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急に騒がれだした「サブスク」をあなたは知ってますか?
新型コロナウイルスの影響から、ライブイベントが壊滅的危機に陥っています。サイン会とか握手会とか、「接触ビジネス」なのは周知の事実とはいえ、それがここまで芸能に食い込んでいる事実をあからさまにしました。ライブもまた、巨大集客ビジネスであり、コンサートだけでなく、物販ビジネスが実は重要。なので、ライブ開催を中止にするマイナスとは、猛烈な影響を及ぼします。「コンサートとは、ライブを観るもの」なんて話は、とっくの昔に上書きされて、「あらゆるビジネスを包括したもの」だったわけです。それぐらい、音楽業界はCDが売れないのです。
それでも日本は全然売れているほうですけどね(笑)。握手会ビジネスとかコンサート抱き合わせビジネスって、音楽業界的には無ければならなかったものでした。それが証拠に、U.S.Aではとっくの昔にフィジカル(CDなどリアルに売るもの)とサブスクリプション(定額配信ストリーミング)が日本と真逆で、配信だけで80%以上を占める市場なのです。
ちなみにU.S.Aではダウンロードは壊滅的に存在しましせん。日本だと、「CDはもう古いメディア♪ だから私はダウンロードでHDD保管です」な人が圧倒的に多いのですが、所有欲の概念がまったく違うんでしょうね。
ガンズアンドローゼスのギタリスト・スラッシュは、「市場が変わり、新譜を出す意味が見出せない」と言ってます。売れない。売れても昔のようなお金にならない。ならば旧譜タイトルを自分で演奏するほうが、最終的にはロイヤリティーが自分の懐に入るというわけです。
長々と説明しましたけど、サブスクリプション(定額配信ストリーミング)こと「サブスク」について語るには、まず音楽業界を説明すると簡単なので、させてもらいました。
そして、昨年ぐらいから、「Netflix」や「Hulu」にAmazonプライムなどがやっとこ定着傾向を出してきて、スマホアプリとしていろいろな配信サイトが誕生。ビジネスとして軌道に乗ったものも出てきました。
オリジナルドラマが制作されたといえば、『全裸監督』などでしょう。地上波テレビでもBS、CSでもないところからコンテンツが誕生するようになったわけです。CM広告に依存しまくりだったテレビ界が微妙な地位になっているかもしれない。
お待たせしました(笑)核心に入ります。AVは、レンタル店舗ビジネス依存から、DVDバブルへの移行で、セルビジネスが成立し予想以上の市場を確率しました。巨大メディアといえばFANZAです。ご存知であろう旧DMMアダルトは、アダルトメディアに特化したAmazonのような感じで成長し、系列にメーカーを抱える巨大企業です。スタート時には、「エロと関係ない会社名で一般に浸透するわけない」と、当時のAVメーカーたちからいろいろと陰口を言われていたのですが、一般にちゃんと「エロワード」として浸透しました。SODも同じこと言われてましたよ。「デマンドって何?」みたいな。10年経ったときには、「ウサギとカメ」になっていました。
FANZAを見ればわかりますが、各メーカーごとに、かなり前から配信サイトは存在していました。ただAVユーザーと呼ばれる方々は、「DVDを持っている」ことにステイタスを感じるのか、はたまた機械音痴が多くて、「目の前で回転して映像を映し出す物体」がないと安心できない超保守派がメインでして、ネットビジネスの一環としてスタートさせていた感じですかね。CS放送に近い印象でした。ユーザーは、観る「権利は買える」けど、実態が存在しない「配信系(ダウンロード含む)」が苦手なようでした。
そういう意味でも世代が変わったと言っても過言ではない2020年現在ですね。
これは20年くらい前のビジネスの話なので時効ですが、裏モノ系AVは海外経由で販売されていました(今もあるといえばあるけど買わないように)。そこの業者が言っていたのが、「海外の人間はパッケージなどは必要とせず、DLオンリー。ところが日本人はパッケージされて、何ならトールケースに入ったものを要求するんです。本来、税関を通る際に、なるべく薄いほうがバレないし、トールケースなんて見え見えなので、ヤバいのですがそっちを選ぶ人が圧倒的です」
