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【連載インタビュー・職業「AV女優」】Vol.12 美谷朱里 なぜ彼女たちはAV女優を「仕事」に選んだのか。苦悩・葛藤・熱い思いなど彼女たちのAV女優観に迫るディープ・インタビュー!

もう数年前からAV女優は誰でもなれる職業ではなくなった。今、第一線で活躍するAV女優たちはみな、容姿やスタイルの高レベル化はもちろん、AVを仕事として捉え、AV撮影やイベントなどに対するストイックなまでの真面目な姿勢や、日々のSNSでのセルフプロデュースやファンとの交流など、一般職よりもはるかに高いレベルの努力をしている。この連載は、「なぜ彼女たちはAV女優を『仕事』に選んだのか」を軸にプロ意識をもってAVに取り組む女性たちに迫るインタビューです。

仕事が楽しくて仕方がない、と思いながら日々生活をしている人というのは、世の中にどれだけいるものなのか。おそらく、探してもなかなか見つからないはずだ。楽しんでやれる仕事…それに出会えることはどれほど幸せなことか、考えたことがあるだろうか。

今回の職業「AV」女優は企画単体女優としてデビューし1年もたたないうちに100タイトル以上の作品に出演し、その活躍ぶりから『スカパー!アダルト放送大賞2019』ではFLASH賞、『FANZAアダルトアワード2019』では特別賞を受賞した超人気キカタン女優の美谷朱里ちゃん。子供の頃に習っていたダンスで培った腰フリから繰り出される騎乗位は一度でいいから体験してみたいスペシャルスキルを持つ朱里ちゃんのAV女優感に迫ります!!

Profile 1997年4月15日生まれ。 身長166cm、B83(Eカップ)・W58・H86。 公式Twitter<@akari_mitani17> 公式Instagram<@akarimitani0415

「初めて撮影をしてから、ちょうど2年になりました。撮ったのは、400本くらいです」

──美谷さんって、かなりたくさんの作品に出演されてますけど、仕事を始めてどのくらいになるんですか?

初めて撮影をしてから、ちょうど2年になりました。

 

──まだそれだけなんですか!?2年であの本数は…驚きですよ。

撮ったのは、400本くらいですかね。

 

──始めた頃はそんな本数、想像してなかったんじゃないですか?

そうですね。デビューのきっかけは、知り合いの人から「AVやってみない?」って言われたからなんですけど、その時は月に1、2本出て少し稼ぐことができればいいや、くらいしか考えてませんでしたから。

 

──AVのことをよく知ってて入ってきた感じですか?

知っていたというか、AV女優さんが好きだったんです。まず興味本位でAVを無料サイトなんかで見て、そこで上原亜衣ちゃんを知って「すごい素敵だな」って思ったんですよ。で、亜衣ちゃんが恵比寿マスカッツに入ったので、地上波の番組を見だして、そこで「AV女優さんって面白いじゃん」みたい感じになって。

 

──自分もなりたい、と?

憧れですね。それまでは「AV女優なんて」と思っていたんですけど、見方が変わって魅力的な存在になりました。

 

──それじゃあ、話をもらったときは即決だったでしょ。

即決とまではいきませんけど(苦笑)、まあ。怖いっていうイメージもありましたし、バレたくないなって思いましたから。

でも、まあ私なんかが出たところでそんなに目立たないだろうから大丈夫だろうって思って決めました(笑)。

 

──結構軽い気持ちで始めたわけですか?

確かに、がっつりやろうっていう感じではなかったです。AV業界がどんな規模かも知らなかったので。

だから、デビュー作が出たあと、通販サイトを見てたら宣伝バナーで「美谷朱里、大型新人デビュー!」みたいなのが書いてあったのには、本当に驚きました(笑)。

 

──がっつりとやり始めたのは、どれくらいからです?

4月に単体作品を2本、6月に素人名義のを2本撮った後からなので、デビューから3ヶ月後くらいからですね。AVを本職にしようって思ったのは。

 

──4本でよくやろうと思いましたね。

本数は少ないですけど、意外とこの仕事楽しいのかなって思ったので。それ以上に、AVをやる前に働いてたところがストレスで、そこから逃げたいっていうのが大きかったですね。

 

──働いてお金を稼ぐなら、楽しく稼ぎたい、と?

AV楽しいのもそうですし、月に2本くらいAVに出れば前職の1ヶ月分のお給料になってとりあえず生きていけるから、月に27日は働かない、人生の休暇期間になればいいな、みたいに考えました。

 

──でも、蓋を開けたらオファーラッシュと。

デビュー作が評価された9月くらいから忙しくなって、今に至るっていう感じです。

 

──最高で月何本くらい撮影しました?

15本とかかな。現場を5、6本連チャンした時は、さすがに体調を崩したんで、その後は月12本くらいにセーブしました。

 

──撮影は早朝から深夜までやるし、よっぽどこっちの方がブラックな気がするんですけど。

全然、もう楽しくできてるんで。前の仕事はやりがいがなかったんですよ。

もちろん、最初はすごい頑張って、それこそ賞とかもらうくらいだったんです。でも、そうやって頑張ってもダメなんだっていうのがわかってきて、どんどんやる気がなくなって、仕事をするのがストレスになっていったんです。

私、勉強とかも、やる意味を見いだせない教科とかは、授業中ずっと寝てましたから。

 

──自分が興味あって「これに向かってやるぞ」と決めないとダメなんですね。

そう、やりがいがないと頑張れない性格なんですよ。

「初はそれこそ、男優さんとエッチするのが楽しみ、みたいな感じだったんです」

──AVには、どんなやりがいを見つけたんですか?

