AV女優の引き際を考える~Part.2「七海ゆあ~原宿☆バンビーナライブ」

2019年いっぱいで七海ゆあちゃんがAV女優引退することを発表

最近、AV女優界隈はいろいろと矢面に立たされています。口賢しい方々は、「AV女優が多すぎるのが問題」とか、「AVのリリース量の問題」とかで、減ることが望ましいと語ったりします。

 

当たり前のように毎月リリースされている現状は、作り手側にとって、AV女優を必要としているはずですが、「売れる女優」だけを望んでいるのは市場原理として当たり前の理屈です。

 

それらを支えてきたAV女優の多くが2019年いっぱいでの「AV女優引退」を発表しています。そこには、「やらなければならなかった理由」とともに、「辞める理由」が存在しているはず。

 

作り出さなければならない「人気者」という存在は、単純に入れ替えすれば良いわけでもないし、お金を投下すれば誕生するわけでもない。ちゃんとした理由がなければファンは付きません。そこいらの研究をする必要性が、メディアとして成熟してきたはずのAV業界には必要となってきているのではないでしょうか。

 

そして働き手が減ると、比較対象がなくなり全体が下がるというのも市場原理としてありますから、人気者の減少だけでなく、業界全体が規模縮小しかねない。なので自然の流れだったにしても、意外とヤバいことでもあることを記しておきます。

 

そんな2019年いっぱいで七海ゆあちゃんがAV女優引退を発表しました。

七海ゆあちゃんは「自分のAV女優像」を持った女の子

七海ゆあちゃんは、可愛い顔をしているのですが、体液好きとかぶっかけやらおしっこやらの作品をリリースし、緊縛モノでも取り憑かれたように感じまくる女優さんです。自分自身をブスと蔑んだりする、超謙遜ネガティブ型AV女優でもあります。男性不信で、SEX相手を口説きまくっていた時期があるとか、自分へのコンプレックス(になるのかな?)が行動原理にあります。

 

ハードプレイ作品への出演でファンから発信された「なぜ出るの」という声に、「自分は可愛くないからAV女優として生きていくために、こういう作品をやらないといけない」と、ハード作への出演に使命感すら感じられるタイプ。緊縛には自分の感性と合うものを感じたのか、公開緊縛などのイベントにも積極的に参加していました。

 

ゆあちゃんは、「病みメイク」(目の下をアイシャドウやチークを使って赤く泣きはらしたように塗るメイク)を披露するちょっとしたおしゃれ系な女の子。男子には嫌われがちなメイクですが、女子としての自分からの主張が感じられます。タレントでいえば、モデル上がりにタイプは似ているかと思います。アイドルからの流れの女子とは違うパターンと考えるとわかりやすいかもしれない。

 

原宿☆バンビーナ出演のライブで初めて会ったときも病みメイクしていたので、「可愛いね」と言ったら、「本当ですか!」と喜んでくれました。AV女優というと、「黒髪ストレートの清楚でおとなしそうなのが実は!」みたいなステレオタイプが未だにまかり通ります。大人たちが考えるAV女優とは、まるでタイプの違う女子がAV女優界に出現したなぁと思っていました。撮影でのゆあちゃんは、それこそステレオタイプでの出演が多いんですけどね(笑)

 

そんなゆあちゃんが、「AV女優引退します」というコメントをTwitterで発信した際、そのコメントもまた独特の引退理由でした。解釈が多岐に渡りそうな内容なので実際のTweetにてご確認ください。

2019年AV女優の現実世界

2019年のAV業界は、「売れない」と喧しいのですが、それ以上にメーカー数は未だ多く、毎月数多の女の子のAVが作られています。

 

とにかくAVは、「デビュー作は誰でも必ず売れる」と言われます。衝撃という面を考えれば、初めてみる可愛い女の子の裸体とSEX。そりゃあそっちに目がいくのが自然の流れです。

 

しかしながら、人気者になる女優もいるわけで、メーカーの相性もありますが、「この子じゃないと売れない!」とリリースし続けることもある。結果、女優の意識がしっかりしていればこそ、AV女優としてのキャリアを続けることになります。

 

