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プロローグ〜歌うのが好きというのも重要ですが、音楽を聴いて楽しむことは最重要なんだと再認識させてくれた恋渕ももなちゃん
アイドルの概念って、世代間で全然違いますよね。百恵ちゃんから聖子、明菜世代。新御三家からたのきんトリオとかにファンだった人たちは、「絶対に結婚するんだ!」的な発想がメインです。
よく「楽曲が素敵なんですよね」と昨今の世代から観るとそうなのかもしれませんが、実はもっと欲望に直進していました。その感覚は、グラドルとかまで続きます。「オナペット」って言葉とアイドルが直結していると考えるとよいかと。一応、ポルノ映画はありましたけれど、AVはない時代は、性欲発散はアイドルに結びついています。当時のアイドルは、水着披露必須でしから。
それが、21世紀に入りモーニング娘。あたりで変化を生じるように変わります。同性のファンがつくようになるわけです。ジャニーズ大好きな男子もこのくらいからいるようになりました。
この頃に言われるようになったのが、「○○ちゃんでは抜いたことないですよ!」という妙な言い訳(笑)。写真集で水着グラビアを出していても、それはNGなんだと頑なでした。オナニーに使うのは、セクシー女優とグラドルという感じ。ここに入っている方々は、「彼氏はいますよ」なんてのも許されていたし。
でも今は、セクシー女優もアイドル。彼氏の存在はもちろん、「セクシー女優なんで、SEXには奔放で、昨日もお持ち帰りされちゃった」なんて発言は絶対にNGです。アイドルという概念は拡がっています。そして一般の女子の中に、「セクシー女優が憧れです」なんて言葉も出ています。これは「ああいうSEXがしたい」ではなくて、その生き方とか活動とかですね。XよりもInstagramのほうが重要になっているかもしれない。しかも扇情的な写真ではなくて、充実しているライフスタイル的なタイプです。
Instagramでエロいことをやっているのは、海外かAIか、グラドルか素人だけかもしれない。セクシー女優はすぐにBANされるので注意しているという側面もありますけど。なので、自分のAVパッケージをそのままリンクすると、ヌード写真なのでBANされちゃうとかあるので、ヌードを出せないという矛盾したプロモ活動になっています。時代ですね。
ただエロいだけ、SEXが好きそうな女性だけだと、インパクトが残せない2024年。しかも可愛いのが大前提だけに、セクシー女優という活動を、ちゃんと続けていくのは大変です。コロナ禍のおかげで、2020年くらいにデビューしたセクシー女優さんが昨年からたくさん引退しましたし。サイン会とかでファンを獲得しきれずに、いまいちブレイクしなかったので、継続する理由がなくなったのは一因だと思います。
ここから先のセクシー女優には、「アイドル性」は重要課題です。アイドルじゃなくてもいいのですが、何からの手段を持って人前に出るアピールが必要ということです。若ければ若いほど、これが大切。熟女系に関してはちょっと違いますので、ちょっとだけ説明しておきます。
今の時代、熟女と言われる年齢は、20代後半から50代くらい。しかも綺麗で色気のある人です。こういうタイプが、なぜか映画やテレビの女優さんには少ないのです。なので、セクシー女優が独占していると思います(風俗にもいるのですが、話がややこしくなりますので割愛します)。
20代前半や10代くらいに見えるひと昔前でいうロリ系が、みなさんの考えるセクシー女優像になっています。ここがツボな男性とは、ひと昔前のアイドルが好きな世代。だからこそ人懐っこい、ひと昔前のアイドル的なアピールが必要としています。
セクシー女優さんにとって、もはやアイドルとしての可能性はとても重要ということになるわけです。ということで、今回の記事の主人公は、恋渕ももなちゃんです。
月に何度も開催されているセクシー女優のライブイベント「月で逢いましょう」。ギターとキーボード、そして卓越したコーラスワークによって、セクシー女優を支えるライブは、カラオケでやるパターンとはひと味もふた味も違っています。バックメンバーは、キーボード&コーラスが平方元さん。ギター&コーラスが福田正人さん。どちらもプロミュージシャンとして、ライブやテレビなどにも出演したりする売れっ子です。
「月で〜」に出演しているセクシー女優たちは、プロに緊張してしまうのではなく、むしろ表現の幅を拡げることができる、シンガーとしてきちんとしている女優さんが出演しています。そして、ももなちゃんは、初登場で単独出演!
ももなちゃんは、アーティスト名義「こいもも」として、「魔法のことば」でデビューしました。彼女はアイドルオタとしての熱心な活動をしていることを公言していますね。そこから得たアーティストとしての振る舞いは、そこからたっぷりと吸収しています。そんな高いアイドル性を誇ったライブについて、リポートしていきます!
