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「ち●こが硬くなる」どころか、フニャチンになってしまう!?「ビジネスとしてのAVの岐路」
「みんな楽しくスッキリと抜いてもらい、平和な世界」というノー天気なアプローチこそ、アダルトビデオがあるべき姿だと、いついかなるときでも考えている麻雅庵です。
AVで自分の世界観を語るとか、AVに哲学を感じて語ったりしている方々は、AVをビジネスとして捉えていない、良い意味でとても羨ましい方々と思っています。
AVはまず、「ぼろ儲けするビジネス」としてスタートしました。録画媒体として最先端だったVHSなどの記録メディアを駆使して、これまた時代が生んだ、「お手軽風俗」などに従事するフリーターを中心とした女子たちを使い、「動くビニ本」として撮影販売する。売り先は、見る人直接ではなくて、これもまた最先端ビジネスだった、「レンタルビデオ店」。映画よりもかなり高い回転数を誇り、店舗運営で欠かせない存在になります。ちなみに当時、扱っていないレンタル店もあったのですが、軒並み淘汰(閉店)されていったのを覚えています。
その後、衰退するどころかパワーアップしていくAV。世の中がお金を中心になればなるほど、業界も太っていく。キャスティングされる女子はレベルアップする理由はそういう影の部分がありますが、テレビ業界でも、「可愛くてセクシーな格好に抵抗のない女子」として深夜帯バラエティ番組に重宝される存在になり、「ビデオギャル」とか「AVギャル」と呼ばれる必要不可欠な存在となります。
21世紀には、DVDの登場によって、借りる存在から「買う存在」へとシフトチェンジ。価格も3,200円→2,980円へデフレの影響もあり下がったのですが、この理由はそれだけ枚数を売っていた証拠です。
メーカーから、「ユーザー」というワードを使われるようになり、売り先ターゲットとして明確な存在を認識されるようにAVファンがクローズアップされます。さらには、そんな彼らに、「いかに継続的にAVを売るか」として、きちんとしたビジネスで語られるようになり、「面白いから」だけでリリースされるようなAVが消失していきます。
計画的にリリースされ、撮影内容をチェックして、「いかに売れるAVを撮影するか」。さらには、作ったAVを、「在庫を残さず消さず、店舗との問屋型ビジネス」を成立させ、イベントを定期開催して、地方の販売店を維持させて流通を回転させていく。WEBビジネスのフローが使えたのも大きかったです。リアル店舗とWEB店舗が共存することで、どちらかが傾いたとしても、ビジネスがこけること可能性が減ります(現実、この状況が現在と言えるでしょう)。
こんな感じでAVを語ってみましたが、肝心の「エロ」への話が皆無ですよね。作品として重要だと思われますが、現状のAVにおけるビジネスマターでは、内容としてのエロ濃度とか、作品として最高に抜けるAVとかを語っても、それが売れることにつながると限らないのです。
エロさがポイントにならないAVという構造的な矛盾。売ることが先んじてしまい、イベントをする理由が本末転倒しているAVビジネス。
AVファンが楽しく内容だけを語って成立する世界に戻れるのか、非常ベルが鳴り響くAV業界を、ち●こじゃない硬い話で見ていきたいと思います。
最初に書いておきますが、2020年現在のAVは、AV女優がリアルでアイドルよりもさらに身近な存在となっています。オナニーアイテムと考えたら、プレイ内容から表現方法、コスチュームに女子のスタイルなど、ありとあらゆるエロが勢揃いした、「最高のオナニー時代」であることは間違いないのです。
大衆を相手にしていく王道しか許されなくなっているAV
「AVが売れていた時代」という表現があっているのか間違っているのかは、売れ方の指数計算が現在とまったく違っていたので、並列価値としては語れないのですが、とにかく初期から90年代にかけてのAVは、「抜くこと」を想定していない作品もたくさんリリースされています。
レンタルなのもあるから、パッケージが扇情的になっていれば間違って借りる人もいる(笑)さらにAV情報誌がコンビニにたくさん並んでいたので、読者には吟味することが可能でした。その中で、あえて「面白くて抜けないAV」を探す人たちがいた時代でもあります。
サブカル展開している、よりマニアックな方法でとても抜けない内容で、目も当てられない作品だろうがリリースされていく。中にはバカバカしさが高評価を得たりして、話題になったりする作品も登場します。でも売れてませんから、ほとんどが(笑)
それでも業界的に余裕があり、監督やスタッフたちの中に、そちらの才能がある人が寄ってたかってきても、びくともしなかったわけです。ちなみにAVで得た利益によって、自分自身のガチフィールドを立て直し、現在はメジャーな存在になっているクリエイターはたくさんいます。大人計画なんてわかりやすい存在ですよね。