AV女優はひとり一人が人間です。妄想で生み出されたキャラクターはいれどもモノではない。覚悟を決めてAV女優になり、リリースされて裸体と痴態が世の中に発表されたからには、稼ぎたいと考えるのは当たり前のこと。その子の後々の人生を考えると、いくら稼いだらOKとかわかりませんから、本人の意思で辞めると言わなければ、こちらから辞めさせたり、辞めることを止めたりすることも難しいです。

 

2019年のAV女優界は、こういう状況になり、「もう辞めよう」と決めた女の子の意識が重なってしまった年なんだと思います。ファンになった人からすれば悲しい現実だと思いますが、AV女優だろうがアイドルだろうが、こればかりはどうしようもない。そのひとりが、七海ゆあちゃんなのです。

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セクシーアイドルユニットの活動とは?

私が最初の七海ゆあちゃんの印象は、AVの内容よりも「原宿☆バンビーナ」に加入して、セクシーアイドルになった女優さんです。作品をチェックすると激しい作品に登場する目の大きな女優さんという第一印象。そして意外と激しい作品が多いぞと(笑)

 

確か最初は、女子社員酒場した。「バンビーナ頑張って」と小声で言ったら、「ごめんなさい。今日は七海ゆあというのは話さないでください」とさらに小さな声で言ったのが最初の取材で印象にあります。真面目な性格がよく分かりました。

 

その後はライブで何度も会うことになるのですが、最初にあったライブでは、ステージ上で、事務所からの動員クリアしないとメンバー全員卒業のサプライズを仕掛けられて、涙を流した印象が残っています。「あなたを真っ赤な血の色に染めたい」みたいな病みキャラを全面に出してない頃のお話です。「アイドルを決意して始めたのに大人って許せない」というのが本音だったそうですよ(笑)

 

年末に開催された件のライブで動員数を無事にクリアして、メンバー継続させたのはいいけど、そのライブで、初期メンである宮崎あやちゃんAV女優引退とバンビーナ卒業を発表。さらに年明けにはお仕事休業宣言するメンバーがいて、結果的に、七海ゆあちゃんと早川瑞希ちゃんの2人になってしまったのです。

セクシーアイドルユニットをやるとかやりたいとか、ファンからも「やってほしい」なんて声が上がりますが、実際の話、1回ライブをやるだけだったら、人前仕事をしているAV女優ちゃんですから、なんとかなる場合が多い。AVファンは、アイドルヲタよりもとても優しい目をしていますし。ところが継続させていくとなると話は別です。

 

お金の事情は大人(運営側)がなんとかするとして、それよりもっとも重要なのが、やる気が継続するかどうかでしょう。人間って人から「やりなさい」と言われると、ブーたれようがやれるもんですが、目標を逸してしまうと、継続するハートを維持するのはとても難しいです。

 

さらに、人間誰もが当たり前ですが、目標点をクリアした後は、やる気はガクッと下がります。お仕事として日常的にやっている人ですら、そうなりがちですから、二次仕事に該当するセクシーアイドルユニットは、AV女優にとってしんどくなるはずです。

 

4人だったメンバーが、2人というハートが折れても誰も何も言わないと思われる状況下で、瑞希ちゃんとゆあちゃんのバンビーナはリスタートしました。これこそまさに、「本人たちがやる気になっていたから」でしょう。新宿レッドノートでワンマンライブを開催し、いろいろな対バンイベントに出演しました。

 

さらなる飛躍と思われたところで、新メンバー追加発表がサプライズされまして、それに対して2人は、「ワンマンライブで動員100人到達しなかったら、2人ともバンビーナ即クビ」というライブをぶち上げました。

10/22 原宿☆バンビーナワンマンLIVE〜102人で大〇交 生で味わえ中だしnight〜より

10月22日、上野にある「上野音横丁」にて開催されたライブが、七海ゆあちゃんと早川瑞希ちゃんが、「動員できなければ即クビ」とぶち上げたライブ。当初はどうなるかと思っていた感じですが、チケット発売期間中に、ゆあちゃんのAV女優引退が発表されます。ここからさらにファンの意識が変わっていきます。「自分がライブに行かないとゆあちゃんのライブ姿が二度と見れなくなる」という使命感とも言えるものでしょう。

