―意志が強いという部分で、本当にまこりんは自分から発信していろんな活動を切り開いていった女の子という印象でパワーを感じます!!
実は私自身はそんな元気な感じで生きてないんですけど…(笑)。
戸田真琴っていう人を好きになってくれる人に対して、もっといろんな方向に自分を出していけるんじゃないかなって思ってるんです。
AV女優らしい仕事だけじゃ伝えきれない時にどういう方法があるんだろうって考えて、私の見た目をした『AV女優・戸田真琴』を好きになってもらうだけじゃなくて、もっと好きになってもらえる部分があるはずで、そんな場所を作っていければいいなって思っていろんな活動をしているんだと思います。
―今回の本で言うと、まこりんの考え方を知ってもらえるきっかけになりますね
この本を読んで私の考え方を知ってもらって『そこまで好きになれないよ』って思って去っていく人もいると思うんです。
好きになってくれる人の数だけを見てたら、中身を見せないほうが安全なんですけど、私の中で数ってもうどうでもよくなってて。
中身まで知ってもらって『ちょっとこの子は好きになれないな』って思ったら離れて、ほかにもっと好きになれる別の子のほうに行ったほうがいいと思うし、嫌みでもなんでもなく届く方向に愛を投げてほしいというか…。
―たしかに、深い考え方を見せることは性的な対象として見られるAV女優さんにとってリスクの部分でもあるかもしれません
極端な話、この本を読んで『まこりんのこと中身まで好きだわ』って思ってくれる人がいたなら、その人の愛って相当で歪まないと思うんです。
そのまま受け取れるというか…そういう遠隔であってもキャッチボールがしたいです。
でも、もちろんそこまで求めてない人はシンプルにAV作品だけを見て喜んでくれればいいし、イベントで写真を撮ることに喜びを感じてもらって全然かまわないんですけど、もっと深くまで私のことを見たい、知りたいって思ってくれる人に選択肢を作りたいんです。
なんかそういう意味で年々、いろんな活動をしている気がします。
―でも中身を見せることってこわくないですか?
自分の中身を見せないって選択肢は、愛してもらうにはちょっと卑怯な気がしていて見せたほうがいいなって。
でもそれって、弱点を見せる行為でもあるんですよね。
『こいつ家もおかしいし、変なやつじゃん』ってつつける場所がたくさんあるんですけど、弱みを見せることって誰かと仲良くなるために大切なことで、この本を読んだ人とはもっと仲良くなれると思うし『こいつ無理!』って思ったら離れていく道しるべにもなるのでいいことしかないなって思います。
―本にも書かれているのですが、その考え方ってAVデビューを決めた経緯とも似てる気がします。先に全部見せちゃえばもうこわくないっていう…
そうかもしれませんね。
私、友達を作るのも下手でなかなかできないんですよ。
見せてない中身の部分を見せてしまうと嫌われるかもしれないって思って遠慮して接してしまうんです。歪んでるなって自分でも思うんですけど…。
AVデビューも、そのこと自体を美化する気持ちもないんですけど、裸をまずはじめに全部見せて、私の考え方とかも見せてしまって、それでも私のことを好きになってくれる人がいれば…って。これって、弱さゆえに世の中に記録として残していってる気がします。
だから本心をまったく見せずに活動していっている子は強いんだと思います。
憧れる部分もあるけど…でも私は、こういうやり方なんだろうなって。
そのほうが好きなんですよね。
―そういう考え方でAV女優活動をしている女の子って、まこりんだけだと思います。『まえむき人生相談』でも、いろんなリスクを先払いしてAV女優になったからにはその分まで絶対回収したい…と言っていましたね
私にとってAVに出る行為って、今の何倍ものお金をいただいたとしても回収できないものでそもそも価値を値段にでないものだと思っていて。
お金をもらったからといって、失ったものをすべて回収できると思ってないので、そうじゃなくてもっと精神的な経験とか、AV活動をしているっていう気持ちをバネにもっとやりたいことをやっていくとか、会いたい人に会いに行くとか、応援してくれるみなさんにもっと声を届かせるような活動をしていこうと思っています。この本も、たとえば私がブログに書くだけだったどんなにいい文章を書いてもごく一部の人にしか届かないものを、もっと多くの人に届くような拡声器を手に入れたようなもので。
AV女優なのに、こういうことを書いてるっていうのも届けばなんでもよくって、いい意味で利用していきたいし、心からやりたいことや、喜べる瞬間、経験の積み重ねを手に入れられるのであれば回収できるって思ってます。
―実際、今はAVに出演したリスクを回収できていると思いますか?
もうデビューして4年目になるんですけど、今も続けられているのは私の中で回収できてるって思っているからなんでしょうね。
奪われるもののほうが多ければ続けていけないと思うので。奪われるだけじゃなくて、得るもののほうが多いって思っているから続けられていると思うし…やっぱり今もすごく楽しいです。
―今も楽しんで活動できてるって聞けてホッとしました
撮影も楽しいですし、ほかの活動も楽しいです。いろんなことをやっていくたびに、さまざまな角度からいろんな人が見てくれて思わぬ発見があったり、たいしたことないって思ってたことや自分の嫌いだった部分を好きになってくれる人もいて。
大変なことももちろんあるけど、嬉しいことが多いので今日まで頑張れているんだなって思います。