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2021年に向かって試行錯誤を繰り返すライブ&イベント
新型コロナウイルスは収束しているどころか、ヨーロッパでは再び拡大の兆しが出ています。特効薬はおろかワクチンも開発できていない状況というトンネルの出口はまだ見えていません。ステイホームと言われなくても、籠る人もいれば、GO TOキャンペーンを有効に使って、飛び出している人もいます。
ハロウィンも例年通りではないけれど、予想を上回る人出はあったようです。そんなに我慢していられないってことでしょう。
マスクを欠かさずしている人もいれば、そろそろしていない人も出てきている。それぞれの主張がはっきりしてきて、どれが正解かジャッジしづらい状況です。そして、「集客することができない」という生命線を絶たれていたエンタメ系ですが、国からの公式見解が発表されたことで、徐々に動きが出ています。
プロ野球では、実際の試合として球場(屋根無し)観客を入れて(有料)、コロナの実験を行いました。海外だと、例えばドイツなんかは、室内会場に観客を入れての実験を夏に行っていましたね。ヨーロッパは距離が離れていても地つながりしているため、エンタメに関しては、言語関係なく重要な産業。どのように安全でスタートを切れるかを考えています。例えば、野外フェスでは、フェンスで囲んで4人ぐらい入れるスペースを作り、その中でライブを観る。ちなみにスマホを使って、フェス飯出前なんかをやっていました。
映画館は、飲食有り無しで、客席を開けるかどうかを決めたりしたところに、『鬼滅の刃』の大ヒットで、シネコンはホッとしている様子。映画カルチャーで考えると、単館系やミニシアターが復活を期待しているのですが、こればかりは「収容数」がポイントになってしまうので、まだまだ復旧は先のことになりそうです。
トークライブは、テレビやYouTubeなどで楽しむことも、作ることもできていたので、そちらに対応できる芸人や、識者は人気を得ています。対応とは、「クロストークにならない」と「ひとりでしゃべり続けない」がポイント。黙るのに関しては、実はカメラワークがあれば対応できちゃいますし、配信を見ている側は、カメラのスイッチングが多いほうが圧倒的に楽しいです。リアクションは大きいほうがいいのですが、声が大き過ぎてメインにかぶると、番組として、「何をやっているのかわからない」ということになり、逆にNG。ひな壇芸人は、コロナ禍で人数も減らされているし、実は正念場なのかもしれません。
よく見ると、テレビの出演者も、YouTuberになった人も、売れている人は、「メジャーとして人気のある人たち」ばかり。新しい人たちも、声の出しどころを知っているタイプが人気を得ています。MCかその受け手(聞き手)じゃないとダメ。ラジオが得意な人が有利なのは間違いありません。
ライブイベントは、配信ライブがかなり定着してきました。その結果、メジャーとマイナーの差は、ここでさらに明確化されてしまった気がします。大会場を無観客で使用する、メジャーたちは、その視聴総数が話題に上がり、「エンタメは大丈夫かも」と思わせる効果を最大限に発揮させています。
それに反して、ライブハウスは、閉店を発表するところが多く存在しているのが実情です。ライブハウスのカタルシスとは、「密集した人間たちの起こすエネルギー」です。パンクだろうがメタルだろうが、アイドルだろうが、集団化した人間たちが、ステージ上のパフォーマンスを引っ張りあげているわけです。これももはや過去形になってしまいました。エネルギーと咆哮とが爆発する地下スペース。思えばビルを作る際に必要とする地下スペースがあり、飲食のみではうまくいかないフロアを安く借りることでスタートしていたり、元々は喫茶店や飲み屋だったスペースを使っています。防音という意味では、80年代とかはめちゃくちゃでしたけど、改善されて、ロックのみならずアイドルも吸収することで大きくなったライブハウス。コロナ前に戻ることはないでしょう。
しかしながら、自分たちで思考することで、ライブハウスの新たな生き方を模索している店舗もあります。リアルを呼べるようなソーシャルスペースを作る箱。規定を作り徹底することで、クラスター発生を防ぐべく注意と換気と、喚起を怠らない箱など、さまざまに考えているわけです。
