―本の執筆はもちろんコラム連載、映画監督、アパレルデザイン、オリジナルラジオなど本当にマルチに活動してますが、やっぱり本業は「AV女優」という考えでしょうか?
活動が幅広すぎて、わけわなんないってよく言われるんですよね(笑)。
肩書きは何ですか?って…いや、わかりやすさを推していくつもりもないんですけど…。
本業であり、何で生活しているかと言うとやっぱり『AV女優』です。
本やコラムと、AV女優の活動では見られる時の目的が真逆なのが面白いですよね。
本とかだと新しい知識や考え方を得たいとか知的好奇心で見るものだけど、AVは真逆の好奇心で、それを同時にお仕事でやっているのはバランスが取れている気がして面白いです。
―以前からまこりんがブログやnoteに書き綴っている文章は一文一文が長くて言葉の密度も高い印象だったのですが、この本は一文が短めだと感じたのですが意識して書き方を変えたりしました?
noteは独特な書き方してますよね。
ナチュラルに書くとあんな感じになっちゃうんですけど…まあ、あれはあれで(笑)。
本は、共感性が高い人以外にも読んでもらいたいなっていうのがあって、自己啓発本的な読みやすさを意識しました。
何か役に立つことがないかなって本を読んでくれる人が突っかからずに読めるように。
編集担当の方にも見ていただいて、詩的すぎる言葉や表現をシンプルに直したりしたんです。
―言葉もわかりやすくてスイスイ読んじゃいましたよ
実は私自身が本を読むの得意じゃないんですよ。
1個気になる単語があったらそのことばかり考えちゃって読む手が止まっちゃったり。
この本は『1章1章も長くないし読みやすかった』って言っていただけることが多くて、そんな本を普段あまり読まないって人に読んでもらうのは嬉しいです。
―まこりんはいろんな活動をしていても、ちゃんとAV作品でレビューの評価が高かったり売り上げも安定していたりと結果を出しているのがすごいと思います!
ありがとうございます。
でも、AV女優としてできたほうがいいのに苦手なことも多いんですよ。バラエティ的なエロのトークとか、下ネタのギャグとか会話とか…。
AV女優のお仕事は、苦手な部分も多いけどまだまだ頑張りたい仕事です。
今も飽きてないのも、そういうとこだと思うし…。
―今改めて「職業・AV女優」についてどう思いますか?
最近はお洋服や下着をプロデュースしたり、テレビに出たり、私がデビューしてからも年々より華々しく活躍していく女優さんが増えてて、憧れてAV女優になる子も増えていますよね。
それによって明るい業界として生きやすくなっている部分もあると思うんですけど、どこかで映像に裸を晒していること、普通だったら恥ずかしくてできないこと、普通の子からしたら『えっ…!AV女優なの!?』って言われるようなことをしているっていう部分が私の中でずっとあって。
全部肯定はできないけど、どこかそこに面白みを見出してる自分もいるんですよ。
突っ込みどころがあるまま生きてることを大切にしているというか…でもそんな人に言えないような経験も人間性に深みを出してくれる1つだと思います。
―オープンな業界、お仕事になりつつあるけど周りに隠してお仕事してる子のほうがおそらく多いですもんね
どこか罪悪感があることをしてたとしても、それを魅力の1つにできていればいいのかなって思うようになりました。
私を見てくれる誰かにとって、そういう風に映る瞬間があると嬉しいし、人にはいろんな面があることを知ったうえで愛し合えればいいなって思います。
だからこそ『AV女優』って強みでもあって弱みでもある、インパクトのある特別な肩書きで今はそれをすごく愛せています」。
―では改めて初エッセイ本『あなたの孤独は美しい』のオススメポイントをお願いします
実はこの本、1人ぼっちのさみしい人間を全部肯定する本に見せかけて、『なんでも大丈夫だよ』って言ってるだけじゃなく『私も頑張ってるから君も頑張れ!』みたいな本だったりするんですよ。
1人で強く、りりしく、頑張れるようになるための方法をいっぱい書いてる本になりました。
だから一般ウケはしないというか『自分は頑張らなくても許されたい』みたいな自己肯定本が多くてそういう内容のほうがランキングも上位だったりするらしいんですが、頑張って腐らないで楽しく生きて行こうって本になってるので読んだら少なくともちょっとは頑張らなきゃいけないって気持ちになると思います。
そんな頑張るための勇気とか、自分は頑張ってるから誰かに少しは認められたいって人に読んでほしい、そんな本になったと思います。
心から共感してくれる人が多いような、決してマジョリティではないと自覚しながら書いたので、あなたの読んだ感想が聞きたいです。
―今日はいろんなお話ありがとうございました!最後に、今後の目標やメッセージをお願いします
今年も本を出していきたいです。
去年、監督した映画もいろいろ準備して上映できるようにしていきたいですし、もっといろいろ楽しいことをやっていきたいです。
本業もおろそかにしないように頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします!
青春時代での処女AVデビューからみずから発信することで独自の道と活動を切り開いていった女の子・まこりん。
今回の初エッセイ本では、そんなデビューの経緯からAV活動での苦労話や裏話、そして『孤独』に対するブレずにずっと持っていたという考え方が綴られています。
まこりんのことをもっと知りたい人だけではなく、ひとりぼっちでいることに少し寂しさを感じている方や、頑張っているけどなんだか空回りしてしまう…そんな人にも読んでほしい1冊になっていると思いました。
ぜひ手に取ってみてください!!
※月刊ソフト・オン・デマンド4月号vol.7からの転載記事になります
『あなたの孤独は美しい』竹書房/戸田真琴 著/1,650円(税込)
SNS社会で異彩の存在――AV女優・戸田真琴、書き下ろし処女エッセイ。「note」に投稿した「SNSで死なないで」は18万ビュー、同じく「Twitterをやめます。」は63万ビューを記録し大きな話題に。さらには朝日新聞論壇時評面で取り上げられるなど、いま最も注目を集める彼女。
格差社会の拡大、未来への薄暗い不安、ただなんとなく日々苦しい……本書は、そんな押しつぶされそうな現実の中で、戸田真琴が贈る孤独賛歌。
ほのかに残る温かい幼少期の記憶から思春期を経て大人へ――今まで本人の筆で語られてこなかった生い立ち。それは、ごく普通の環境だと思っていた家庭と本人が成長するにつれに確立されていく意志のズレだった。新興宗教の集会、婚前交渉を厳しく禁止するお母さん、家族を守ると言っていたはずのお父さん、いじめの末に引きこもってしまうお姉ちゃん……。幸せだったはずの少女は何故、処女のままAVデビューを決意するのか。
AVデビューするも右も左もわからず悪戦苦闘。良かれと思ったことが裏目にばかり。2度とやりたくないハードな撮影も。どうして上手くいかないのか――AV女優業から学んでいったことを生きるヒントに。
SNS社会に引き裂かれる私たち。ひとからの承認・羨望・愛情が欲しい。どうしたらこの息苦しい世の中で心からの安息を得ることができるのか。世相を独自の視点から眺め、本当は誰しもが抱える「孤独」を見つめなおし、むしろ愛でることをすすめる。
ひとりぼっちを恐れず、むしろを胸を張るために。