【連載インタビュー・職業「AV女優」】Vol.5 水谷あおい なぜ彼女たちはAV女優を「仕事」に選んだのか。苦悩・葛藤・熱い思いなど彼女たちのAV女優観に迫るディープ・インタビュー!

もう数年前からAV女優は誰でもなれる職業ではなくなった。今、第一線で活躍するAV女優たちはみな、容姿やスタイルの高レベル化はもちろん、AVを仕事として捉え、AV撮影やイベントなどに対するストイックなまでの真面目な姿勢や、日々のSNSでのセルフプロデュースやファンとの交流など、一般職よりもはるかに高いレベルの努力をしている。この連載は、「なぜ彼女たちはAV女優を『仕事』に選んだのか」を軸にプロ意識をもってAVに取り組む女性たちに迫るインタビューです。

水谷あおいProfile 1993年5月22日生まれ。T155・B85(Dカップ)・W55・H85。趣味は音楽鑑賞。 公式ツイッター<@mizutani0522>/公式インスタグラム<aoimizutani0522

仕事が楽しくて仕方がない、と思いながら日々生活をしている人というのは、世の中にどれだけいるものなのか。おそらく、探してもなかなか見つからないはずだ。楽しんでやれる仕事…それに出会えることはどれほど幸せなことか、考えたことがあるだろうか。

2015年、ソフト・オン・デマンドの『副職AV女優』レーベルから働きながらAVに出演するAV女優としてデビューした水谷あおいちゃん。デビュー当時は白衣の天使(看護師)として働いていたので看護師系作品には定評があります。デビューから半年後、本職の看護師を辞めAVの仕事と本気で向き合うことを決め、2019年現在でもAV女優として活躍中のあおいちゃんのAV女優感に迫ります!

「AVに出演することが人生を変えるいいチャンスなのかもしれない、と思いました」

──看護服姿じゃなくても、癒しのオーラがありますね。まだ看護師は続けてるんですか?

いえ、もう辞めています。2年くらい前に。今はこの仕事1本です。

 

──そもそも、どうしてAV女優になったんですか?

スカウトというか、知り合いの人に誘われたんです。

 

──やっぱり悩んだでしょ。

そうですね。数ヶ月くらい悩みました。AVは何度か見たことがありましたけど、あまりいいイメージはなかったので。見ている時も「自分はいけないことをしてる」という感じが強かったので、AV自体もいけないものだと認識してました。だから、最初は全然やる気はなくて断っていました。

 

──飛び込む決め手になったのは、なんだったんですか?

子供の頃、女優になりたいと思っていた時期があったんですよ。オーディションに応募したりしてました。ただ、憧れはあったんですけど結構人見知りな性格だったりするので、向いてないだろうな…と思って、もうひとつの憧れだった看護師を目指したんです。

そういった、人前に出たいという気持ちが、また芽生え始めたというのがありました。そして、このスカウトが自分の人生に何かプラスになるのではないか、人生を変えるいいチャンスなのかもしれない、と思うようになって、やることを決めました。

 

──副業にしたのは、何か理由が?

看護師に就いたからには3年は続けないと、と最初に思っていたので、それを貫いた感じですね。

バレるのは怖かったんですけど、誘ってくれた方が大丈夫だというので、それを信じて兼業することにしたんです。

 

──最初からAVは仕事だ、という感覚を持ってました?

専属だったので撮影は月1回でしたから、仕事という感じより、休みの日に楽しいことをやりにいって、ついでに動画を撮られます、的な感じでしたね。セックスは好きなので。

 

──看護師の仕事をし始めた時は、どんな感じでした?

人の命を預かる責任感が、ドカンとのしかかってきた感じです。いい緊張感と高揚感が半々でありました。

 

──AVが仕事だと思い始めたのは、いつ頃からです?

デマンドさんの専属が終わったくらいからですね。キカタンになっていろんなメーカーさんの作品に出させてもらうようになって、他の女優さんの作品を見るようになったんです。

ツイッターもその頃に始めて、いろんな情報が入ってきて、もっと一生懸命やらないといけないな、と思うようになりました。

 

──専属が終わったあと、辞めようとは思わなかった?

向いてる向いていないは別として、もっとこの業界にいたい、いろんな作品に出てみたい、と思うようになってたんです。普通の女優さんとは違いますけど、見てくれる人がいて、応援してくれる方がいる、というのもいいなと思って。

それと…看護師を辞めなければいけないかも、と思い始めたのも、続けようと思った理由なんです。

 

「AV女優はエロいというイメージがあるからこそ、この業界は存在しているんじゃないかと思っています」

──何かあったんですね。

同じ病院の先生に、AVに出ていることを知られてしまったんです。ある日、呼び出されて「エロい目でしか見ることができない。もうあなたとは一緒に仕事はできない」と言われて…。たしかにそうだよな…と思って、もう兼業はできないな、と…。

看護師の仕事を続けながらAVに出るというのが、リスクだということはわかっていました。患者さんからしたら、そんな人に看護をしてもらうのはちょっと…と思うはずですから。

 

──世間一般のイメージは、やっぱりまだまだ悪いんですね。

実際にやってみて、みんながAVという1つの作品のために、仕事としていい作品を頑張って作っているというのはわかりました。だから、「エロい目でしか見れない」と言われた時は悲しかったですけど、諦め的なものもありました。

イメージが変わってほしいなという思いもありましたが、今はそういうイメージがあるからこそ、この業界は存在しているんじゃないかと思っています。

 

──どういうことです?