爆笑のおまけエピソードをつけておきましょう。
「税関にバレているんですよ、発送先の住所と形状で、『これは裏モノのアダルトポルノである』と。その場合、受け取り拒否しますよね、と買った人に連絡が入ります。結果、逮捕されるわけにはいかないから、泣く泣く拒否。すると売った先に返品されます。値段が安い船便になるのですが、売り先に戻されてるけれど、先方もまた、売ってしまっているから再度発送。やはりこれが船便。太平洋上の貨物船の中に、行き先不明の裏モノAVが何往復もしているらしいです(笑)」
AVの幽霊(笑)の話をしてから、ここから、サブスクリプションについての現状などを解説していきましょう。読み終えたら最新ウンチク野郎に変身……すると思います。
DVDとBlu-rayとダウンロードにVR
DVDが大爆発した理由は、やはり「映像が綺麗」が理由でした。VHSからの進化は圧倒的であり、また手軽になり、さらに価格が1/4になったのも大きかったでしょう。レンタル価格は安かったけれど、「所有したい!」と熱望していたAVファンはその段階で熟成されており、飛びついたことでAVはDVDブレイクが起こりました。
VHS時代から始める、「記録メディアが変わるとAVはそのたびに売れまくる」という神話が完成したような感じだったのですが、Blu-rayには追い風とはならなかった。アニメはテレビ放送と同じレベル(ハイビジョンとBlu-ray)なので売れたのですが、AVは「違いってある?」とか、「そこまで綺麗になって大きなテレビ画面に対応したから何?」という感じで、伸び悩みしてしまいました。
その頃、ネット回線速度が遅くて、オナニーするにはストレスの対象でしかなかった「ネット系映像」が変わってきます。ダウンロードだったらかなりストレスが低くなるし、一度落とせばDVDと同じように観れるので、AVユーザーに変化が起こります。「購入するのとダウンロード」に内容でわけるようになりました。
これはずっと続く不況の影響が大きかったと思います。ダウンロードのほうが価格を安く設定されていたのも重要なところでした。そうやって、配信系へのアレルギー(実体のないものに対する不安)が無くなっていきます。
さらに救世主が登場するのですが、ご存知「VR」です。今だから言いますが、最初は企画といい、内容といい、映像レベルといい、「観れたものではなかった」と思います。「立体像である、360度である」というできる範囲の大きさに、AVだけでなく対応しきれなかった。アイデアが先行しても、カメラに撮ると、「物理的崩壊」する企画が目白押し(笑)
「膝枕で癒すプレイを撮ろうとしていたんですけど、顔が横向きなので歪んじゃう(笑)だから首をひん曲げて(笑)なんとか撮影したことがありました」(引退した超人気AV女優Mさん)
試行錯誤の数年間の間に、「VRが上手なAV女優」とか、「一方的プレイでも勃起し続けられる肉棒男優の出現」。さらには機材の画期的な進化があり、今ではアイデア以上の内容が登場して、AVを支えている存在になったVR。ここで最高に重要なポイントがあります。
それは「ダウンロードするには重いので、違法業者が食い込むことができない」ことでした。映画館で観ると、違法ダウンロードに対する有名な動画が流れますが、AVはこれの被害をもっとも受けている存在だと思います。理由は簡単で、「DVDがあるから」。コピーガードは付けているのですが、これをガチガチにしてしまうと、「海外製の安いDVDプレイヤーでは観ることができない」という事態がありました。捕まえようと罠を仕掛けたら、身内が捕まっちゃったみたいな……。こんな状況打破な存在がVRだったのです。
さらに、そこに食い込みそうな存在が、「サブスクリプション」いわゆる、定額配信ストリーミングサービスなのです。やっとたどり着いた(笑)
サブスクリプションには今、AVを観ていない人がAVを観る可能性が秘められている!?
