【連載インタビュー・職業「AV女優」】Vol.7 春菜はな なぜ彼女たちはAV女優を「仕事」に選んだのか。苦悩・葛藤・熱い思いなど彼女たちのAV女優観に迫るディープ・インタビュー!

もう数年前からAV女優は誰でもなれる職業ではなくなった。今、第一線で活躍するAV女優たちはみな、容姿やスタイルの高レベル化はもちろん、AVを仕事として捉え、AV撮影やイベントなどに対するストイックなまでの真面目な姿勢や、日々のSNSでのセルフプロデュースやファンとの交流など、一般職よりもはるかに高いレベルの努力をしている。この連載は、「なぜ彼女たちはAV女優を『仕事』に選んだのか」を軸にプロ意識をもってAVに取り組む女性たちに迫るインタビューです。

仕事が楽しくて仕方がない、と思いながら日々生活をしている人というのは、世の中にどれだけいるものなのか。おそらく、探してもなかなか見つからないはずだ。楽しんでやれる仕事…それに出会えることはどれほど幸せなことか、考えたことがあるだろうか。

2010年にグラビアアイドルからAV女優に転身した春菜はなちゃんの魅力はなんといっても、108センチKカップの美爆乳!なのにお顔は可愛いロリ系というアンバランスさ。もともと知名度のあった春菜はなちゃんがAVに転身したことでその人気は爆発的なもので、今ではAV女優歴を10年を迎えようとしているレジェンド女優。今回はそんな春菜はなちゃんのAV女優感に迫ります!

Profile 1988年11月8日生まれ。 身長162cm、B108(Kカップ)・W58・H85。 趣味は寝ること、特技はどこでも寝れること。 公式ツイッター<@harunahanadream

「真の意味でAV女優になったのは、キカタンになってからですね。ただ、キカタンでずっと走っている方たちには、まだ声高々に『AV女優なんです』とは言えません……

「グラビアは最初に少しやるくらいの話で、実は最初からAVデビューが決まってたんです」

──今日はよろしくお願いします。グラドル時代から、お世話になってます(笑)。

そうなんですか、ありがとうございます。

 

──もう何年になりますか? グラビアデビューしてから。

そうですね……9年、10年くらいになるんですかね。AVが6、7年くらいで、その前にグラビアを2年ちょっとやっているので。

 

──もうそんなになりますか。しかし、春菜さんがAVデビューしたのは驚きましたよ。超人気グラドルでしたからね。

実は最初からAVデビューが決まってたんですよ。だから、グラビアは最初に少しやるくらいの話だったんですけど、なんかあれよあれよ……と。

今考えるとありがたい話なんですけど、当時は「いつになったらAVやるの?」みたいに思ってました。「あなたがすごいから、これだけグラビアの仕事があるんだよ」って言われても、う~ん……って感じで(笑)。

 

──!? そうだったんですか。でも、かなり売れてましたよね、そのままグラビア1本でやっていってもよかったんじゃないですか?

いえ、最初に話を聞いてから、早くAVやってみたいなって思ってたんですよ。

それに、グラビアって、結構大変なんですよ。撮影が2、3日とはいえ、動画とともにパッケージ要素を全シチュエーションで撮らないといけないし、自然光がメインなので夏は暑くて冬はめっちゃ寒いので。

でもAVは、今のように1日撮りパケ撮影込みではなくて、2日撮影だけどパッケージ撮影は別日、しかも撮影は月1回だけと聞いてたので、そっちの方が楽なんじゃないかなぁと思っていたので(笑)。

 

──なるほど……。ちなみに、この業界に入るきっかけはなんだったんですか?

スパムメールです! 当時、ミクシィが流行ってたんですけど、そこにきてた「高額バイト! 稼げます!!」的なメールを開いて、そこからトントン拍子で今の事務所に決まった、という感じです(笑)。

 

──いつも、そういうメールは見るんですか?

