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まこりんだからこそできた「女優」の意味あるライブがここにあった〜ミルジェネプレゼンツ「月で逢いましょう#10」〜戸田真琴が登場!!

プロローグ〜「コロナ」という病いの真実の意味と恐怖がセクシー業界を直撃している現実〜直面しているセクシー女優たち。

「絶対に会えるようになるまで待っていてください」というワードは、アイドル業界からセクシー女優業界まで、お決まりとなっているのは、みなさんもうご存知だと思います。「コロナ」は、接触および呼気など人間自体を媒介として、人に伝染するウイルスです。ということから、ライブにおける声出しや、ライブ後のチェキ会。大手アイドルの握手会などが軒並み中止となっているわけです。

 

2年目を迎え、会場の50%以下などの規定を持ってライブを開催することは復活していますが、ライブハウス的な密集での熱量を帯びたライブは、事実上、不可能になったわけです。大手アイドルだったら、規定を守っても大丈夫な予算組がなされているし(全盛時には全く及ばないけど)、配信という名の新しいライブ形態もかなり定着してきました。

 

ところが、不特定多数のお客さんと行うライブではなくて、人数を限定して、直接リモートで会話できるイベントのほうが確実にお客さんが来るわけで、やはりみんな直接会話をしたいのが本音なのでしょう。

 

そういう中でも、ちらほらと「規定を守りつつも、リスタートするイベント」なんかも現れてくる。そういうところに移動してしまうのは、ファンとして致し方ないことなのかもしれません。

 

何度か書いているのですが、初めて読んでくれている人にご説明をすると、セクシー女優とは、「AVに出演する女優」というのが正しい定義なのですが、ここ数年では、「直接会って握手したり写真を撮るだけでなく、会話をしたりすることができる、身近でエッチなアイドル」という定義になっていました。

 

極端な女優さんになると、AVリリースはほぼないけれど、イベントは定期的開催されているというパターンまで登場したりしているわけで、「本末転倒だ!」と、AVファンが訴えたところで、女優の潮流がそのようになっていたから、ファンの動きはそのように変わっていくわけです。

 

2008年以降にデビューしたセクシー女優たちは、「内緒でお仕事できる」ということがほぼ壊滅化しており(稀にいたりします)、顔出ししていかにSNSでアピールしていくかが鍵となってしまっています。ファンイベントでの神対応が重要になっているし、パケでの修正も、リアルイベントとの違いが出ると問題になるので、修正する方向性が変わっていきます。

 

とはいうものの、同時期にビューティープラスなどのスマホアプリが、便利で簡単な修正ができるため、女子たちも、いかに盛れるかがテーマになりましたから、「あれはちゃんと盛れていて可愛いでしょ」なんて感じで、女優ちゃんたちも言ってましたから、そういうことを気にしない風潮に追い風となっていましたね。

 

という感じで、直接会えるのが、「人気セクシー女優」というようなイメージが定着し、サービス精神旺盛な女子であり、ちょっとエッチなコスチュームになっている女子。甘えてくる女子というような、今どきのあざと可愛いを先んじた存在こそ、コロナ禍前のセクシー女優だったわけです。

 

「そういう『可愛い』に彩られているイベントもいいだろうし、有りと思うけれど、自分が人前に出る限りは、可愛いで終わることを良しとしない」と考えているセクシー女優がいます。自分自身の矜恃として定めた定義を、自分自身の活動理念として実行している女優がおります。

 

4月12日三軒茶屋グレープフルーツムーンにて開催された、「ミルジェネプレゼンツライブ〜月で逢いましょう#10」に登場した、まこりんこと戸田真琴ちゃんなのです。

ふんわりとまったりと。心地よい空間とときおり見せる鋭い風〜まこりんが紡ぎ出したサウンドスペース

イベント縮小の中で、もっとも影響を受けているのはライブかもしれません。これはセクシー女優に限ったことではなく、マイナーもメジャーも、それなり以上の影響を受けています。理由としては、ライブの定義が、アーティストだけでなく、観客を含めての、「日常の中にぽっかりと誕生した非日常的スペース」になっていたからです。

 

出演する側、見せる側は、これでもかと感動だったり興奮だったり、泣き笑いまでも含めた楽曲と演出を提供する。それに見合ったライティングもあるだろう。観客は観客で、愛すべき出演者に対して、これでもかと言わんばかりの声援やペンライトを駆使して、愛していることをアピールする。これが2019年までのライブスペースです。会場の大小や動員数の違いはあれども、そのライブへの熱量は圧倒的に高く、その会場にいるもの全てが電撃に撃たれたような刺激を浴びて、日常を吹っ飛ばしていたわけです。