よく原稿に書いているように、「AV女優としてのサイン会や撮影会はいいけれど、ライブはちょっと」という方々も多いです。ライブって音楽好きからすれば気軽かもしれないけれど、じゃないと二の足を踏みますよね。

 

この日のバンビーナは、ライブだけでなく、途中に生脱ぎ早着替えのサービスシーンを入れるなどしてプログラムもファンサービス濃厚でした。スクリーンで隠していたのですが、瑞希ちゃんは真っ裸状態が長かったようで、ゆあちゃんに突っ込まれてましたけど(笑)

初期メンバーから歌い継がれているオリジナル楽曲「Fantasmile!」「Fairy Magic」。そして2人が作り上げた楽曲と言ってよい「ひもいとあかき」「びりびりけ~ん」などのナンバーや、おなじみになっているカバー曲にソロコーナーなど盛りだくさん。最後の最後まで、彼女たちの前向きな姿を象徴したのが、七海ゆあちゃん作詞担当の最新曲「ばーみりおん!!!」の初披露でした。

 

バンビーナの楽曲について解説しますと、初期2曲はアイドル王道の曲調と歌詞です。最初のバンビーナの衣装が、乃木坂を意識したトーンと丈だったし、可愛さを前面に出しつつ、女の子の思いを綴った歌詞。坂道系の楽曲に混ざっても遜色ないです。

 

ひらがな文字の2曲は、ロックテイストを感じさせるナンバー。歌詞もトーンが変わり2人が作り上げてきたバンビーナを牽引する役割を担っていました。どちらもサビメロは、日本人好みのメジャーキーのフォーク・ニューミュージックからJ-POPまで、脈々と通じる、「聴いていて無意識のうちに感動してしまうメロディー」です。だから会場の盛り上がりには抜群の効果を呼びます。

2人のパフォーマンスの長所は、「一生懸命さ」が1番の魅力でしょう。声援を送りたくなる元気さ。ステージのアイドルがパーフェクトであれば感動するなんてことはありません。まずは熱量があればこそ。そして確実に上手になっていきましたからね、ゆあちゃん&瑞希ちゃん。数々のライブで見続けてきたので、それは確信を持って記させていただきます。

そして総数がMCより発表される……「動員数106人!」。目標数値を上回り、彼女たちの賭けは成功しました。「達成できてなかったら、アンコールできないから、山口百恵さんみたいにマイクをステージに置いて去ろうかとか言ってたんです(笑)」と、笑い話にできるその状況を生み出したのは、2人の「一生懸命さ」であり、ファンの熱意が伝わったことと言えるでしょう。

達成記念のライブタイトルは、「原宿☆バンビーナ定期公演復活〜私達106人と中出ししてレッドノーズに帰って来たよ!!」で、11月25日に開催されました。そこで発表されたのは、12月22日のライブと、そのライブをもって、「早川瑞希ちゃんも原宿☆バンビーナを卒業する」という発表でした。

原宿☆バンビーナは、現在、研修生(石原めるちゃん参加してます!)を入れて新たなる活動を行います。また新しい時代が築かれていくバンビーナには、2人の足跡がきちんと残っているはずです。

 

AV女優ですが、AVじゃない活動で培われた関係性は硬いものだったわけです。12月22日、原宿☆バンビーナの早川瑞希と七海ゆあは、セクシーアイドルを卒業するのです。

AV女優・七海ゆあが残したもの

V女優としての七海ゆあちゃんは、ハードプレイはもちろん、変態チックなプレイだったりあらゆるプレイを好んで対応してきた女優さんです。タイトルが内容を示しており、出演女優は、作中に登場する女の子になって見せていく。ゆあちゃんはこういうタイプの内容でピカイチに光りました。可愛いJKとして陵辱されたり、アナル開発されたりして、変態に堕ちてしまう。AVを観ている側にリアルな変態妄想を刺激させるAV女優でした。

今後、AVは誰がどう言おうとも、変態性が重要になっています。可愛くて小さい女の子がSEX狂いだったりする、妄想的な存在であればあるほど、琴線というかキン●マというか肉棒というか……とにかく精神的にビンビン興奮する内容が中心になっています。