夢の国、みたいな感じです。みんなが真面目にエロを作っている、というよりも、性欲が強くてセックスが大好きな子たちが作ってるんだ、という方が、見ている人は興奮できるんじゃないかなって思うんですよね。

だから、あんまり頑張ってる感は出さない方がいいのではないかと思ってます。演技じゃなくて、本当に好きでやってる、そう思った方が興奮しませんか?

 

──そうかもしれませんね。でもみんな、本当は頑張ってますよね。

本当に。仕事として頑張っている女優さんが多いのには、ビックリしました。

 

──水谷さんも、今はこっち1本で頑張っているんですよね。

結果的に、AVだからという理由ではなく、副業禁止の規則があったので、看護師は辞めることになったので。それから2年、意識はだいぶ変わったなとは思いますね。デビュー当時は、AVのことを考えるのは撮影の時だけでしたけど、今は撮影がない時もAVのことを考えてます。これってエロいなぁ、とか、このエロさを出すにはどうしたらいいのか、といった感じです。

ただ、一時期エロさについて考えすぎて、女優を辞めようかなって思った時があったんですよ。

 

──それはなぜ?

私、本当に地味で、結構エロくないって言われるんです。女優の中には、存在自体がエロいと言われる方がいらっしゃるじゃないですか。そういう人には絶対なれないから、どうしたらエロくなることができるんだろう…そもそもエロいってなんなんだろう…って、すごく悩んでしまったんです。

それを、ある監督さんにポロっと言ったら「君のような普通の人がセックスをしている、それ自体がエロいんだよ」とおっしゃってくれて、自分なりにやっていけばいいんだ、それがエロにつながるんだ、というのがわかったんです。監督さんには、本当に救われました。

 

──エロい目で見られたことで、看護師を辞めることになったのに、今はどうエロく見られたいかを考えてるなんて、なんか変ですよね。

本当に、変な話ですね(笑)。

AV女優をやっていてのやりがいは、やっぱりその作品を見てヌイてくれる人がいる、ということ。役に立ってるんだなって思うんですよね。

だから、ファンの人たちから「あの作品、良かったよ」とか「その作品でいっぱいヌイてます」と言われるのは、本当に嬉しいですね。

 

──普通の人に言ったら、セクハラになっちゃいますよね(笑)。

でも、この業界だと、褒め言葉になるんですよね(笑)。「エロい」っていう言葉も含めて。

 

「看護師に復帰はしません。いずれ戻るんだ、と考えていると、逃げ場を作っているようなので」

──今後もエロを極めていこうと思ってます?

そうですね、私なりのエロい姿を見せていって、いろんな人から「エロい」って言ってもらえるような女優になっていけたらなって思います。それが、この仕事の成功だと思うので。

 

──他に目標みたいなのはありますか?

そこまで具体的に考えているわけではないですけど、AV以外で演技のお仕事ができたらいいなとは思っています。

 

──やはり、できればそっちに行ってみたい?

そうですね。ただ、演じること自体は好きなんですけど、まだ上手ではないんです…。

デビューした頃に比べれば、ファンの人たちから褒めてもらえるようにはなったんですけど。未だに、カメラが回ると緊張で身体が硬くなってしまうので、まずは自然体で演じられるようにしなければ、と思っています。

 

──将来、看護師に戻ることは考えてますか?

昔は考えてましたけど、今は考えていないです。いずれ戻るんだ、と考えていると、なんか逃げ場を作っているような感じになってしまうじゃないですか。みんな真剣に作っているのに、そんな考えをしているのはダメだと思うので、考えないようにしたんです。

まずはAV女優という仕事を真剣にしっかりとやって、それで満足して辞めたら、その時に戻るか戻らないかは考える、ということにしました。

 

──AV女優としての満足、それはどうなった時です?

なんでしょうね。最初は、何か賞をもらったら…とか思ってましたけど、賞をもらったら、じゃあ次は…という気持ちが出てくるような気がします(笑)。今は、この業界に骨を埋めてもいいかな、と思うくらい仕事が好きなので、ゴールはわからないですね。

初出:ソフト・オン・デマンドDVD 2018年5月号 Vol.83の内容を一部加筆修正しています。

 

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