放送禁止歌とされてしまったのかを調べてみたのですが、これがいまいち不明です。
「NHKからの抗議」という説、「相撲協会からの抗議」という説もありました。
江戸時代の大関「雷電」はともかく、「若秩父」は昭和の実在力士ですので、「相撲協会からの抗議」という説はちょっとあり得るかな、と思いましたが、結局のところNHKからも相撲協会からも抗議はなかった、との結論でした。
はて、そうするとなぜこの歌が「放送禁止」とされているのか……。
謎は深まるばかりです。
放送禁止歌の帝王!? つボイノリオの迷ソング!!
つボイノリオの名前は知らなくても、『金太の大冒険』という歌なら聞いたことがあるかもしれません。
『金太の大冒険』 (作詞・作曲 つボイノリオ)
ある日金太が歩いていると
美しいお姫様が逃げてきた
悪い人に ネエ 今おわれているの
お願い 金太 守って
金太 守って 金太守って
金太 守って
……この歌詞の中にシモネタが隠されている、ということはわざわざ説明する必要もないと思いますが。
「金太 守って」以外にも
「金太 マスカット ナイフで切る」
「金太 マカオに着く」
といった歌詞が軽快なミュージックで歌い上げられています。
また、『極付け!お万の方』(作詞・つボイノリオ 作曲・川上了)という歌では
「お万こけるな」
「お万小枝にひっかかる」
「お万こわれているよ」
という歌詞が。
『吉田松陰物語』(作詞・作曲 つボイノリオ)では
「吉田松陰 芯なめた」
「吉田松陰 シンガポール恋しがる」
などなど……。
そんなつボイノリオ氏が2006年に発表したのが『インカ帝国の成立』。
この歌の主役は、インカ帝国初代皇帝である「マンコ・カパック」。
(人名である)、マンコが(敵から)激しく攻められ、(雨で)濡れ、(敵の矢に)貫かれ……という苦難の果てに、(後にインカ帝国の首都となる)「クスコ」にたどり着く、という感動的な歌です。
いろいろ思うところはあるかもしれませんが、史実なので仕方がありません。
つボイノリオ氏が、今後も素晴らしい歌を発表してくれることを期待しております。
あの超大物も「放送禁止」に指定されていた!?
「放送禁止」に指定された歌は、他にもまだまだあります。
先に紹介したなぎら健壱氏、つボイノリオ氏は半ば確信犯的な部分もありますが、そうではない歌も数多く指定されています。
有名なところだと、黒沢年男(現・黒沢年雄)氏の『時には娼婦のように』(作詞・作曲 なかにし礼)。
「時には娼婦のように 淫らな女になりな」
「自分で乳房をつかみ 私に与えておくれ」
なんて、どこの官能小説かと思うような歌ですから「そりゃ仕方がない」とも思えます。
そして梅宮辰夫氏の『シンボルロック』(作詞・志賀大介 作曲・藤本卓也)。
シンボル シンボル 男のシンボル
こいつを使って こいつで泣かせて
その上こいつが金を生む
(セリフ)「まったく、シンボルちゃん様々だぜ?」
あ、シンボルとはチ〇コのことです。
言うまでもないでしょうが。
また、あの演歌界の超大御所・北島三郎氏。
この超大物にも放送禁止歌があるのです。
しかもなんとデビュー曲。
昭和37年に発表した『ブンガチャ節』(作詞・星野哲郎 採譜編曲・船村徹)です。
あの娘いい子だ こっち向いておくれ
キュキュキュ キュキュキュ
この「キュキュキュ キュキュキュ」というのは歌詞の合間の「合いの手」ですが、このキュキュキュが問題とされたのです。
「キュキュキュ、という合いの手はベッドのきしむ音を想起させるのでわいせつである」
……冗談かと思うでしょうが、マジな話です。
現在ではこの放送禁止歌の制度は廃止されています。
だからと言って、何を歌っても大丈夫ということではありませんが、少なくとも『ブンガチャ節』のような「何でこれが放送禁止?」な歌がこれ以上生まれてこないことは、良いことではないでしょうか。