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【連載インタビュー・職業「AV女優」】Vol.26 春原未来 なぜ彼女たちはAV女優を「仕事」に選んだのか。苦悩・葛藤・熱い思いなど彼女たちのAV女優観に迫るディープ・インタビュー!

もう数年前からAV女優は誰でもなれる職業ではなくなった。今、第一線で活躍するAV女優たちはみな、容姿やスタイルの高レベル化はもちろん、AVを仕事として捉え、AV撮影やイベントなどに対するストイックなまでの真面目な姿勢や、日々のSNSでのセルフプロデュースやファンとの交流など、一般職よりもはるかに高いレベルの努力をしている。この連載は、「なぜ彼女たちはAV女優を『仕事』に選んだのか」を軸にプロ意識をもってAVに取り組む女性たちに迫るインタビューです。

今回の職業「AV」女優は2012年にkawaii*専属女優としてデビューした春原未来ちゃん。

 

専属契約解除後はキカタン女優として活動を開始し、DMMアダルトアワードやスカパー!アダルト放送大賞などに何度もノミネートされるほどの人気女優となりました。

 

そんな春原未来ちゃんはAV女優の仕事にどのような思いを持っているのか、そのAV女優観に迫ります!!

春原未来Profile 1991年11月23日生まれ。血液型A型。 T163・B88(Eカップ)・W63・H87。 趣味は料理、カフェ巡り、食べ歩き。特技はピアノ、水泳、マッサージ。 公式ブログ  公式ツイッター <@_Suno_Miki_

「AVであれば、多くの人の性欲を満たしてあげられる。だからAV女優になりました」

──春原さんは、なぜお仕事としてAV女優を選んだんですか?

小さい頃から、人の役に立ちたいと思っていたんですよ。

人の役に立つっていったら、医者とか弁護士とか、その辺りの仕事になりますよね。

だから、大学は医療系に進んだんですけど、そこで勉強し始めたら、命を救うことが必ずしも人の役に立つとは言えないなって思ったんです。

 

 

──命を救うっていうのは、立派なことだと思いますけど…。

いえね、例えば脳死の人を救うか救わないか、とか、経済的には人口が増え続けた方がいいけど、エネルギーの観点から考えると死ぬべき人は死んだ方がいい…なんてことを思ってしまったんです。

また、住んでいる地域とか財政状況によって、命が長くなるか短くなるか決まるのはおかしい、っていうことも感じて、このまま医療系の仕事についてもダメだなと。

 

──そこからなぜAVの道へ?

そんな時に、心理学の授業でマズローの「欲求団解説」っていうのを習ったんです。

その人の学説は、「人が夢を叶えるには5段階のステップが必要で、第1段階が生理的欲求を満たすこと」ってあったんですよ。

だからまず、みんなの食欲・性欲・睡眠欲を満たしてあげれば、その人が自分の夢に向かって頑張れるんじゃないかって思って。

で、その3つの中のどれがいいかって考えた時、性欲ならば自分の身一つで、初期投資も必要なく始められるなって、決めました。

 

 

──風俗も性欲を満たしてくれるものだと思うんですが…。

もちろん、考えましたよ。

ソープにしようかなって、最初は思ってましたから。

でも、ソープはマンツーマンで密度の濃いものを提供できるけど、相手にしてあげられる数は限られる。

でも、AVは対象者が多いじゃないですか。

多くの人の性欲を満たしてあげられる、だからAV女優になったんです。

 

 

──最初は単体でデビューして、今はキカタンとして活躍していますが、それに関してはどう思っているんでしょうか。

単体って、売れようが売れまいが、月に何本撮っていくら貰えるっていうのが決まってるじゃないですか、契約が終了するまで。

でもそれって、ヌルくないかなって思うんですよ。

でも、キカタンの世界は数字がすべて。

売上げがあれば、次にお呼びがかかる。

先が見えず不安定ではありますが、それの方が面白い。

それに、仕事は常にステップアップしていかないとダメなものですから、もっと売れるため、もっと多くの人に見てもらえるように頑張れるので、キカタンになって良かったと思ってます。

 

 

──『企画落ち』っていう言葉がありますけど…。

そうは思わなかったですね。

というか、なんでそんな言葉があるんだろって思います。

例えばアナウンサーの世界では、局アナよりフリーになった方がスゴいって言われるじゃないですか。

それと一緒だと思うんですよね。

自分の能力によって、仕事量と給料に変化がある。

こっちの方が絶対に楽しいし、やりがいがあると思うんですよ。

「AV女優は撮られているだけじゃだめ。いいものを作るため、もっと制作側とディスカッションするべきです」

──じゃあ、今はすごく充実した日々を送っている感じなんですね。

撮影においては充実感があります、自分の表現したいことを表現できているので。

だけど、「もっとこうすればいいのに…」っていう意見が言えないのがツライですね。

マーケティングの仕方だったり、どうやってその作品を打っていくかというアイデアがあるのに言えない。

それが悔しくって仕方がないですね。

女優も制作チームの一員だと思うから、いいものを作るためにはもっとディスカッションすべきだと思うんですよ。

方向性は一緒で、同じ結果を求めているんですから。

 