リアル観客を呼ぶにしても、国の定めた規定がありますし、飲食にも規定があります。ソーシャルディスタンスの中で声を出すことは、「マスクをしていれば良いですよ」とアーティスト側が言ったとしても、やはり憚るもの。必然手拍子やペンライトのコールの勢いも下がってしまいます。
そう、ライブハウスカルチャーの声援は、アイドルに飲み込まれている場面で考えると、声とペンライトが重要。ロックの場合、声と手拍子なのが本当にわかりました。よってそこを封鎖されると観客にとって、今のようなライブハウスは楽しいスペースではないのかしれません。それが現状です。
配信に活路を見出し、店舗スペースを使用して配信映像をお店から発信する活動を続けているライブハウスもあります。ミルキーポップジェネレーションが主催しているライブイベント「月で逢いましょう」が開かれる会場は、「グレープフルーツムーン三軒茶屋LIVE&BAR」です。
ここはミュージシャンでもあるスタッフたちが自ら、カメラを持ち、スイッチングをし、配信に特化したミキシングをすることによって、「ミュージシャンが欲しい映像と音」を配信の中で確かなものを構築しています。結果、ここはライブ予約が満員状態なほどに活況を呈していいるわけです。以前のような集客と賑わいをメインとするのとは違うことを自覚しつつ、苦労をしながら日々研究しながら店舗運営をされていることと思います。
結果的にいえば、現状で開催されている大手も含む配信ライブの中で、トップレベルに面白いライブ映像を送り出すことに成功しているのです。みんな苦しんでますよ、配信映像も音作りも。ドームに巨大スピーカーで流すとはわけが違う。また個々のスピーカーレベルが違うわけですが、選択するのは聴く側の観客です。自分のPCやスマホスペックがダメだったとしても、「出す側が悪い」となってしまい、2度と聴かなくなる可能性が高いのが配信ライブなのです。
ちなみに大手の配信ライブは、「DVDやテレビ映像に予算を投下して、A Rやブロジェクションマッピングを駆使し、客席もライブスペースとする大掛かりな映像を作り上げる」バージョン。テレビのライブ番組を生放送するイメージで作りあげるバージョンなどがあります。アンコールをどう処理するかとか、課題を利用しつつ、ガチガチにプログラムを組み上げる「台本のしっかりしたライブ」ということでしょう。
自由なパフォーマンスと、観客とのコール&レスポンスが重要だったライブは、配信になることで、カメラ目線ひとつとっても、いかにライブをするミュージシャンに伝えるかが重要になりました。アマかプロかの差を大きく広げてしまったような気もします。
セクシー女優がアリの一穴となって
配信ライブシーンを塗り替える可能性
ミルジェネライブは、ご存知のようにセクシー女優がライブします。ミルジェネ自体は、彼女たちとの話し合いによって、「どのような歌詞」で、「どのようなサウンド」で、オリジナルを作るかを決めて、CDを制作しCD流通で販売するレーベルです。
セクシー女優たちが歌が上手い人がいるといっても、実際にはごくわずかでしょう。プロになった人たちは、あふれる才能タイプが、日々努力を続けている。アイドルだってボイトレやダンスレッスンを続けているわけです。しかしセクシー女優の場合、本人が努力をしない限りは、本業はAV出演です。そちらでもたくさんの準備するべきことがあるわけで、遊びやガス抜きにならず、二足のわらじになり、負担増になって止める人も多いわけです。ファンオフ会でのカラオケのほうが楽しいかもしれないですしね(笑)
ステージに上がってしまえば、プロと比較されるのは当たり前のことなのです。しかし歌やダンスを補ってお釣りがくるほどのものを持っているのがセクシー女優たち。それは数多くの「一発本番撮影」で築き上げた演出力です。プロシンガーよりも上をいく表現力を持っている人がざらにいるわけです。セクシー女優はそういう力を得るような、緊張感の中でお仕事をしているのです。
だからというわけではないですが、演出などが必須になる配信ライブには、セクシー女優たちが活躍できる可能性が高い。さらにいえばポテンシャルをもっと発揮できるライブになるのです。そして本来、セクシー女優は、ファンと会って交流する活動を是とはしていなかった。時代の要求に応えたから昨年までの事情があり、変わっていく可能性があることを否定できる人はいないでしょう。
ファンのみなさんはどうしても直接観ることこそ、リアルだと信じていると思います。しかし時代は動き出してしまった。2021年になって、いきなりライブハウスがOKになるとか、直接会えるイベントが増える可能性は低いです。