ちゃんとアイドルを観て、音楽としても可愛いとしてもたっぷりと楽しんだ人は、高いパフォーマンスを披露できることを証明したこいももちゃんのライブ。セクシー女優としてアイドル活動を展開したい女子は、絶対に見習ったほうがいいライブでした。
ライブに参加しているからこそ、ファンの想いに手が届くセトリ
24年6月12日「月で逢いましょう」恋渕ももなちゃんのセットリストはこちらになります。
SET LIST
01.cinematic/SUPER EIGHT
02.366日/HY
03.でも•••いいよ/つばきファクトリー
04.蜜月アン・ドゥ・トロワ/DATEKEN feat.鏡音リン
05.可愛くなれたらいいのに(feat.かぴ)/HoneyWorks
06.白く咲く花/小倉唯
07.わたしリフレクション/虹ヶ丘ましろ(CV:加隈亜衣)
08.ワンダービート/吉武千颯
09.Dear Shine Sky/吉武千颯
EN01.魔法のことば/恋渕ももな
初っ端に自分の大好きで元気なナンバーを入れてくるのが最初のライブに限らず常套手段なのですが、彼女が今回選択したのは真逆なバラード。彼女が考えている歌への想いが思いっきり理解できました。情感たっぷりに歌い上げてまずはももなちゃんの世界観を丁寧に教えてくれていたのでしょう。
歌手デビューに合わせたヒラヒラの可愛らしいステージ衣装で登場したのですが、いきなり自分が考えている世界をみんなに提示させる。フジテレビのドラマのテーマにもなっている「366日」での、想いを語りかけるような歌い方がとてもカッコよかったですね。
もちろん、自分が大好きなボカロナンバーだったり、アニソンだったりと、爆発しまくる可愛らしさも発揮しまくりです。「推し」の歌をちゃんと歌うというのは、今の時代には当たり前なことではありますが、それを自然に歌えることが素晴らしいのです。
そして何よりも、ももなちゃんは、左手が本当に止まりませんでした。スタンドにつけたり手持ちにしたりする変化はありましたが、マイクは右手で持っています。この場合、よく左が何もしない状況が起こりがちです。誰かに習ったりしないと、意外と気がつかないことが普通ですから。
ももなちゃんは、左手が本当に止まることなく動いていました。この結果、ステージ上の表現が大きく拡がっていきます。ステージは観客席から観ると、「意外と狭そう」と思うのですが、実際にその場に立つと、かなり広く感じます。そして広いはずなのに、機材があったりして、方向性とか限界はあります。これがややこしい。
つまり動いていいのかわからないままパフォーマンスをしてしまっている人が多いのです。カラオケで練習したりしていたらなおさらでしょうね。座っていることが多いんだから。なので忘れていく。何ならドリンク持っているかもしれませんし。
ちゃんとステージ上でこの楽曲はどのように動くか。歌いながら自分のリズムを取りながら、お客さんにもっと歌を知ってもらいたいと思いながら、計算することが大事なのです。これはステージに限らず、カメラ前だったりお芝居だったりする場合に、ちゃんと考えなければならないところでしょう。
可愛く力強い声は、新しい時代の扉を開けるひとりとして認識して欲しい恋渕ももなちゃん
ももなちゃんの歌うボイスは、とても可愛らしいのですが、それ以上に力強さを感じます。プリキュアメドレーとして歌った、「白く咲く花」「わたしリフレクション」「ワンダービート」「Dear Shine Sky」。何となく聴いていると歌えそうなんだけど、歌うと難しいという楽曲において、音程もそうですが太さを感じさせてくれる声だったのです。
高い声はどうしても細くなるタイプが多いです。それはそれとして個性を伸ばしていけば良いわけですが、ももなちゃんのような強さを持って、なおかつ正しい音程を持って歌っていくと、聴いている側も気持ちがいいです。
「月で逢いましょう」は、平方さん福田さんからなるコーラスワークが、他のライブイベントと一線を画している部分です。これによって困惑するか、心地いいと思って、さらに強く歌えるかは、個々の違ってくるのですが、ももなちゃんは、圧倒的後者としてコーラスと絡み合っていました。
コーラスはもちろん、楽器に関しても、歌う人の考え方によって変わります。ただのバックとして考えるか、自分も一緒に絡み合って、さらに練られたナンバーに変化していくか。ももなちゃんは、バックをきちんと聴いていました。自分の歌を楽器に乗せる、絡み合う。
そうやって溶け合っていくからこそ、歌は人に感動を覚えてもらったり、感情を刺激させることができるのです。
セクシー女優のイベントは、初期の頃は、「リアルに出て歌う」だけで感激されていました。そこにアイドルやK-POP系の潮流に入ったユニットが出てきて、ピタリとあったダンスを披露するようになり、レベルが上がっていきました。
そして歌詞をもとにして、自分の伝えたいことを表現する、お芝居的アプローチを上手に表現する人たちが出てきました。またソロアイドル全盛時が好きな人が、ファンに多く存在するからなのか、アイドルとして完璧な表現をみせてくれたセクシー女優も登場しました。
そして時代は、さらに上を行くように提示しています。「アイドルだからこんなものだろう」なんていう目線や聴き方をするファンはもういません。ちゃんと歌えないと「推し」になりません。
これはセクシー女優だって同じことです。本来、人前に出ることはないとか、人前に出たとしても下ネタだけを要求されるのがセクシー女優だったのですが、今はそれだけでは継続した活動ができません。AVでの表現だけでなく、「自分とはこういうことであり、こういうことを考えている」ということを表現しないといけないのです。
「楽しいいいぃ!」と心からライブを楽しんでいたももなちゃん。その想いはファンも同じことでしょう。もっと激しくダイナミックに、そして丁寧な歌唱を見せてくれると思います。
彼女のアーティストネームは「こいもも」。アンコールのコールも「こいもも」です。ラストナンバーは、デビュー楽曲「魔法のことば」でした。オリジナルとはまた違ったアレンジで表現したのですが、スペシャルなステージである感がさらに増し増しでした。
聴いていて気持ちよくなる声。そしてどこか儚げな声は、いつの間にか涙を流してしまう的な感動を得られると思います。次回、どこかでももなちゃんのライブがあったら、ぜひ参加して感動をシンクロしてください。
エピローグ〜セクシー女優が楽しんでいる姿をもっともっと観ることで、さらにエクスタシーを感じてください!!