 

──そこまで考えているんですか、ビックリしました。

だって、月にリリースされるAVの本数って、めちゃめちゃ多いじゃないですか。

その中から、自分の作品を手に取って見てもらわなければいけない。

やっぱり頑張っている分、たくさんの人に見てほしいですからね。

それに、今の時代、女優は「AVを撮って終了、はい次」じゃないと思うんです。

女優も営業していかなければいけないし、売ることを営業さんだけに任せていてはダメだと思うんです。

そうやって頑張って売れたら、女優も嬉しいですしメーカーも嬉しい。

その後、仕事がどんどんと入ってくるから、事務所も潤います。

Win-Winで誰も損しないんですから、頑張った方がいいんですよ。

 

 

──他にも野望、みたいなものはあるんですか?

う〜ん、野望としては「AV界をクリーンにしたい」ってことですね。

みんな真面目に仕事してるじゃないですか、エロに関して。

なのに、一般社会では悪く思われているんで。

その理由は、業界があまりにも見えなさ過ぎる体と思うんです。

だから、もっと透明化して、本当にみんな真剣にやっているんだって言うことを見せていきたいですね。

「『流血して死ぬ』という引退作を撮りたいと思ってたんですが、それじゃ発売できないと言われて諦めました(笑)」

──それはぜひ、お願いしたいですね。でも、女優をやりながらじゃ大変だと思いますよ?

そうですね。

なにげにAV女優って忙しいので、同時にいろいろやるのは難しいですね。

やりたいことはいっぱいあるのにできないので、今はどうやっていこうかって考えています。

 

 

──そうすると、引退も視野に入れてるんですか?

必要とされている間は、たとえ月のリリースが1本まで落ち込んだとしてもAVは続けます。

以前は、こういう引退作を撮りたいっていうのがあったんですよ。

流血してから死ぬ、みたいなものです。

血が好きな人、死体が好きな人っていうのがいるじゃないですか。

だから最後にはそういう性癖の人の役に立てたらいいなって思って。

 

 

──それ、いいですね。でもなんで諦めちゃったんです?

だって、「そんなの作っても発禁になっちゃうよ」って言われたので。

自分で自分を切って、流血して弱っていく最中でハメられ、そして死んでいく。

人の役に立てて死ねるなんて、最高だと思ったんですけどね。

 

 

──…全部本物ですか。それはさすがに無理ですよ。

やっぱり、ですよね(笑)。

だから、まだ引退は考えてません。

もっともっといろんなジャンルの作品に出て、なるべく多くの人のオカズになって、役に立ちたいと思ってます。

レズを解禁したのも、その思いがあったからなんですよ。

 

 

──他に出てみたいジャンルの作品ってあります?

ジャンルというか、AVなんだけど泣けるっていう作品にどんどん出ていきたいですね。

初めてのレズ作品は、感動的な内容だったんですけど、評判が良くて女性ファンとかも増えてきました。

それに、みんな愛に飢えてるから、そういった作品を見ると「もっと人を愛したい」とか「もっと愛されたい」ていう欲求をかき立てられると思うんです。

そしたら、例えば引きこもってる人なんかは、もっと外に出てみようって思ってくれるんじゃないかと。

AVって、引きこもりだったりコミュ障の人たちにも発信できるツールなんですよね。

これって、スゴいことじゃないですか。

だから、その可能性を最大限に活かせるようなものに出ていきたいんですよ。

 

 

──そういう思考、常人ではなかなかできませんよ。多分、どんな業種に就いたとしても大成するんじゃないですかね。

周りの人も、「もったいないから、今すぐ女優を辞めて、次に切り替えた方がいいよ」って言うんですよね。

頭が柔らかいうちに、違うビジネスを始めた方がいいって。

でも、せっかくの縁で女優になれたわけだし、今しかできないと思っているので、まだまだ続けていきますよ。

ただ、今後は女優以外のことも、どんどんやっていこうと思っています。

どんなことをするのかは、お楽しみに、ということで。

初出:ソフト・オン・デマンドDVD 2014年9月号 Vol.39の内容を一部加筆修正しています。

 


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