アイドルや歌手の中には、ライブ復活したけれど、チケット代を上げた人がいます。従来よりも観客数が半分になるならば、チケット値上がりは致し方ない話。これ、セクシー女優のイベントなどにも起こりうることです。
配信ライブの可能性とは、観る人(チケットを買う人)がリアルライブの何十倍も視聴動員が増えることが前提です。乃木坂46の白石麻衣のライブセットにお金をかけることができるのは、それだけチケットが売れたから。売れすぎた結果、回線の混乱が起こりましたけど、日本はまだまだITは遅れているのがわかったわけで、2度は起こらないでしょう。日々が実験しているのが真実です。
配信することに比重を置いているライブ「月で逢いましょう」は、もっともっと、観る人が増えていくことで、できる幅が広がっていきます。今回紹介するライブを含めて、素晴らし出来のライブばかりです。誰かのライブを観ることで、次のライブ、さらにその次のライブへと演出や表現が高まっていきます。
2021年がどうなるかなんて、とても考えられないことでしょう。日常が変わってしまったことで、ライブやイベントを楽しむことを止められた方々もいるかと思います。直接出会うことが楽しみだったので、配信では意味がないと見ない人もいるでしょう。
しかし、2021年を考えた時、配信ライブが良き方向に進化するのが大事なのことなのです。それは新しい楽しみを覚えることかもしれない……結論は出せない限り、進化しなければならないのです。
演出と表現力、映像の向こうからこちらを引きつける能力を持つ歌手。この文章を読んでいるうちに、配信ライブに進化の鍵を握るのは、ライブパフォーマンスに自ら演出をつけることができるセクシー女優のような気がしてきませんか?
選曲センスがあるのは歌う意味があるから
〜10月11日「月で逢いましょう#05 枢木あおい」
11月11日全国リリースのオリジナルシングル「輪舞曲」を発表しているセクシー女優・枢木あおいちゃん。同じ「グレープフルーツムーン三軒茶屋」にて、CD先行発売記念ライブを開催したのだが、今回は、「月で〜」への初出演となりました。
ステージ上のパフォーマンスの堂々とした雰囲気から、度胸満点のように見える枢木ちゃんですが、実はかなりの緊張しいです。ライブすることであったセクシー女優の中では、一番緊張していると思っています。歌を聴いて確認していたり、ウロウロしていたり、話をしても意外と顔が強張ったままだったり。人一倍、見せることに対しての意識が強いのかなと思います。この日もちゃんと緊張していました。ちゃんとリハーサル準備ができているにもかかわらずです。
枢木ちゃんのライブというと、どちらかといえば「跳ねまくり」なライブパフォーマンスを連想させると思います。「Rising Hope」での爆発力はとても素晴らしい限り。ロックチックな雰囲気を持っている感じですね。ニコ生歌い手さん好きではあるけれど、自分が好きな歌と、自分が歌う歌が合致しているのでしょう。
さらに、「自分だけでなく、お客さん(年上世代)がわかる歌を歌う」というのもセトリを組むライブの場合にはテーマにしている感じ。歌手として考えたら、超ベテランにならないと、この領域には至らないことがほとんどです。
ヒット曲を持っているアーティストがいたとして、彼らはどうやらやりたくなくなっていく。理由としては、「何回もやっているから」ですね。わがままというなかれ。自分としては進化していきたいけれど、ファンは前の自分を要求するわけだから。その割には、ファンと違うラインからは、「また同じことやっていてワンパターン」とか言われる。SNS時代の前から言われるジレンマなわけです。
アーティストが抱えるジレンマを、ぴょんとクリアしているのが枢木ちゃんと言えるでしょう。
枢木ちゃんは、ファンとして好きなアーティストのライブを観るんだと思います。とするとどんなセトリを組んで、どのように楽しむかは重要なことなのがわかってくる。歌うことだけを注視してしまうと、盲目的になってしまい忘れがちですが、どのように見られているかを意識しないと、ライブじゃない。そこを楽しめないならばライブはやらないほうが良いわけです。事実、プロでもライブをやらないアーティストもいますし、理由はだいたい「自分の望むことが100%できないから」だったりします。
ニコ生ボカロ系の歌を歌い、自分の歌い手としての快感を得た後に、本人的には世代ではにであろう昔の歌を差し込んでくる。この流れを作ることで、お客さんにも集中力が出てきます。