 

ところが……予兆なく2020年に、この空間が消え失せました。

 

遠く離れた同士が、接触することができる貴重な時間は、ウイルスの蔓延によって消えてしまったわけです。時間も経ち、ウイルスの動きとともにライブは復活しますが、それは元通りの空間ではありません。それなり以上の制限が入り、ファンたちは特に、どこに熱量を発散していいのかがわからない状況に陥ります。一度覚えてしまった興奮、一度スタートした熱は決して簡単に冷めることがないのです。

 

ライブは、配信を中心とした演出に変えることで、生き残っていく術を見つけ出すのですが、簡単に配信ライブといっても、本質はライブではなくて、「映像メディア」であることを忘れがちです。そのための演出は自ずとこれまでのライブとは違いますし、「カメラで生中継」していれば、これまでと同じ興奮が得られることはない。いやむしろ、前の熱を知っているから、なかなか画面越しに伝わってこないような気がしてしまうという、ジレンマに陥ったライブが多いです。

 

超人気アーティストたちは、この配信ライブとは、「ライブDVD作成」と同じような演出を行えばいいことに気がつき、カメラワークにも、本人たちにも大きく演出をつけて披露しています。ファン同士でライブグッズを買って、盛り上がることもあるでしょう。ひとりまったりと座ってみるという、これまでのライブではあり得なかった視聴方法にハマる人もいるでしょう。

 

ファンがライブを楽しむためには、それなり以上に演出効果を配信される映像に気を配らないといけないわけです。しかしおざなりにしているライブの多いこと!そういう状況下ですから、セクシー女優のライブという、彼女たちのファンではない視点から見れば、一段下に属しているライブイベントなど、ダメだろうななんて勝手に思われがちです。

 

そこを逆手にとって、プロクオリティの中でも、トップレベルの配信ライブを行なっているのが、「ミルジェネプレゼンツ〜月で逢いましょう」ライブです。ライブハウス「三軒茶屋グレープフルーツムーン」スタッフによって、複数のカメラを駆使したスイッチング。配信のためにミックスされた音。大音量に慣れてしまっていたセクシー女優ファンにとって、「クリアで興奮できる音質」は画期的だったはずです。

 

そして、4月12日には、バンドライブに何度も出演したことがあるまこりんこと、戸田真琴ちゃんが登場しました。

まこりんが音楽好きであることは、ファンならば周知の事実という感じですが、彼女が他の女優たちとは、その選曲から一線を画していることも有名ではないでしょうか。ライブ記事なのですが、あえて先に、セットリストをご覧ください。

セットリスト

  • 01:旬/椎名林檎
  • 02:木綿のハンカチーフ/太田裕美
  • 03:1/2/川本真琴
  • 04:ダンスホール/尾崎豊
  • 05:TOKYO/椎名林檎
  • 06:Hello, my Friend/松任谷由実
  • 07:ヴィンテージ/ポルノグラフィティ
  • EN1:Fly me to the Moon(日本語詞「愛してるの代わりに」by戸田真琴)
  • EN2:BABY BABY/銀杏BOYZ

EN1は、「月で逢いましょう」に出演するアーティストにとって必須楽曲ですが、それ以外は本人の選曲です。それだけでなく、キーボード&コーラスが、アーティスト・平方元さんによってアレンジされることを知って、楽曲によってスピードを変更したり、キーを「歌えるため」というよりも、ガラリと雰囲気を変えるために変更したりしていました。キーボードを駆使して原曲に近づけたアレンジもあるし、「これまでで、一番しんどかった」と平方さんは、楽屋で笑顔で語ってくれました。

 

「9曲できるので、自分の世界観を作れるので嬉しいです」とMCで語っていたまこりん。これもまた他の女優さんと違う反応だったりします。通常は曲数が増えれば増えるほど、プレッシャーになってしまうことが多く、「覚えないと……」ということに終始してしまい、ライブ風なライブという、本末転倒な状況が起こります。歌詞を覚える云々だけではなくて、構成から覚えていくわけですから、しっかり楽曲が頭に入らないと、どこにいったか迷子になってしまうのです。

 