ところが流通をしっかりさせて、リアル店舗や、AV女優となる女子たちと彼女たちを仕切ってくれるプロダクションを潤わせつつ、安定した業界作りを標榜していった結果、「妙なプライドに立脚したマニアックなAV」は一気に排他されてしまいました。AVのメジャー化とでもいえばよいのでしょうか。テレビ媒体などのメジャーで取り扱われる側は、より充実させていきました。AV女優のアイドル化です。
そしてエロ側では、「きちんとした卑猥で自己表現できるエロの高みを理解する女優」が高評価の対象となり人気を得ていく。しかしながら、そこで撮影されるAVには、例えSMだとしても、往年のような芸術性を探るものではなくて、わかりやすいプレイが撮影され、マニアの入り口くらいのほうが楽しめるものに昇華されています。
「AVとしての王道」は、理解できる範囲の中で、マニアックだったり、可愛かったり、制作者の妙な意図が入らず、明確な抜きどろこがあり、女優はちゃんと卑猥に反応し、SEXを楽しんでいる姿が映し出されるものです。ここのレールから外れ具合が大きいと、AVとして脱線してしまいます。AVはプログラムピクチャーでもありますから、脱線した作品だったとしても、売上データのマイナス面が出揃う前に撮れてしまい、リリースされちゃうんですけどね(笑)そういう内容を上手に通す猛者はもういないのが事実で、そういう妙な内容はリリースされていませんからご安心ください(笑)
AV女優は可愛くなり、プレイ内容のハードルも上りAVは「ワンダフルプレイ」だらけなのに、ユーザーに納得されない状況の謎を解く
ここはAVライターがどうこうではなく言い切れるのですが、「AV女優」は、容姿レベルもスタイルも、リアルなプレイ内容のハードさも、演出表現的な、エロさもエンタメ性も、すべてがハイレベルな存在にあります。
国民的と謳われるようなアイドルユニットと比較しても遜色はありません。もしも違いがあるとすれば、それこそ「職業的な偏見」でしかないでしょう。
これちゃんと理由がありまして、アイドル側は未成年時代からオーディションやスカウトができることもありますけど、「育てる」土壌と予算を組んだ上でプロジェクトが成立しています。このプロジェクトが曖昧のままにスタートしてしまうと、数年前から問題視されている、「地下アイドルのやる気搾取問題」につながります。
AVはどうかと言いますと、「売れること」が大前提にある業界になっていることから、何なら宣伝費0円で売れるのが1番嬉しい。だからこそAV女優はTwitterフォロワーが軒並み巨大な数字になっていったのです。営業努力とはこういうこと。「デビュー前なのに、フォロワー3万人突破してます」とかわかりやすいキャッチ効果がありました。
その結果、地下アイドルなんかよりも猛烈なファンのパイを持つ、「アイドルよりアイドル」な「AV女優」を誕生させました。
これだけハイレベルにもかかわらず、なぜか女優に対する評価は上がることがない。むしろ、デビュー作以外になると、ちょっと何か気に入らないプレイがあるだけで、「手抜きプレイの連続」とか、WEBレビューに書かれてしまう。AVライターの場合、媒体に書く場合、そこを書くよりも、「良い部分をクローズアップ」する方向性になるので記さないので、素人レビューが逆に目立ってしまう効果になっているところもあるでしょう。
さらにはまったく減ることのない、「AV女優」という職業いじめ。「脱ぐことしかできな尻軽で能天気な女が、恥ずかしげもなく裸体と痴態を晒して、恥ずかしいお金を得て生きている」ところへの攻撃。SNSが成長しすぎて、さらに酷くなっています。
とはいえ、ファンと名乗る人たちだけが彼女たちを守る世界もまた歪ですよね。その状況や、見ている側の立場も違ってくるきます。「そんなこと知っているから、妙な同情はいりません。ちゃんと買ってオナニーしてください」という強い女優だっていますし、もっと「エロい!」「可愛い!」に素直になれればと思うのですが、SNS時代がそれを許さないようです。
前述のアイドルだって、新聞や雑誌メディアなど、営業ツールとしてお互いに利用している媒体以外の、WEBメディアを中心に総スカン食らってます。攻撃対象が大きくとも、攻撃する内容のレベルは大したことはありませんが、ポータルサイトのトップや、Twitterのトレンドなどを見ると、そういう内容のほうがバズるようです(笑)
AV女優に話を戻しまして、エロを理解することで成長してきたベテランAV女優たちが引退しまくった2019年。今年に入ってからもまだまだ引退女優は増えています。新型コロナウイルスの影響で、悲しくもイベント開催が中止になっていますが、惜しまれつつフェイドアウトする女優たち。
彼女たちと入れ替わるような新世代が続々とデビューしてるのも2020年のトレンド的な話題かもしれません。
デビュー作が当たる話は、何度も何度も書いてきました。ただそれをメーカーが連発してしまうと、新人AV女優だらけになってしまい、飽和状態になってしまうので、ある程度は避けてきたのですが、ここにきてたくさんの新人がデビューしています。