従来のライブだと、ペンライトを振ったりコールを打ったりしているなど、やることはいっぱいあったわけですが、現在、ご存知のようにやれることは限られています。本人が願っていても、事前に確認が取れていないと躊躇するのが日本人の規律の素晴らしいところですから、誇っていいのですが、ライブとなると寂しいのも事実。
そういうダレそうな時間帯を作らないようにするには、「知っている楽曲」をやることに限ります。枢木ちゃんの場合、オリジナル楽曲は発表したばかり。ニコ生ボカロ系は、知っている人と知らない人のギャップが広いので有名です。さてどのような楽曲を持ってきたのか。
選曲したのは、清水翔太のカバーですが、「化粧」。オリジナルは、1978年の中島みゆきのアルバム収録曲であり、桜田淳子の楽曲として1981年にシングルとして発表されて楽曲です。
「丸の内サディスティック」は、セクシー女優さんでカバーする人多いですね。椎名林檎のセクシー女優の支持の高さは凄いと思います。特にデビュー前期の楽曲をカバーする人が多いのは、あの衝撃を子どもの頃に覚えているからなのでしょうか。
そして、ライブテーマ曲「Fly Me To The Moon」は、ヱヴァで知った人は多いんでしょうね。古い楽曲だってアレンジを考えれば新しくなります。それを枢木ちゃんが歌えばなお新しく感じるというわけです。
このように、プログラムされたライブセットリスト。そして画面に向かっての目線の数々。配信ライブにおいて重要なのは、視線のやり場です。観客を入れていると、彼らも見なくてはいけなくなるし、かといってカメラの向こう側を見ることを減らすと、家だったりして、集中しない環境にいるわけですから、見なくなっちゃう。リアルタイムで流していても、今どきのテレビ同様、流し見状態になってしまいます。
楽曲のアレンジに応じた視線配り。そして演出に応じたカメラワーク。これらが合致して初めて、「配信ライブをやっています」と言い切ることができるでしょう。細かいセリフを記載しているような、ガチガチの台本が必要なのではなくて、「どのように進めるか」を、全スタッフが把握するライブが、配信には必要なようです。
サポートである平方トーマス元さんのキーボードとコーラスに乗っかり、気持ちよさそうに歌う枢木ちゃん。アンコール一発目に登場した「ありの歌」はアニメ「クレヨンしんちゃん」EDです。クセになるリズムとかなり深い歌詞。意外と哲学的なこの楽曲が、枢木ちゃんのセクシー女優業を含んだ、「お仕事の姿勢」を象徴しているような気がします。
最後に、オリジナルCDに入っている「二人のテスラ」を披露した枢木ちゃん。最初から最後まで、アンコール含めてのバランスに優れ、なおかつ楽しむことができるプログラムを披露しました。さらなる飛躍が期待できるパフォーマンス力を発揮してくれたことにyり、バラードパターンでもロックパターンでも、どんとこいアーティストなのがわかりました。
変幻自在にキャラクターをこなし、JKからOL、人妻までもこなす枢木あおいちゃん。そんな極端に違う内容なのに、ちゃんと「枢木あおい」が入り、エロ気を成立させてくれるのが彼女の強み。歌の世界でも、枢木あおい印をちゃんと残してくれました。
何より、「歌がライブごとに上手になるアーティスト」なんて、なかなかいないと思います。そのくらい表現力とテクニックのバランスが取れた歌手・枢木あおいなのです。
セットリスト
- 01:glow/keeno
- 02:金魚すくい/藤田麻衣子
- 03:Ghost of a smile/EGOIST
- 04:おなじ話/ハンバート・ハンバート
- 05:化粧/清水翔太
- 06:丸の内サディスティック/椎名林檎
- 07:Fly Me To The Moon
- EN1:ありの歌/やなわらばー
- EN2:二人のステラ/枢木あおい
歌い続けることの素晴らしさ!さらなる境地へ向かう
〜10月25日「月で逢いましょう#06白石茉莉奈」
前章の原稿にも書いたのですが、「自分の歌とはいえ、歌い続けること」はとても難しいです。本人が好きで歌っているでも、「また歌っているよ」と言われる。あえて歌うことを外していったのに、「あれを聴きたい」と言われる。同じ意見を同一人物から言われたりすることもあります。それぐらい、他人は関心を持ちつつ、記憶には止めないのです。
アーティストとしてのジレンマが生じるのは、上手な人であればあるほどでしょう。なまじ上手だと、新曲をかけるにしても、カバーを歌うにしても、「自分の中の及第点」をクリアしないといけません。そこに至らないものを強引に歌うことは、プロとして恥さらしと思うわけです。