選んだ曲を楽しそうに歌っているまこりんの姿からは、この選んだ楽曲たちのことが大好きで仕方がないことが伝わってきました。ふんわりとしたリズム感は、それこそ彼女の真骨頂というべきもの。まこりんが提示してきたもの、生み出してきたものたちに共通する、「ふんわりとした触感」と、「その存在を愛している」という絶対的な肯定感。

 

好きというのは、数回聴いて、「良い曲」ということではなくて、何度も何度も、それこそ聴きながらじゃなくても歌えるほどの好きで聴いていたということ。みなさん、音楽を好きになった学生時代に、そのぐらい何度も聴いた楽曲って、ありませんでしたか?その時代がそのまま現在につながっているのが、まこりんということになります。

 

好きだからこそ、アレンジの指示ができるし、変更に対して反応するのことができるわけですね。生粋のプロミュージシャンである平方さんと、同じ土俵の上で、楽しそうにコラボするまこりん。彼女の歌は上手というわけではないけれど、「観ていてプロを感じさせ、楽しくてカッコいい」のです。

 

それこそ、「セクシー女優だから」なんてワードを使って、まこりんを表現しているようではダメでしょう。なぜならば、ステージ上のアーティストは、期待値の上の上ぐらいにならないといけないわけです。まこりんのライブは、そのまた上に存在するライブを見せてくれたのです。

カラオケライブと何が違うの!?ライブにおけるパフォーマンス濃度を感じましょう。

「月で逢いましょう」は、先ほど書いたように、アーティストである平方元さんのバックアップによるライブであり、生演奏で同期音源は使っていません。すべてが元さんのキーボードと、まこりんの主旋律と元さんのコーラスという積み上げでできています。

 

「確かにアレンジの問題はあるけれど、ファンからすればカラオケでも大丈夫です」みたいなことを言われがちなアイドルのライブ。カラオケどころか激しすぎるダンスパフォーマンスによって、口パクという状況もあります。それって、現在の音楽界からすればアイドルに限った話ではない。リアル演奏を売りにしているハイテク系音楽は、演奏してなんぼですが、自分たちを見せるというパフォーマンスが主としていれば、カラオケ、口パクなんでもござれです。

 

CDを流すのではなくて、ライブ用に撮り直ししている場合もあって、生歌との区別をつけられる人のほうが少ないと思います。大音量になればもう絶対に無理(笑)。なので、カラオケライブを否定すると、音楽業界全体を否定することに。AVの話なのに大きな誤解を生み出す元になってしまうので、全く否定する気はございません。

 

「気軽な気持ちでライブをたくさんやって、楽しませて欲しい」というファンならではの声は間違っていないでしょう。コロナ禍とはいえ、ルールを守っていれば、会える機会が増えるはず。それに覚えることは大変だろうし。なんて優しさもあるでしょうね。

 

これに関して、まこりんがMCにて、「何故AV女優さんが人前で歌を歌うかって、それはファンのかたが喜ぶからかもしれないんですけど、でも私は、この世の全てのステージや劇場はすべて芸術の為にあるので、ちゃんとそこでやる意味があるものが鳴っていて欲しいと思っていて。自分がそこに立つ意味もそれで、『頑張ってたね、可愛かったね』で許してもらうのではなく、立つからには自分の話ができたらいいなと思って構成しています」のように語っていたのですが、これこそ同意見。私の言いたいことを、ちゃんとした言葉で、出演者が語ってくれていると感動しました。

 

4曲目ダンスホール(尾崎豊)、5曲目のTOKYO(椎名林檎)などの可愛いというキャラクターで攻めるならば、絶対に選ばないだろう選曲。EN1の「Fly me to the Moon」は、本人が日本語詞を考えてつけるという、パフォーマーとして素晴らしき選択を行なっていました。前のめりに楽曲を選び、ライブを行なっている証拠です。

 

速度変えを指示することでのアレンジが入った楽曲になれば、それはカラオケを歌うのではなくて完全なる自分自身の歌としてのカバーになります。ということは、リハーサル音源以外、オリジナルですら、キーがトランスレートしてしまったために、違って聴こえたりするから参考にならなくなります。自分の歌声のみが頼りという不安な状況になるのです。

 

カバーするという概念が、音楽的であればあるほど、楽曲は装いを変え聴こえてきます。ライブは伴奏が道標ではなくて、自分自身が道標となっていきます。かなりしんどい作業になるわけです。孫悟空や沙悟浄や猪八戒はいなくて、馬だけが頼りというしんどい三蔵法師……「西遊記」ではなくて、リアルなほうに近いのです。ただ「月で逢いましょう」ライブは、平方さんが、自然な感じで、お供の役割をやってくれています。どの女優さんも、気持ちよさそうに歌ってますから、キーボードといいハモリといい、素晴らしい限りですね。

