アソコを切って出世する世界があった

三国志の世界に登場するのは、やはり軍勢を率いて戦う武将たちが中心となります。

しかし、国家同士の戦いの物語である以上、もちろん政治家的、官僚的役割をはたす人たちも登場してきます。

その中から、今回は「宦官(かんがん)」という人たちをご紹介しましょう。

うらやましい!? 美女だらけの後宮が職場の男性「宦官」

宦官は、簡単に言えば中国王朝の皇帝に仕え、主に後宮で日常生活上の雑用を行っていた役人です。

後宮とは、皇帝の妻や側室といった女性たちが暮らしていた場所。

皇帝ともなると当然、抱えている女性の数も一人や二人ではありません。

女性だけで数百人、数千人に達することもある超巨大な後宮を持っていた皇帝も存在します。

このように巨大な後宮では、どうしても男の働き手が必要となります。

そこで、後宮で働いた男性が就いていた役職が宦官でした。

とは言っても、単なる雑用係だけではありません。

後宮で働くということは、皇帝自身だけではなく、皇太后など権力を持った女性にも近づく機会がある、ということ。

うまく気に入られれば、自分も莫大な権力・財力を手にできる可能性があるのです。

実際、中国の歴代王朝の中で、強大な権力を誇った宦官が何人も存在します。

三国志でも、王朝の中で権勢を誇った「十常侍(じゅうじょうじ)」や「黄晧(こうこう)」といった宦官たちが登場します。

身分社会の中、庶民にとって出世できる唯一のチャンスが宦官になること、とも言える時代だったのです。

古代中国の人気職業「宦官」になるための条件とは!?

美女だらけの環境で働ける、出世への糸口にもなる、と良いこと尽くめのような宦官ですが、この職に就くためには条件がありました。

それは「去勢する」というだけです。

わかりやすく言えば「チ○コを切ればいいですよ」ということです。

多分、皇帝としては後宮で男を働かせるのはどうだろうか、と思ったのでしょう。

男と女が一緒にいれば、いつ間違いが起こってもおかしな話ではありません。

でも、後宮の女たちは全員皇帝の妻ですから、簡単に浮気を許すわけにもいきません。

なら、チ○コ切っちゃえば浮気できないんじゃね?

そのように考えた皇帝がいたのでしょう。

ナイスアイデアというべきか、発想が常人の斜め上というべきか。

幸いなことに(?)中国には「宮刑」という刑罰がありました。

これは、犯罪者や戦争で捕虜になった男たちを去勢する、という刑罰です。

そこで、最初はこの「宮刑」された男たちが宦官となったとされています。

ただ、宦官が人気職業になるにつれ、自分でチ○コを切って応募してくる希望者も数多かった、とのことです。

権力を手に入れるためなら、チ○コの一本くらい切ってやるぜ! という気合いを感じます。

この気持ちが理解できるかできないかで、その人間の出世に対する貪欲さが表れてくるような気がしますね。

友人や同僚に「チ○コを切って偉くなれるとしたら、切る?」と質問してみるのも面白いかもしれません。

想像するだけで痛い!? 宦官になるための手術

宦官になるには、まずチ○コを切らなければなりません。

ですが、当然チ○コは簡単に切れるようなものではありません(チ○コ以外だって簡単に切れませんが)。

そこで登場するのが、去勢手術を専門に行う医者の存在です。

手術の方法ですが、

1.白い紐、あるいは帯で下腹部と太股の上部をキツく縛ります。

2.熱い胡椒湯で念入りに消毒します。

3.相手に最終確認をし、鎌のように少し湾曲した小さな刃物でサオとタマをスパッといきます。

4.尿道に栓を挿入し、冷水に浸した紙で患部を包みます。

5.患者を二人の助手に抱えさせ、部屋の中を2~3時間歩き回らせます。

6.水を飲ませずに3日間、寝たままで過ごさせます。尿道の栓を抜いて噴水のように尿が噴き出せば…おめでとう! 手術は成功です!

尿道に栓をするのは、傷口の肉が盛り上がって尿道をふさいでしまうのを防ぐため。

水を飲ませないのは、排出できない尿が溜まるとその毒素が体に回って死んでしまうためだそうです。

しかし、想像するだけで股間がムズムズしてきますね。

ちなみにこの手術、1人あたり料金は約3万円程度だったとのことです。

チ○コがないのにどうする? 宦官の性欲処理

チ○コを切ると性欲がなくなるので、宦官は性欲に悩まされることがなかった、と言われることがあります。

しかし実際にはそんなことはなく、宦官にも性欲が存在したようなのです。

サオもタマもないので、射精どころかオナニーすらできない状況の中、宦官はどのようにして性欲処理をしていたのでしょうか。

その前に、宦官は「後宮の女性たちと関係を持たないため」チ○コを切った、と書きました。

しかしチ○コがないとは言っても男と女、そういう関係になってしまうことも、たびたびあったそうです。

そういった時に使われたのが「張型」、今で言うディルドーです。

実際、後宮ではたびたび大量の張型が押収される、という事件が起きています。

その中には女性が一人で使っていたものもあったと思われますが……。

また「宦官は女と一緒の時、喜ぶたびに手で撫で、口で噛み、興奮が高まり大汗が吹き出ると終わる」という記述が『浪跡業談』という書籍に残されています。

女性を愛撫することで興奮が高まってくると、女体を手で撫でたり噛みついたりし、汗を大量にかくと性欲の処理が終わる、という意味です。

ちなみに『浪跡業談』には続きとして「こうして性欲が処理されるのだが、変態そのものである」となかなか辛辣なことが書かれています。

興奮してつい噛みついてしまう、という行動はなんとなく理解できるのですが、汗を大量にかく、ということが射精の代わりとなっていたのでしょうか。

いまいちよくわかりませんが、こればかりは実際にチ○コを切って体験してみるわけにもいかないので、そういうものだ、と納得するしかなさそうですね。