人妻好き!?三国志にもあった男と女の色恋事情

中国の後漢末期から三国時代まで(180年頃~280年頃)を描いた『三国志』。

魏の曹操(そうそう)、

蜀の劉備(りゅうび)、

呉の孫権(そんけん)

を中心として、数々の英雄たちが登場するこの物語は、今でも高い人気を得ています。

『三国志』と言えば熱い男の世界、と思われるかもしれませんが、数々の美女も登場します。

そして男と女が登場すれば当然、色恋沙汰も起こるわけで……。

今回はそんな英雄たちの恋愛事情をご紹介します。

曹操は「人妻好き」だった!!

三国の一つ、魏を建国した英雄、曹操。

「英雄色を好む」という言葉があるように、曹操も美女に目がありません。

なんと美人妻が13人もいた、というのです。

そしてその中には元敵の妻、つまり人妻が何人も存在しています。

その中の一人が、杜(と)夫人です。

この杜夫人、元は曹操の敵、呂布(りょふ)の部下である秦宜禄(しんぎろく)の妻でした。

しかし呂布が曹操との戦いに負けた時に、杜夫人は曹操軍の捕虜となってしまいます。

その時、杜夫人の美貌に目を奪われたのが、曹操と共に呂布と戦っていた劉備の部下である関羽(かんう)でした。

関羽は曹操に何度も「杜夫人を嫁にしたい」と訴え出ますが、それが逆効果。

杜夫人に興味を持った曹操は、実際に彼女の美貌を目にして一目惚れ。

「関羽? あいつ何か言ってたっけ?」とすっとぼけ、杜夫人を自分の妻の一人にしてしまったのでした。

曹操と関羽にはもう一つ、人妻に関する逸話があります。

劉備が曹操と戦って敗れたとき、劉備の義弟である関羽は劉備の妻子の安全を条件に、曹操に降伏します。

このとき、関羽とともに曹操の捕虜となったのが劉備の妻、糜(び)夫人でした。

以前から関羽を自分の部下にしたいと考えていた曹操は、二人を護送する道中、宿舎で関羽と糜夫人が同じ部屋で眠るように仕向けたのです。

「いくら関羽が堅物でも、そして相手が義兄の妻であっても、美しい人妻と一緒に寝れば手を出すに違いない。そうすれば劉備に顔向けできなくなって、自分の部下になるだろう」

曹操は自分を基準にそう考えたのでしょうが、関羽はやはり曹操とは違いました。

糜夫人と一緒に眠るどころか、部屋の前に一晩中立って見張りを続けたのです。

そんな関羽の漢気の前に、曹操の企みはあえなく破綻したのでした。

曹操と息子・曹丕は恋のライバルだった!?

人妻好き英雄・曹操には曹丕(そうひ)という息子がいました。

この曹丕、後に曹操の跡を継ぐだけあって優秀ではありましたが、同時に「女好き」という性質も曹操から受け継いでしまっていたのです。

曹操のライバル、袁紹(えんしょう)の次男、袁煕(えんき)の妻は甄(しん)夫人という絶世の美女でした。

この甄夫人、袁紹が曹操に敗れたときに曹操軍の捕虜になります。

いつもこのパターンですが、乱世ですから仕方がありません。

甄夫人が美女だと聞いていた曹操は、彼女を自分の妻にしようと考えていました。

おそらくウキウキしながら甄夫人のもとへ向かったであろう曹操ですが、その耳にある報告がもたらされます。

「甄夫人は曹丕様が連れていきました」

そう、父親同様に甄夫人を狙っていた息子の曹丕が、父親より先に甄夫人を奪ってしまったのです。

さすがの曹操も息子と女性を奪い合う姿を見せるわけにはいかず、甄夫人は曹丕の妻となったのでした。

このように、奪われるようにして曹丕の妻となった甄夫人ですが、飽きっぽい男、曹丕の愛情はあっという間に冷めてしまいます。

そして新しく曹丕の妻となった女性の嫉妬から、曹丕の命令で殺されてしまう、という悲劇的な最後を迎えてしまいます。

曹丕の自分勝手さと残虐な性格がよく表れたエピソードと言えましょう。

今では犯罪!? 孫策と周瑜のプロポーズ

呉の建国者・孫権の兄、孫策(そんさく)は友人・周瑜(しゅうゆ)とともに容姿端麗、武勇・知略に優れた人物として描かれています。

そんな完璧超人のような二人なので、当然のように嫁も美人。

「江東の二喬」と呼ばれた大喬(だいきょう)と小喬(しょうきょう)の美人姉妹です。

ちなみに孫策の嫁が大喬、周瑜の嫁が小喬です。

孫策と周瑜が二人を娶るとき、このようなエピソードがあります。

結婚の意思を相手に伝える、つまりプロポーズに向かう前に周瑜がこんなことを言い出します。

「孫家の当主と重臣が嫁をもらいにきた、というのは気に入らない」

身分や家柄などではなく、男としての自分を見てもらいたい、というのです。

そして周瑜は孫策に「二人を攫おう」と提案します。

その後、孫策と周瑜は町のチンピラを雇って姉妹にちょっかいを出させ、それを助けるふりをして船に乗せてそのまま攫う、という中学生でも考えるだけで実行に移さないような計画を実行し、まんまとプロポーズを成功させたのでした。

なんとも乱暴な方法ですがしかたがありません、乱世ですから。

そんなプロポーズを受けてOKする大喬と小喬もかなり変だと思いますが、おそらくこれは孫策と周瑜がイケメンだったからこそ、でしょう。

ブサイクだったら許されなかったはずです。

別にひがんでいるわけではありませんが、なんとも複雑な気持ちにさせられるエピソードでした。