【連載インタビュー・職業「AV女優」】Vol.21 羽田希 なぜ彼女たちはAV女優を「仕事」に選んだのか。苦悩・葛藤・熱い思いなど彼女たちのAV女優観に迫るディープ・インタビュー!

もう数年前からAV女優は誰でもなれる職業ではなくなった。今、第一線で活躍するAV女優たちはみな、容姿やスタイルの高レベル化はもちろん、AVを仕事として捉え、AV撮影やイベントなどに対するストイックなまでの真面目な姿勢や、日々のSNSでのセルフプロデュースやファンとの交流など、一般職よりもはるかに高いレベルの努力をしている。この連載は、「なぜ彼女たちはAV女優を『仕事』に選んだのか」を軸にプロ意識をもってAVに取り組む女性たちに迫るインタビューです。

今回の職業「AV」女優は2008年にAVデビューして、2010年にはストリッパーとしても活動している羽田希ちゃん。

元は「羽月希」名義で活動していましたが、2020年1月14日、Twitter上で「羽田希」への改名を発表しました。

AV女優という職業への考え方は人それぞれ、もちろん女優さんたち自身もそれぞれ違った考え方を持っているものですが、羽田希ちゃんの考え方はその誰もと少し違っていました。

そんな羽田希ちゃんの職業「AV女優」に対する興味深い考え方を、ぜひ読んでみてください。

Profile 1988年7月31日生まれ。T154・B88(F)・W60・H84。趣味・特技はバトミントン、百人一首。公式Twitter<@haneda_nozomi

「人前でセックスをすることに関しての葛藤は、今でもあります」

──ずいぶんと長くやられている印象があるんですけど、羽月さんはデビューしてどれくらい経つんですか?

今年(2015年)で7年目です。

もともと、結構うしろ向きな理由で飛び込んだんですけど、やってみたら楽しくてここまで続いているって感じですね。

 

──うしろ向きとは?

この仕事をする前は看護師をしてたんですけど、仕事が嫌になってしまったんです。

それで、「もうどうにでもなれ!」っていう感じで入ってきました。

 

──自暴自棄になった、と。

仕事がとにかく辛くて…。

特に、プライベートでも仕事に追われるのがすごくストレスでした。

それで、どうしようかなって思った時に『AV』というのが頭に浮かんだんですよ。

 

──普通はすぐに思い浮かばないと思いますが…。

中学くらいの時に、道端に落ちてたエロ本を見て「女は脱げばなんとかなるんだ」って思ったんですよ。

それがずっと頭の隅にあったんでしょうね。

 

──それなら、風俗とかの選択肢もあったのでは?

いえ、AVだけです。

自暴自棄になっただけじゃなくて、男優さんとのHにも興味があったので。

動機としては半々といったところですね。

 

──じゃあ、人前でセックスするということに関しては、あんまり抵抗感がなかったわけですか?

そんなことないですよ。

全然ありました。

仕事を始めて1年くらいした時、人前でセックスすることはやっぱりいけないことなんじゃないかと思って、辞めて病院に戻ったくらいですから。

 

──それで戻ってきたということは、今はそうでもない、と。

今も葛藤はあります。

いつもいつも思っているわけではなくて、頭の隅にあるという感じです。

AVに戻ってきたのは、看護師の仕事を再びやってみて、やっぱり私には向いてないなって思ったのと、本当の覚悟が決まったからですね。

 

──でも、なんでそんなに嫌いな看護師の仕事に戻ったんですか?

世間体を考えて、ですね。

AVって今こそ表に出てますけど、基本はアングラな世界じゃないですか。

だから、AV女優という仕事は、悪いことではないですけど、胸を張って言える職業でもないと思っています。

それは、AVの地位がどれだけ向上しても、変わりませんね。

「AV女優の仕事は好きです。でも好きとその仕事に誇りを持つのは別物だと思います」

──じゃあ、AV女優という仕事を嫌々やってるんですか?

いえ、仕事は楽しいですし、好きですよ。

人が普通やらないことをやってるからドキドキするし、だからこそ普通の仕事よりも多くのお金がもらえるわけですから。

もし、人前で脱ぐことは当たり前、人前でセックスするのが普通、なんて世の中になったら、私的にはAVはつまらないものになってしまいますね(笑)。

 

──そんなに好きで楽しいけど、人には言えませんか。

好きと誇りは別物だと思うんですよね。

親には一生隠したいですし、友達にもできれば言いたくないですね。

世間一般の人は、実際にはそんなことないんですけど、AVはちょっと危ない人たちが危ないことをやっている世界、みたいに思っているじゃないですか。

だから言えないんですけど、その隠密な感じがいいなって思ってます。

 

──胸を張れる職業に就こうとは思わない?

特には。

いかに快適に過ごしていけるか、というのと、楽しく働けるか、というのが大事だと思っているので。

 

──AVのどんなところが楽しいんですか?

最近、改めて「私はなんでAV女優になったんだろう?」って考えた時、快楽に溺れたかったのと、普段と違う精神状態でセックスがしたかった、というのが潜在的にあったんだなってわかったんですよ。

当時は、そこまで明確に思ってなかったんですけど、仕事をしていく中で今まで知らなかった自分がどんどんと出てきて、それが楽しくなってきて気づいたんですよ。

最近は、もっと違うセックスがしたい、知らない自分を引き出してほしいと思って、「事前に内容は知らせず朝から監禁していじめるような作品を撮ってください」ってプロデューサーさんにお願いしたりしてますから(笑)。

「AVの仕事はもう生活スタイルの一部。アダルトのない生活は考えられないですね」

──昔からセックスは好きだったんですか?

そんなでもなかったんですけど、潜在的には持っていて、AVの仕事をして開花した感じでしょうね。

だから、自暴自棄になった時、もしAV女優という仕事を知らなかったら、その後プライベートで快楽に溺れて堕ちていたかもしれません。

AVがストッパーになってくれたというか、この業界に救われた感じですね。

 

──まだまだAVの仕事は続けていこうと思ってます?

そうですね、今は辞めるという考えはないです。

ただ、いつまで続けていこう、というのもないです。

考えられないというのが正直な気持ちですね。

AVはもう生活の一部になっていて、アダルトがない生活っていうのを想像できないので。

 

──やろうと思えば、あと20年くらいはできますからね。

そろそろ熟女の年齢なんですけど、熟女になりきれていないんですよね。

ただ、最近はアナルとかハードファッカーの路線になっているので、その路線でしばらく行こうかなって思ってます。

 

──今後の目標などを教えてください。

私、こういう女優になりたいとか、こんなことをしてみたい、というのはないんですよ。

仕事は来るもの拒まずですし、AV以外の仕事にもあまり興味がないので。

強いて言えば、もっともっといろんな自分を見せてほしい、というのと、幸せな家庭を築く、ということでしょうか。

 

──結婚して引退、というのが理想ですか?

寿引退というのはないですね。

結婚しても続けていきたいし、子どもができたら母乳モノにも出てみたいです。

妊娠中は、妊婦のエキストラで呼んでもらえたら嬉しいな、なんて(笑)。

「今日はアナルで大変だったのよ」とか、ざっくばらんに話せるような家庭ができたらいいなって思ってます。

初出:ソフト・オン・デマンドDVD 2016年3月号 Vol.57の内容を一部加筆修正しています。


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