「他の女優とは違うことをしないといけない」と、逼迫した感情から歌うようになったセクシー女優は多かったです。「セクシー女優はアイドルだから歌わないといけない」的なパターンです。
しかし世の中は刻々と動いています。今の時代の一般女優さんは、若い時に歌っていた人もいますけれど、実際に残っているのは、「歌いたい人たち」だけです。アイドルも卒業をすると歌をやめる人がほとんど。一部に、「歌いたい」として活動を続けている人がいるくらいです。
つまり受動的では何も生まれないというのが、よりはっきりしているわけです。歌う活動を続けるのだって、能動的に動かないと、歌手ですら活動する環境を失してしまいます。歌う理由なんてなんでもいい。まずは歌いたい、聴いてもらいたいというアーティスト的衝動が必要なのです。
セクシー女優の歌だって、昔のような、「アイドルのパロディ」では成立しません。またファンだって、ちゃんと「歌をサポートするオタク」という立場を理解しないといけません。意外と苦手な人もいますので大変だとは思いますけれど。
AVは、DVDという記録メディアによって進化してきました。しかしながら、現在では記録メディアはHDDやクラウドになりつつあります。日本人が大好きな収集癖があったからこそ、欧米と違ってまだCDなどの売上データで語られていますが、YouTubeの再生数がポイントになってきて、音楽ジャンルは変化しつつあります。テレビに出れば売れるじゃなくて、売れるとテレビが擦り寄ってくる状況です。
どうしてもAVはダウンロードされたデータよりも、フィジカルな存在(DVD、Blu-ray)を通したものを要求することが多いです。購買する年齢層がその時代の人たちなので、仕方がないのですが、徐々にシフトしていっているのも事実です。
AVとマンガとアイドルは、「リアルな売上が命」だったのです。テレビや雑誌のような広告としての存在意義とは違うものだった。なのでいまさら広告を伴った展開を考えることが難しい。マンガなんかは、旧作のほうがダウンロード率が高いです。なので昔の巨匠たちのほうが売上が上だったりします。リアルに戦っている作家たちは大変です。
AVはもっと広告とマッチングさせる方法が難しいメディアです。だからこそ、アーティスト活動などをすることで、顔を売っていきもっと息長く活動していく方向しか、2024年現在では無くなっているのです。もちろんそれで矢面に立ってしまう場合もあるし、難しのは理解しております。
そちらから考えると、本当に袋小路になってしまいますので、この際、歌を歌っているセクシー女優を推し活して、さらなる生きる道を作ってあげようではありませんか。もちろん女優さんもファンも、ただエロいことだけが好きだしそこを応援したい人は無理することはありません。強制するものではない。
セクシー女優としてデビューしたというのは、商品になったということを自覚しないといけないのでしょうね。昔はそこを考えることはなかったけれどもう変わりました。自分という商品を大事するために、あらゆる可能性にチャレンジしてもらいたいです。
アイドルとしてシンガーとして、アーティストとして成立しないといけないセクシー女優のじゃない仕事。片手間ではできないということがはっきりしています。なのでさらに応援しないと活動が消えてしまい、AVそのものも消えちゃう可能性も0とはいえないのです。
今回のライブで、恋渕ももなちゃんを知ったあなたは、作品を観てライブを観てあげてください。前からももなちゃんを推しているファンの人たちは、さらなる声を上げましょう。もちろん丁寧かつ繊細にしないと、今の時代はなんでもBANされますので、変な形でのアピールはしないようお願い致します。
恋渕ももな。歌手活動でのアーティスト名義は「こいもも」。あなたも推しのひとりになりませんか。
記事/写真=麻雅庵