しかしファンサービスとして見た場合、これは真逆になり、「ある程度のお遊びを含めた出来」を披露する代わりに、プログラムの引き締めができるというメリットになります。
デビューした時から、段違いに素晴らしい表現力と、エロく美しい声質を持っていたまりりんこと白石茉莉奈さん。彼女の場合、歌だけでなく、激しいダンスも得意としています。デビューの頃は、ちょうどセクシー女優が歌うことがポピュラリティを持ち出した頃。歌もダンスも上手なまりりんは、ロケットスタートのように見えるに決まってました。
当時は、彼女以外はお遊びに見えてしまうほと、歌やダンスにリアリティのあるセクシー女優はいなかったと思います。
そこから続けていくことの難しさをまりりんは実感しているかも。「上手くて当たり前」なんて、どんなプロでも言われたらたまりません。幻想と対決しているようなもの。記憶はどんどん浄化されて、良いものとしての記憶しか残らないわけです。
もしかすると苦しかったまりりんが、一瞬にして「まりりんはこれだよ!」と輝いたのが、今年開催された「美女と野獣」ライブです。平方元さんとセクシー女優の2マン形式で作られるライブですが、まりりんの素晴らしさを再認識できたライブでした。
そして今回、「月で逢いましょう」に登場となったわけです。まりりんの素晴らしさを引出したのは、もちろん、平方さんのキーボードとコーラスです。上のレベルと触れ合うことで、才能がスパークしたといってよいでしょう。
歌い込む系をしっとり聴かせてくれるのを声でファンに訴えつつ、衣装もまた、「他の方々がドレス系だったので、ロックテイストでまとめてみました」というファンの予想の斜め上いくスタイルを見せてくれました。
まりりんの場合、カバーを歌ったとしても、カバーではなくてまりりん節になるのが特徴です。歌を噛み砕いて分解した後、さらに自分で構築するパターンですね。なので、カラオケの場合、新曲をぽんぽん出すわけにはいかない。自分なりの消化時間が必要となりますから。
「月で逢い〜」シリーズは、リハーサルがあり、その中である程度の作り込みができる。しかも、「ここまでできるならば、本番ではここまでやってやろう」的なパフォーマンスを披露してくれる。平方さんもそこに応えることができるので、ステージが成立する。そしてそこで見られるライブパフォーマンスは唯一無二の回となるわけです。見なかった人はだいぶ損するライプ。そこら辺のプロよりも素晴らしい配信ライブでした。
カメラが入っていることを、たっぷりと意識しているそのパフォーマンスもずば抜けて素晴らしかった。見ている人をちゃんと引きつけるライブであり、それに対応したカメラワークとスイッチングでした。
アンコールでは、まりりんが歌い続けている「大切なあなた」がキーボードとのバージョンで披露され、コール&レスポンスが平方さんとできているからですが、さらに上をいくパフォーマンスを見せ、聴かせてくれました。まりりんのパフォーマンスは、毎度素晴らしいできなので、上書きしていく感じなのですが、今回のは今までのパフォーマンスを残しつつ、さらに色合いが違う魅力を発揮したと思います。
セクシー女優だけでなく、歌手やアイドルでもなかなかできない、「歌に色気を乗せる」ことができるまりりん。「また出たいです!」と高らかに宣言していました。配信ライブをちゃんと血の通った生き物として作り上げたまりりんのライブ。生と配信で二面鏡のようなステージを作り上げてくれました。
「ライブは、始めるまではドキドキなのに、いざ始まると、あっという間に時間がすぎちゃう」と嘆いたまりりんですが、それこそ彼女の歌があってのこと。特殊相対性理論を証明する(時間は相対的な位置で変わってくる)まりりんのライブでした。
セットリスト
- 01:Fly me to the moon
- 02:I Love You/クリスハート
- 03:Versace on the Floor/Bruno Mars
- 04:カムフラージュ/竹内まりや
- 05:With your love/白石茉莉奈
- 06:Feel Special/J.Y.Park
- 07:サマーワンダーランド/backnumber
- EN1:Aimer/城田優・生田絵梨花
- EN2:大切なあなた/松田聖子
まとめ〜さまざまな難しさを感じる配信ライブに
本番上手なセクシー女優がさらに登場する!?