簡単にいえば、「定額配信ストリーミングサービス」がサブスクリプションです。今のAVユーザーのメイン層は、「セルDVD購入」で熱くなった世代であり、そのままリリイベサイン会で、よりAV女優と密接な関係を築いた人たちです。
ちなみにその中にも世代差がありまして、地方の場合、「地元に有名人が来た」ノリが大きかったようです。AV女優が誰なのかは知らないけれど、テレビで観るアイドルよりも綺麗で、しかも握手してくれた!的な盛り上がりでした。とある地方都市に取材をしたことがあるのですが、地元のヤンキー少年が、人気AV女優を目の前にして、目を輝かせていたのことを覚えています。
そして秋葉原を中心としたファンは、「撮影メイン」のファンがほとんどでした。いわゆる「カメ小(カメラ小僧)」です。サインをもらう際にも、ほぼタメ口で、「綺麗に撮ってあげるからね」的な感じ。被写体として、露出も高め(当時はランジェリー撮影がありました)でサービスが良いし、何よりも女の子が優しいというのが大きくて、グラドルサイン会よりも、AV女優サイン会のほうが圧倒的に集客は上でした。
今のファンは、その次の世代になります。「AV女優ファン」が集合している感じですね。「撮影できるならばOK」というカメ小たちが居づらい空間になってしまうほど、「○○ちゃん親衛隊」的なノリになる会場もあります。そうやって、AV女優の人気はどういう層に支えられているのか、理解してもらえることでしょう。その雰囲気が、現在のAV女優イベントブームにつながっていますから。
SODprimeで見る FANZAで見る Amazonで見る
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AV販売力の低下とサブスクは意味が違う!?
「AVが売れない」とか、「違法ダウンロードで正規品が圧迫されている」など、マイナス面が大きく言われるAV業界。そこに正義の鉄槌のようなフリをした偽善者が攻撃していたので、アップアップ状態ですが、違法ダウンロード問題は、AVに限らず、映画も音楽でも問題になっているわけです。さらにいえば、容量の大きい映像系よりも音楽のほうが圧倒的にダメージはデカいので、AVだけが犠牲者というわけではありません。
「AVってタダで観れるよ」「音楽にお金かけるのなんてバカらしい」という、無料当たり前状態を打破するべく存在するのが、「サブスク」ではないようです。違うジャンルの収益体系が登場したと考えたほうが早いと思います。
「たくさんのタイトルが見放題」は、「SOD prime」でも売り文句のひとつ。とはいえ、そんなにたくさんオナニーができるわけではない(笑)収集家から見るとどうでしょうか。「絶版になっている作品がある!」と言われたりします。ところがAV女優の肖像権保護問題から、引退後に本人がリリース取り止めを訴えたら通るようになりましたので、絶版作品がたくさんある宝の山とは言い難い。私個人の見解としたら、「引退したAV女優で、同じ芸名で活動していたりしない限りは、即廃盤してデータ消去して、『無かったことにしましょう』とする」ことを推奨しております。
リアルにDVDが売れない理由として、よく内容が取り沙汰されます。「パクリのパクリ」とか、「同じ内容の繰り返し」とか、「やりすぎ!」と「ぬるすぎ!」いう真逆な意見が対立することもある。しかしこれはどうかなと思います。映画だって、内容を知っていても観ることもあるし、ましてやオナニーに直結するAVは、「趣味嗜好がマッチング」すればいつでも何度でも観れるはず。逆に1回観てもう観ない作品もあってしかるべしでしょう。それが作品です。本だってCDだって同じですから。
AVが飽きられたのではない。まして可愛い新人女優がどんどん出てくる。さすがに業界を牽引するほどのパワーのある女の子は、そうそうは登場しませんが、AVを観て実感して育った女子たちは、エロさが際立っています。「できなそうな儚げな子がSEXをしている」というAV幻想は、2020年には崩れていますね。「可愛くて純情っぽいけれど、SEXはガッツリ系」が主流。処女喪失デビューもまだまだいますが、インパクトが下がっているのは、SEXをしないで育つ男女がゴロゴロしているからかもしれない。意外性もたくさんたまると普通の商品になってしまうとするならば、早めに出したほうが強いということですね。
飽きられたというよりも、純粋に男性をターゲットにしたビジネスモデルが、数年前から低下している事実を認識しましょう。本なんかわかりやすくて、男性向けは軒並み売れずに消えていく。女性向けは意外と手を変え品を変え、生き残っているのです。
本はマニア層が支えているものは強いと言われていたのですが、そうでもなくなりました。「映画秘宝」と「TV Bros.」の終焉はそれを物語っていると思います。しかもwebがそれを似合うわけでもない。昔と違い、マニアなサイトなんかを見る人が目立たなくなっています。SNS内で盛り上がることはあれども。
マニアから遠い一般女性があらゆる商品を支えている。グルメ、コスメ、ファッション、雑誌……etc。AVやCDが落ちているのは、女子が支えるところがとても薄いからです。何度も音楽を例にして恐縮ですが、女子人気がついたところは、CD売れています。BiSHだろうが日向坂46だろうが、同じ状況です。AV女優にも、女子ファンがついている子がいますけど、イベント集客には直結しているのですが、さすがにAVまでをパーフェクトにフォローしているファンが少ない。キカタン女優で考えると、「毎月複数本も出ていたらイベントに行けなくなっちゃう!」ということがありますね。
まとめ〜サブスクは女子人気の窓口になり得る存在らしい!?