春菜 見ませんよ。いつもならスルーするんですけど、やっていた仕事を辞めようと思っていた時期で、次の仕事を探さないとなぁ……って考えていたところだったから、ちょうどいいや、自己責任だしって(笑)。

 

──自己責任って(苦笑)。大変なことにならなくてよかったですね。ちなみに、仕事は何をしてたんですか?

ビジネスホテルです。フロントにも立ってましたけど、基本は裏方で、夜勤とかもありました。私、人混みが嫌いだから、できれば人の少ないときに休みたい、それなら平日休みがいい、そう考えてたどり着いたのがそこでした。

 

──ホテルマンからAV……飛躍しましたねぇ。話を聞いたとき、抵抗感とかありませんでした?

とくには。当時AVという単語は知ってましたけど、興味もなければ見たことなかったので、「はあ、わかりました、やります」っていう返事をしました。怖いとか恥ずかしいとか、そんなのも特にはありませんでしたね。

 

──人って、未知なるものを受け入れるのは、難しいと思うのですが……

たしかに。でも私、食べ物と虫と動物以外は、基本的に受け入れられるんですよね(笑)。

「単体の時はAV女優が仕事という感覚には正直ならなかったですね」

──実際にやってみても、すぐに受け入れられました?

そうですね。グラビアとAVは同じくらいの恥ずかしさですから。グラビアは「こんな水着を着るの!?」というので、AVは「こんな大勢の前でSEXするの」というのでしたね。

 

──それなら、AVを早くやりたいと思ったのも納得です。

グラビアをやっているときは、1週間休みがないということもありましたから。 イメージDVDの他、いろんな雑誌に出させてもらったので。

AV女優になってからは、月に1回の撮影と発売イベント、あとはなんとか社長を口説いて1年後くらいにやらせてもらえた撮影会ぐらいだったので、結構お休みがありました。

 

──そんな感じだと、AV女優は仕事という感覚にはならなかったんじゃないですか?

はい、正直ならなかったですね。月1回の撮影も、毎月どのあたりでやるのかは1ヶ月前にならないと決まらないんですよね。

AV女優だから体調管理、体型維持も仕事のうちというのが今ではわかるんですけど、当時はそんな考えもなくて、痩せて太ってを繰り返していて、怒られまくってました(笑)。時間もあるしお金もあるので、ついつい食べちゃって。

週1回のペースとかだと、体調管理もやりやすいんですけどね。友達がいれば遊べてたと思んですけど、友達は1人しかいなくて(苦笑)。

 

──いや、遊びまくってたら、それはそれでいろいろと大変だったと思いますよ(笑)。

まあ、たしかに(笑)。なので、毎月何をしてたのか聞かれると、何をしてたんだろうっていう感じなんですよ。

 

──辞めようと思ったことはありました?

1度ありました。仕事が嫌になったとかそういうのではなくて、25を過ぎたあたりで、そろそろ引退かなぁ……って漠然と思ったんですよ。

それで社長に相談したら、専属で撮ってもらえるうちは頑張ろうって言われて、それくらい専属ってすごいことなんだと思って、もう少し頑張ろうって思ったんです。

「AVは女の子が輝ける仕事だし、自分はここにいていいんだっていう存在意義を与えてくれる」

──そんな中で、キカタンに転身したのはどうしてです?

だんだんとギャラも落ちてきて、正直そこまで下がってまでやりたい仕事ではないなっていう本音が出てきちゃって、はっきりと「辞めます」って言ったんですよ。そうしたら、「辞めたいのは今すぐなのか、それとももうちょっとしたらなのか」って聞かれて、今すぐではなく30くらいでと思っていたので、そう伝えました。

それと同時に、月1本でやっていくよりも、本数を増やして一気に稼ぎたい、とも言いました。そこから半年ぐらい社長とやりあいました(笑)。社長としては、まだ専属でやらせたかったみたいだったんですよ。で、ようやく決着したのが昨年の6月くらいだったんです。

 