枢木ちゃんもまりりんも、図抜けた歌手能力を持っているからこそ、平方さんのキーボードが自在に彼女たちをバックアップしているからこそ、カラオケでするライブとは違ったものが見られるのがライブです。
しかし、配信ライブとなれば、超メジャーだろうが、アイドルだろうが、セクシー女優だろうが同じ。またバンドだろうがカラオケあろうが同じ結果になりかねないことが起こります。熱量がどれほどに伝わるかということです。
ライブとして過激に過剰にやっていればよいわけでもない。まさにリハーサルを見せられている感じはたまらなくつまらないです。動き回ればよいわけでもない。しかも無観客となれば、フォローしてくれる人たちもいないわけです。
どうしても客席から発されるエネルギーを吸収して、超一流になっていくわけですから、ライブ会場が大きくなればなるほど、歌手が大きく見えるのは、客席のエネルギーを吸収し、さらにパワーが増すからなのです。
そう考えると、無観客ライブ配信の難しさが過ぎるわけです。フォローしてくれる人がいないわけで、エネルギーを吸収し増幅して、客席に返す作業が失われるから。テレビ系を得意としているアイドルが、配信ライブに向いているのはそういう部分です。
集合体ユニットが、コロナ禍で難しくなってきている状況にあり、個々のパフォーマンス披露がメインのセクシー女優はいかがでしょうか。もちろんセクシー女優ユニットもあるのですが、流行の鏡となるセクシー女優のライブ系イベントとして考えると、活躍は個々または3人ぐらいの出演がベースとなっていくでしょう。客席の問題のみならず、楽屋の広さにも問題があったりするんです。密にななり過ぎる会場は多いのです。
歌いたい人だけがやるのもよいのですが、配信されることをベースにした動けるパフォーマー的なセクシー女優が出てきてもよいでしょう。とにかく映像化されることは、彼女たちにとって強みになるはず。映像越しの姿を見せてくれるわけですから。
「見られることを前提としたパフォーマンス」とは、紅白だったり往年のレッツゴーヤングのようなものがそれでしょう。パフォーマンスとトークを切り離しつつ楽しませるライブ。ラジオのプログラムのような感じでしょうか。
2021年になれば、回線の問題に対して、観る側もかなり対策を取れるようになることでしょう。テレビをテレビとして使っている人も、本当に減ってきています。ライブがキラーコンテンツとなるには、カメラで撮られることに対するリアクションをどうできるかが鍵。アイドルよりも経験値が上なセクシー女優という職業は、配信ライブに向いているというのは、このような理由になります。
今回の枢木ちゃん、まりりんも再び見たい聴きたいと思わせるパフォーマンスでした。それをさらに日本中に浸透することで、イベントとはまた違うコミュニケーションが取れることが分かってくることと思います。
どうしても、「セクシー女優の歌?」と偏見な目線で見られがちですが、本当に昔の、「金を持っている人が歌わせる」的なノリでもなく、事務所がかなり協力的に頑張っている時代になりました。
どのようなパフォーマーが登場するか、今年は開催未定となっている「月で逢いましょう」ですが、今後、再登場組の新しい表現だったり、新たなるセクシー女優・シンガーの登場などに期待しましょう。
「テレビやPC越しに見せるライブパフォーマンス」が面白い。そうならないと、ライブ自体が廃れてしまいます。
華麗かつセクシーな歌声とパフォーマンスを、観る機会を作り、ぜひとも観てくださいませ。