 

もちろん、完コピなライブパフォーマンスを行うとか、オリジナルな振り付けをつけて躍りまくるというようなライブもあります。どのようなライブをして、どのように見せるのかはそれぞれの解釈なので、誰が偉いとか誰がダメなんてことはありません。ステージに登場するだけで、ライブとして成立するわけだし、ファンの望んでいる姿に成り切るのもまた、アイドルでありアーティストでしょう。

 

真剣であっても、甘やかしてしまうと……となる可能性がありますので、ファンの人は「きちんとした評価」をできるようになると良いのですが、夢中になるのもファンの特権だったりするし。まこりんに関してならば、「何が素敵なのか」を、可愛いとか、頑張っていたとか、簡単なワードを安易に使わないで、きちんと素直にライブ評価をしてあげればいいかと思います。

演劇的要素のあるライブ、女優らしいライブが楽しめたライブ。

現在、女優を本業としている人が、歌ったりする活動をしていますね。池田エライザさん、上白石萌音さん、のんさんなど、女優業のほうも映画にドラマにCMに、トップな活動をしており、スケジュールなどはパンパンにも関わらず、アーティスト活動をしているわけです。

 

湧き出る才能によって止まらないなんて、安易なことをいってはいけませんし、「女優の片手間」なんてもっともNGです。なぜならば時代はそんな甘いレベルだと許してくれないからです。そしてバブルとかでお金が有り余っているのではなく、むしろコロナ禍もあって音楽業界に出資してくれるところが減っている。サブスクもまだまだなので、全レコード会社が潤っているわけでもありません。

 

そんな中で活動するには、それなり以上の覚悟が必要となります。しかも穿った目で見られることの確率は高いです。特に日本は、現在ネット書き込みでストレス発散時代なので、匿名の悪口のオンパレードとなったりするでしょう。エゴサなんかしたら恐ろしいことになる。

 

そのようなハードな現実を超えても歌いたいという事実があるわけでしょう。そういった女優たちが作っている轍のひとつとして、まこりんは存在していると、このライブを観て確信しました。

 

理由がちゃんとありまして、ライブに関しては、現在は限定された一部の観客がライブ会場でリアルにライブを観ることができます。しかしながらメインは配信にあります。先ほど書きましたが、「配信用に音をセッティングしている」ということは、会場の音とは違っています。微細な違いにしか感じないかもしれませんが、会場のメインスピーカーの音だったり、ミキサー卓の音をダイレクトだったりするものとは、実際の話、雲泥の違いがあるのです。

 

メインが配信だし、カメラは複数台が動いている。しかも演出的に、自分の視界に入る可能性があります。音楽番組をその場所で観ている感覚に近いと思います。観ているものも聴こえているものも、すべて違っている。

 

ということで、生を観れている楽しみはあると思いますが、演出は、カメラに向かってやっているわけです。これが意外とライブを行なっているとはいえ、目の前にいる人たちに向かってやってしまう場合が多いのです。これだと画面でリアタイで観ている人たちは、疎外感たっぷりになってしまうでしょう。

 

女優が歌う時に常に感じるのは、この演出能力の高さです。カメラをただじっと観ているとは違います。目線を正面に向けたり、カメラを観たり、客を観たりと、自由自在にその空間をライブ会場としてしまう能力の高さでしょう。

 

DVDになる場合が多いライブ。例えば東京ドームなどの場合、かなり厳しい演出が歌手だろうと入っている場合が多いです。カメラ目線がDVDにありますが、あれは事前に決まっているわけです。テレビと同じということですね。テレビは100%、演出があり、接近するカメラに向かって、「目線を入れる」わけです。

 

まこりんのカメラへの配慮は、まだありまして、MOONと書かれた髪留めとイヤリングをしていたのですが、当日リハの段階で、カメラ位置を確認して、ああいうようにしたそうです。観ている人たちへの配慮ということでしょう。会場で観る人は自由に観れますが、配信は、カメラアングルによって決まりますので、全方位に目が向いている証拠でしょう。

 

これが、「女優と歌手を両立している人たち」の系譜に存在すると言い切る理由です。演出的には、本来、歌手のほうがステージ慣れしているので、上なはずです。どうすればステージ上で映えるかも知っているでしょう。女優シンガーの場合、ステージオンリーよりも、カメラワークが入った映像を観ると、本当に素晴らしいライブを披露してくれています。目線にも体にも隙がない。