彼女たちの作品ですが、5年前の新人女優とは全く違っています。エロのレベルが高いのです。SEXをいかに楽しむかというだけでなく、「AVのSEXを楽しむにはどうするか」を知っているようなプレイを披露しているのです。
今までの顔射プレイが、「男の妄想にされるがまま」だったとするならば、昨今の女子の顔射は、「自分が汚されることで堕天使となれる興奮」を得ている。本当に楽しんでいるわけです。これ、AVを見ていない子でも同じように捉えているので、AVだけでなく、マンガやアニメなどのカルチャーの中に、「人に見せて快楽を大きく得るオナニー」の要素が潜在的に含まれて、それを理解して楽しんでいるのでしょう。
ということで、AV女優自体はハイレベルになっているのですが、その前の世代のAV女優ファンが、彼女たちから乗り換えることはできず……ファンとしてアイドル的に応援してきたわけですから、そんな不人情できる人が少ないでしょうけど(笑)、ドラスティックに世代の入れ替えが起きていない。
なので、文句のほうが先に立ってしまっているのが現状です。しかしながらここに流行を起こす可能性があるのが、サブスクとVRでしょう。AV女優を観る新しい層が流入してくる。イベントの捉え方も違う価値で見る人たちが参入する可能性を秘めています。
新しいイベントが計画されるかもしれませんし、2019年から2020年以降にかけてのデビュー組は、とてつもなく期待値を上げても大丈夫な存在の女の子たちが揃っています。
文句をつけるユーザーたちとは、「時代の入れ替えを受け入れしたくない世代」と書けば、1番わかりやすいのではないでしょうか。
まとめ〜売れるAVと評価されるAVが共存することは可能なのか!?
AVは、「制作者まで含めて楽しく作るもの」という認識のメディアだったのが、ビジネスとしてはっきりしてきた時代を経て、商業ベースに乗れないものは、AVにあらずと変化していきました。それはそれで、業界としての成長と淘汰として考えれば当たり前だし、現状成立していることを考えれば、正しい進化をしてきたわけです。
その中で失ったものがあるとしたら、「あらゆるところから評価を得られる作品」がリリースされづらくなった、制作されづらくなったことがあります。作る前から、ヒットするものを狙いにいきますし、データはいくらでも準備可能です。発売から1カ月待たなくとも結果はわかるし、「これをパクれば当たります」なんて作り方もあるでしょう。事実、パクリ側のほうが当たったことも多いのです。そっちのほうが、女優の容姿、プレイどちらのレベルも上だったのが理由だったり。ドラスティックですよね、AVというのは。
そんな状況ですが、前のテーマで記したように、新人AV女優の「AVとしてのSEXレベルの高さ」が出てきたり、ドラマ的な要素を含むAVや、単純明快なナンパドキュメント作品が評価を得て、しかもヒットしているという数年前とは違う動きが見られてきました。
売れることと評価が一致するのは、映画だって難しいです。特に日本だと、アカデミー賞を獲得した映画が、興行的には失敗作なんてよくある話。芸術とエンタメを差別する思想がまだまだ根深いです。これ、AVにもありましたし、それがアート的作品がリリースされて続けた原動力だった。
それもまた、世代の変化が起こっています。「アート的な要素とエロ要素は、イコールである」という思考です。男女ともに抜けるエロがAVで、興奮するエロがアートのような割り振り。オナニーのパターンが進化しているのかもしれない雰囲気ですよね。これに対応している監督たち(年齢問わずなのが面白いです)が作るAVこそ、「売れるAVであり、評価されるAV」として誕生しているわけです。
AVは進化しています。サブスクを勘違いして、アクセスが急増し、サーバーがダウンして話題となった「AV200本無料動画騒動」など、どうしても違う方向性から世間では話題になってしまうAVですが、そんな間にも、作品として大きく進化を遂げています。
DVDという方向性の限られたフォーマットから、定額ストリーミングへの変化が強いられそうな勢いなのは、世界標準の話であり、日本だけがガラパゴスと化して、ゆっくりとした動きなだけです。いつかは変わる分岐点がやってくる。もう目の前に見えているのかもしれない。
AVはやっぱり、「この作品、本当にエロい!」とか、「最高に可愛い変態ちゃん大好き!」とか、シンプルにエロを語りたいですよね。
観る側から進化を促進させてきたAVが、今、内側から進化しようとしているかもしれないので、今後はパッケージをたくさんチェックして、あらゆるAVがあることを再認識しつつ、自分の趣味を探りあて楽しむ試聴方法を推奨します。
意外と「どんなAVがリリースされているか」を知っているユーザー少ないです。パッケージを確認するだけでも、こんなに楽しいジャンルのメディアはありませんから。