──これまでの生活からはガラッと変わって、大変だったでしょ。

もう忙し過ぎで、昨年はストレス溜まりまくりでした(笑)。今思えば、最初にきちんと月の本数とか決めるべきだったなって。でも、「とにかく本数をやりたい、稼ぎたい」と言ったのは自分ですから……認識が甘かったです(苦笑)。

それで12月、ついに倒れちゃって、仕事をいくつか飛ばしてしまったんですよ。それで、久しぶりに怒られまくってしまって……それで、カチンときちゃって「それなら、今ある仕事をこなしたら辞めます」って言っちゃったんです。

 

──逆ギレ的な?

不慣れな中、頑張っていたことを労ってほしかったんです。体調管理も仕事の一環だというのは今ではわかるし、私の女優歴からしたらできなければダメなんでしょうけど、その時は負の部分しか受け取れなくて……

 

──たしかに、女優歴は長いですけど、本数にしたら少ないですもんね。

今やっと100本超えたくらいなので。でも、冷静になって考えたら、自分のAV女優としての力不足が招いたことなんだよなって思いました。

 

──いい気づきのきっかけになったんですね。

そうかもしれません。ようやく、AV女優というのが仕事なんだと思えるようになってきましたね。AVは好きですし、だから続けてきてたわけですけど、真の意味でAV女優になったというのは、キカタンになってからですね。

ただ、キカタンでずっと走っている方たちに向けては、まだ声高々に「私、AV女優なんです」とは言えません……

 

──それはなぜ?

やっぱりレベルが違うんですよね、彼女たちは。口が悪くなってしまいますけど、単体女優って土台の上を走ってきた感じになるんですけど、彼女たちは企画からのし上がってきたわけじゃないですか。だから、メンタルを含め、すべてが全然違うんです。

簡単に言えば、私は楽をしてきて今があるけど、彼女たちは登ってきて今がある。そうなると、彼女たちはこれからの登り方をわかってるけど、私はわからないので、見つけていかなければいけないんです。

なので、同じ位置にいたとしても、私は同等だとは思えないので、言えないんですよね。

 

──なるほど……でもすぐに追いつけますよ。

さすがに追いつくのは無理だと思いますよ。でも、彼女たちに「私もAV女優です」と言えるように、早くなれるように頑張ります。

 

──ということは、30くらいで辞めるというのは……

今はなくなりました。AVって、ある程度のわがままが許されるし、女の子が輝ける仕事だし、自分はここにいていいんだっていう存在意義を与えてくれたので。

それに、男優さんはSEXがうまいので気持ちがいい、それでお金がもらえるなんて、最高だよなっていうのも、よくよく考えたらあるので(笑)。ただ……

 

──

春菜 私と同年代から35歳くらいまでの女優さんって、みんな綺麗じゃないですか。 私はそこに入れるのかな……って不安なんです。私、年齢よりも若く見られることが多くて、できれば「お姉さん」と呼ばれるような綺麗な女性になりたいんですけど。

 

──色気がほしい、と?

はい。それって身につくんですかね。

 

──ん~……艶っぽい女優さんに話を聞くと、だいたい私生活でもあっちの方が盛んだって言いますから、そっちを頑張ってみては?

え~、私はお仕事で満足しちゃってるからなぁ(苦笑)。だけど、それで色気を身につけられるなら、頑張ってみようかなぁ(笑)。

 

──仕事の目標みたいなのはあります?

それが、何もないんですよ。それこそ、仕事をしながら見つけられたらな、っていう感じです。見つからなかったんですよ、これまでやってきて。

ただ、今流行りのアイドル活動的なものとか、演技とかは苦手なので、AV撮影以外の仕事よりも、こっち1本でやっていきたいなとは思っています。極めるまでいけるかはわからないですけど、トップの子に追いつけるように頑張っていきたいと思います!

初出:ソフト・オン・デマンドDVD 2018年9月号 Vol.87の内容を一部加筆修正しています。

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