 

女優とは、体中を観られることを意識しているのでしょうから、どこに目を持っていくかを気にするはずです。ステージに出た場合、例えば目の前にいるファンを意識することで、クリアする場合もあるだろうし、擬似的にカメラを用意して動き回るなんていう場合もあるでしょう。セクシー女優なんて、本当ならば細かく隅々まで観られていることを意識しているわけです。

 

ちなみにカメラ目線という言葉でいうと、昔、取材でカメラとしてライブ会場に入っていた時に、ステージ下を陣取って撮影していると、ちゃんと見つけてくれて目線をくれるセクシーアイドルがいましたね。もう引退しちゃっている子です。元アイドルなので、そういうライブ中の流儀を知っていたのでしょうね。

 

演技的なカメラ目線を細かく入れつつ外しつつして、ナチュラルに止まらずに動的なライブパフォーマンスを楽しめました。そのような観点で観ても素晴らしかったし、会場に来ているファンをおいてけぼりせずに、目を配る。配信ライブという、新時代としてクリアしなければならない新しいタイプのイベント出演者として、戸田真琴ちゃんは素晴らしい存在であると確信した4月12日のライブでした。セクシー女優に何ができるのかという、解答をちゃんと提示してくれたまこりんでした。

エピローグ〜セクシー女優こそ、「いろいろなこと」をやれないといけない時代かもしれません。

「セクシー女優はAVの中の彼女を評価すればよく、それ以外は、余興なんだから褒めれば本人も楽しいし、こっちも気分良く楽しめる」というのが、一般的なセクシー女優に対してのファンの評価だと思います。間違っていないだろうし、それを望んでいる女優だってたくさんいますので、否定する気は毛頭ございません。

 

しかしながら、2020年のコロナ禍を境にして、「イベントを楽しむ」ということが難しくなってしまいました。限定されたコアファンとのお食事オフ会なんていうのが完全に無理だし、カラオケボックスでのカラオケオフ会なんていうのは無理になってしまいました。

 

会場を選ばないといけないし、それ相応以上の対策を取らないといけない。そしてセクシー女優は、「接触型職業」です。SEXしているからということではなく、女優業そのものが、接触型職業なのです。その中でもコアな部分を求められる職業なので、ケアに関しては徹底しないと、本人だけでなく周囲を巻き込んでしまいます。とても厳しい。なので、ファンのみなさんと会いたくないのではなくて、会えないというのが現実なのです。

 

そういう中で、徐々に復活しつつあるイベントですが、それなり以上のものを提示しないと、セクシー女優はまずいかもしれないと考えています。もともとが、無意識の差別的な視線を浴びせられたりします。また本人が望むと望まないと関係なく、セクシーな部分だけがピックアップされていたりします。

 

セクシー女優になったからには、エロいと言われたいと思うのは当たり前なのですが、それこそ周囲に対してYESを言い続けると疲弊してしまう。かといってNOなんて言っていたら、仕事がなくなるかもしれないわけで、言えるはずがない。AV制作はコロナ禍だけでなく、その形態が飽きられていたり、違法アップロードサイトによって理不尽な攻撃を受けて、かなりボロボロです。だから女優に対しても、大昔のAVのような、優しいだけのチヤホヤする行為にはならないのです。

 

こういう時代に突入した際に、セクシー女優側は何をすればいいか。その職業を継続キャリアとしてつないでいくためには、どうすればいいか。これはもう、「別の何か」を覚えないとダメという結論です。テレビに出ている芸人たちが、本来の芸風とは違う部分で勝負してでもテレビに出続けてお金を稼ぐことをしないと、自分たちが本意とする仕事を継続できないことにも似ているかなと思います。

 

セクシー女優のみなさん、特に新しく入ってきた女優さんは、自信がある人が多いです。正解がわかるはずのないSEXで、「私が一番」という自信がないと確かにやっていけないし、辛い職業です。他人は褒めてくれるけれど、それよりも自己肯定が必要になるわけです。普通はその職種に入ればある程度の安泰を得られるというのに、入ることも大変だし、入ってからも大変という職業になりました。セクシー女優人口が増えているというのも否めないですが。

 

だからこそ、トークイベントやライブを開催した時に、「これ!」という輝きを見せることができるかどうかが、鍵となります。インタビューなどを受けた時に、エロい話だけでなく、想像以上にコアで人に自慢できる特技を持っているかどうかなども出てくることでしょう。それをちゃんと紹介できるかは、媒体のテクニックですがね。