 

女優はあくまでも人間ですから、理想的に動ける女子がいるかどうかで、作品の変態性が決まってくるわけです。逆に、変態性がたっぷりあったとしても、どうも似合わない女子だっています。理解し似合う女優さんは稀有な存在なのです。

 

ゆあちゃんは、ライブでトークをしたりしたのを聞いたことがある人には分かると思うのですが、空きだらけに見えるところが魅力的。その反面、冷静に自己分析ができる女子でもあります。私がインタビューなどで感じたゆあちゃんは、SEXが好きなだけとはちょっと違う、聡明な女子でした。病みメイクの件でも、自己満足に至ることなくある一定のラインで止めることで、「AV女優とは、七海ゆあとはこういう存在だろう」ということを実行していました。

 

アイドルとしてだって、「AV女優がアイドルをやるならば、こういうタイプであるべき」というAV女優としての自覚と意識が高いです。ギャップを作り出すからこそ、どちらも輝くことを証明してくれました。数多いるAV女優の中で、自分の変態性を強調する子は減少していますから、とても貴重な存在が引退すると思って間違いないでしょう。

 

七海ゆあをどこかに感じさせつつ、作中の女子になり、男たちの欲望を満たすべく、白目を剥いて激しく悶えるさまは、本人も望んでいたかもしれない、「AV女優のあるべき姿」なのかもしれない。ふわ〜っとしゃべる独特のトーンの中に潜む、凛とした女子の姿が感じられるのです。

2020年のAV業界には、彼女に変わるようなギャップを併せ持った変態女優が現れるのかどうか。それは観る側も作り手も期待しているでしょうけど、こればかりは、女優自身に委ねられていることなのです。AVの本質を実行していた七海ゆあちゃんの引退は、また業界に大きな穴が空くなぁと思っています。

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まとめ〜そして七海ゆあはメディアの中だけの存在として消えていく

AV女優は、卒業としてファンの前で終える人もいれば、SNSだけで終わる人もいます。ファンからすれば終わりぐらいは一緒に迎えたいと思うでしょう。こればかりはAV女優にも都合がある。アイドルだって同じ現象が起こっていますので、アイドルとしてのゆあちゃんファン、AV女優の七海ゆあちゃんファンの皆様は幸せだと思います。

劇場版ゴキゲン帝国というライブアイドルユニットに、「大切なお知らせ」という楽曲があります。ライブ中に、「大切なお知らせがあります」とアイドルが告白するシーンからスタートし、どうしてもモヤモヤを解消できないヲタの話です。そう行き場のない感情はエネルギーにならないのです。ただひたすらに、七海ゆあちゃんの一生が素晴らしいものになっていくことだけを祈るしかない。尾を引く人だっているでしょうけど、それもまたファンとなった人の宿命として受け止めてほしい。

 

AV女優の引き際とは、スポーツ選手のようにボロボロになって引退するのでも、「もう撮影するものがなくなった」でもありません。「自分はAV女優じゃない存在になりたい」と本人が考えた瞬間です。

 

引退を早めに告知してくれて、ゆったりまったりと、最終日まで、SNSにアップしてくれていて、最終ライブも決めてくれたゆあちゃんは、本当にファンの思いを考える子だと思います。「謝らないけどありがとうは何度でも言いたいです」という彼女の言葉は、「いかに相手のことを考える存在であるか」を表していると思うのです。

 

2019年が終わるまで、AV女優・七海ゆあちゃんの応援をお願いします。そして2020年はゆあちゃんのいない喪失感で悶絶してくださいませ。

 

男たちの煩悩を、より具体的により破廉恥に具現化してくれた存在がAV女優・七海ゆあだとするならば、AV女優を辞めることは、彼女が七海ゆあから自由になれること。だから私は、引退することを祝福したくなるのです。

2020年、彼女自身が見つけたであろう道を、いつも見せる大きな目がなくなっちゃう笑顔で、楽しそうにふわふわと歩いている姿を想像してみましょう。もしすれ違ったとしてもゆあちゃんは、こっちに気付かないかもしれない。悲しんじゃいけません。幸せそうなゆあちゃんを見たならば、AVっていいなと思うかもしれないでしょ。