まず、男子AVユーザーっておだいじんなんじゃないかと思うわけです。文句はいえどもまず買い続けてくれていることがすごいです。坂道Gだって個々で注ぎ込む金額は相当にすごいのですが、AVの場合、毎月です。ファンとして推しメンのみを買うならば、まだ毎月1本で済むけれど、AVを愛してしまうと、何本買うんだろうと……。AVライターだってそこまで観られないだろうという量をフォローしている。だからレビューの信頼度がマニアのほうが高いのかもしれません。プロレビュワーがいないとも言える、耳の痛い話でもありますね。自分に跳ね返っているな、この件(笑)
AVのヘビーユーザーや、月1本ぐらいのライトユーザー(この段階でヘビーと思っていますけど笑)から見れば、「サブクスって何?旧作ならば持っているし、新作は発売日に確実に観たいし(DVDリリース日と配信日がずれる場合があります)」というのもあるし、「DVDプレイヤーに入れて、スタートするまでのドキドキが欲しい」とかいう新作に対する高揚感が好きな人もいます。
彼らからすると、サブスクは、もうひとつのAV購入窓口でしかありません。テレビを使うかPCを経由するか(ダイレクトも可能です)の違いでしかないかもしれない。HQ画質などよりも、要は手軽に観る方法が重要でしょう。手軽さ抜きにして喜んでいるのはVRぐらいかと思います。
となると、サブクスのメリットってなんだろうということですが、先ほどに書いた「女子層の獲得」がポイントになっていると思います。スマホで観れる限り、マシン音痴だろうと観ることは可能です。現状で、女子の場合、サンプルをよく観ているということが言われます。その先のマネタイズまで至らないことが多い。オナニーなどにおいて、男子と満足の度合いが違うことがわかります。
サブスクになると、サンプルを観るとの同じ感覚ですよね。継続して見続けるかどうかは、それこそコンテンツによるわけです。もしかすると、内容よりも好みの女子が登場しているかどうかとか、いやいややはり内容重視とか、検証するべきテーマがたくさんありますが、とにかく上手に展開すれば巻き込むことが可能な存在なのです。
AVを購入させる(DVDを買わせる)というイメージではなくて、どれだけ生活習慣の中に、AVをチラ見する時間を作らせるかが、女子の中に浸透するかどうかの鍵です。ただし、ちょっとでも飽きてしまえば、会員登録を解除してしまうことでしょう。その辺りは男子よりもクールですから、何で継続させるのかは大事です。でも男子が望みそうな、「1万タイトル見放題」じゃないと思います。検索のしやすさだったり、特徴あるAVタイトルをいかに定着させるかも重要。「NTR」と「電マ」が浸透しているのは、絶対に女子からの影響が大きいと思うのです。
「サブスク」が、AVの救世主となるかどうかはわかりません。しかしながら、今までAVを観ていなった層を獲得するのは確かです。もちろんマネタイズされてからのメーカーサイドへの支払い分配がどうなるかなど、気になるところは山ほどあります。新譜をリリースしないロックバンドの心配と同じように。
着実に盤で売ったほうが、パッケージもあるし収集欲をちゃんと刺激するし、収益額でいえば圧倒的なのは確かです。でもそっちの売れ行きが低下している事実を正面から見据えたほうがAV業界のためなのです。
『SOD prime』で、VRストリーミングサービスがスタートしました。ダウンロードにちょっとだけ手間がかかるVRでしたけど、利便的になれば、さらに観る人が増えていくことは間違いないでしょう。
視聴方法のウインドが増える。時代が動いてるからこそそこに対応しないといけない。さらにいうと、ストリーミング向きのAVというものを考えて撮影し編集し、制作していくことも頭に入れないとダメなのかもしれない。
ただ可愛い子にエロいことをさせていれば売れる時代はとっくに終わっていると考えれば、サブスクがなぜ出現してきたのかはわかりますよね。