 

下ネタトークは誰よりも面白いというのは、たぶん、「セクシー女優ならば当たり前」に見られてしまうはず。それならば想像の倍以上にエロい話ができるのかなんて問題が起こります。エロい経験って話になると、これがセクシー女優でも許されないアンモラルな部分に抵触しちゃったり、盛り過ぎて止まらなくなっちゃったりと、意外と上手くいかないもんです。

 

それだったら、「カラオケ好きで歌は上手い」とかのほうが提示しやすいのですが、ここの問題が生じてくる。カラオケで好きという人が、意外と歌を聴き込んでいないことです。「この曲、いい感じだから歌いたい」とうろ覚えのメロディと、字幕で進む歌詞をちゃんと見なくても、そこそこ歌えたりするのがカラオケだからです。聴かせるならば、テレビのカラオケバトルのように、常時98点くらいを出せないと、「これだ!」と胸を張ることは難しいでしょう。

 

そういう意味では上手いよりも、「歌が好き」というのが重要になってくるでしょう。詳しいというのでもいいし、なんでもハモれるとか、好きなアーティストの歌ならばどれも聴き込んでいてバッチリという感じの、「好き」です。

 

成功したYouTuberは、一様に、「自分が好きで好きで仕方がない事を隠さずに見せることが必要」と言っています。「専門家じゃないんだから、それ以上に好きでいないと対応できない」ということだそうです。とにかく、自慢しなくても自慢になるレベルの好きならばOKということでしょう。

 

マンガでも小説でも、ゲームでもアイドルでもロックでも、クラシックでも古典文学でも何でも、とにかく大人たちを相手にしても語れるほどの強さが必要であり、「ぽかん」とさせるくらい詳しくあればOKというわけです。これこそ必殺技と言えるでしょう。

 

こういうスキルがセクシー女優に絶対に必要という意味ではありません。自分自身の立脚点であるAVというものが、自信とか自慢よりも、売上やスタッフとの信頼関係で成り立っている世界なので、自分を保つためにも、「あったらいいな」ということなのです。

 

本気で別種にも取り組んでいる姿は、必ず本業にも生きてくるはずです。売れているものだけを見ていると、壊れそうになってしまうのは、どのジャンルでも同じ。だからこそ戦える武器をいくつか持って、ちゃんと磨いて、いつ何時でも使えるようにする。これはもしかすると、本業でも生きてくる瞬間が現れるでしょう。なぜならAVはノーマルな内容よりも、マニアで妙な展開を内包している作品が増えているからです。ストレートエロの提示が難しいですからね。地上波ドラマで、キスシーンが増えているのもAV的な発想で間違いありませんから。

 

本業のみならず、じゃない仕事に対して、デビュー初期から本気に取り組んでいたまこりん。それこそ彼女の文章がTV Bros.などで取り上げられるきっかけは、自分自身が思ったことを、きちんとブログで形にしたからです。映画でも演技でも、文章でも歌でも、「セクシー女優の仕事じゃない仕事」をきちんと取り組んで、実績を残しているまこりんは、これからのセクシー女優の生きる道を、明確に提示しているひとりです。

 

「月で逢いましょう」のライブが楽しかったのが伝わるパフォーマンスは、配信で見ているファンたちを、虜にして釘付けにしてくれたことは間違いないでしょう。彼女の引き出しの中には、さらに見せたい歌があるようです。それはMCにおいて、「また出させてください」というアピールだけでなく、「今からもう一周ライブをしたい」とか、「明日、同じようにここでライブがしたい」と、ファンからすれば泣きそうなセリフを言っていました。ライブをやるうちに次なるアイデアが出てきたのではないでしょうか。

 

彼女の次なる、見せてくれる「もの」は何か、興味が湧いてくるでしょ? それはセクシー女優たちが進んでいく道に他ならない「もの」なのです。しかし、今回の配信ライブは本当に出来が良くて、「観なかった人、損してますよ」。

 

そして、5月1日13時ライブスタートする「ミルジェネプレゼンツ〜月で逢いましょう#12」には、本庄鈴ちゃんと蒼空ひかりちゃんと橘メアリーちゃんという3人が登場します。ミルジェネ初登場でありライブはまだまだ経験浅い彼女たちを応援するためにも、会場、配信と区別なく「ライブを観る」ことを推奨いたします!

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