プロデューサーさんや監督さん、スタッフさんにAVファンの人たちが、いろいろと褒めてくれるんですよね。頑張ったところを評価してもらえるっていうのがすごく嬉しくて、もっともっとほしいなって思って。

それに、スタッフさんたち皆さんが一緒に頑張ってくれる、というのも、この仕事のいいところだと思うんです。ただただ「頑張ってね〜」だけだと、「ああ私、頑張らないといけないんだ」みたいになって、期待が肩に重くのしかかってきちゃうんですよね。そうなると逃げちゃうんです、私(笑)。だけど、ファンの人とかも「一緒に頑張ろう」って言ってくれる、それは本当にありがたいです。

 

──世間的には、AVは女優1人が頑張るものだと思われてるかもしれませんけど、1人で頑張ってもねぇ。

本当に。変態の人がカメラを持って撮ってるわけじゃないんですよね(笑)。ただのスケベオヤジが監督しているわけでもない(笑)。みんな真剣な顔で、それなりのリスクを背負いながら撮っているんです。

まあ、丸投げ的な現場もあったりはしますけど(苦笑)。

 

──それは信頼されてるからですよ。

まあ、そう思っておきます(笑)。

 

──ちなみに「AVが私の仕事だ」というふうに思い始めたのは、どれくらいからです?

デビューした年の12月くらいからかな。最初はそれこそ、男優さんとエッチするのが楽しみ、みたいな感じだったんですけど、その頃から「あれができなかった…」とか「あそこはこうした方がよかったんじゃないか」みたいに考えて、悔しく思うようになってきたんです。そこから、エッチを楽しむではなくて、仕事を楽しむ、という感じに変わりました。

 

──今は何か目標を持って仕事をしている感じですか?

目標…そうですね。正直、有名になりたいとかはないし…なんだろう。

 

──憧れのマスカッツに入りたいとかは?

いえ、憧れで大丈夫です(笑)。

「程よい偏見の中の方が、燃えるんじゃないですか、業界も(笑)」

──AV以外でやってみたいというのは?

興味ないですね。なんか大変だなって思うので。基本、AVだけでいいです。

 

──AVをステップにする子が多い中で、珍しいですね。じゃあ、どんな女優になりたいとかどんな作品に出たいとかは?

AVこんな女優とかこんなジャンルに出たいとか、そういうのではなくて、他の女優ではできない、自分にしか作れない作品を撮ってもらえる女優になることですかね。

肉体的に無理とかそういうのではなく、「美谷朱里だからこの作品はできた」「美谷朱里だからこの作品を撮りたい」みたいなものを、一緒になって作り上げていきたい、というのが目標ですね。

 

──そういう作品ができたら、もう辞めてもいい、みたいな?

AV全然。これって、どんどん上があると思うんですよ。これができたんだったら、次はその上のこれを、という感じです。そういう作品をたくさん世に送り出していきたいです。

 

──その考え方、プロって感じですよね。

プロ…、そうプロになりたいですね。仕事として胸を張りたいので。

 

──ということは、今はあんまり胸を張って「私、AV女優です」とは言えない感じですか?

そうではないですよ。別に言うことには抵抗ないですし、基本的に自分の仕事はAV女優だっていう気持ちはありますから。

でも、言うと話が面倒になるじゃないですか。みんないろんな事情を経て女優になってるわけで、そのプロセスがわからないと理解してもらえないと思うんです。

私だったら、AV女優が好きで、仕事に悩んでいた、というのがあって、そこからAVを選んだ、というプロセスですね。そういうのをイチから説明するのは面倒なので、言う必要があれば言うし、言わなくてもいいなら言いませんね。

 

──そういう偏見がなくなって、堂々と名乗れる職業になったらいいな、名乗れるようにしたいな、とかは思いません?

なんだろう、ローンが組みやすくなるとか、そっち方面がラクになればいいなとは思いますけど、別に偏見はあっていいんじゃないかなって思います。パンツとかブラジャーで隠しているところを出して見せるわけですから。

逆にそういう偏見がないと、女優のハードルがどんどん高くなっちゃうと思うんですよね。

 

──エロのハードルということですか?

脱ぐことが当たり前になってきて、もっと可愛い子が入ってきたら、こっちも商売あがったりになっちゃいますから(笑)。それに、エロのハードルが低いと、女優が求められるものが高くなって大変になっちゃいますしね。

あと、エロに特別感がなくなっちゃうと、AVの需要もどんどんなくなっていっちゃうと思うので、程よい偏見の中で頑張っていければいいんじゃないかなって思うんですよね。

 

──なるほど、一理ありますね。

程よい偏見の中の方が、燃えるんじゃないですか、業界も(笑)。

 

──美谷さん自身も、まだまだ業界で燃えていきますか。

そうですね、できれば期待されながら長く続けたいなっていうのが理想ですね。期待されなくなった時が私の終わりだと思ってるんで。

 

──美谷さんだからできる作品をどんどん作っていってください。

広く一般的に認知されるよりも、AVファンの人たちに認めてもらいたいという思いが強いので、ナンバーワンよりもオンリーワンの女優になれたらいいなって思います。

初出:ソフト・オン・デマンドDVD 2019年5月号 Vol.95の内容を一部加筆修正しています。


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