SEXができると聞いて、目の色を変えない男など、男ではないだろう。いくら草食系と男子が揶揄される時代が来ようともそれは変わらない。挿入を知った男は、その痺れるような快楽の記憶を何度も味わいたいと願い、愛があろうがなかろうが、女にねだり続ける。
また挿入したことがない男ならば、それ以上の妄想が体中を走り抜け、下半身が滾り続けることだろう。彼らは女にねだることができないわけだから、暴発しそうな精子を抑えることができず、日々しごき、日々射精を繰り返す。しかし一度でもSEXをしない限り、その滾りを抑えることはできない。
女はSEXさせてくれと頼まれたとき、どのように思うのだろう。相手が自分好みの男だったならば、モラルで作られた結界を破壊してもSEXに応じるだろうか。人妻があらぬ道に踏み出す瞬間とはそういう意識に囚われてしまったのだろうか。
そして挿入されたことのない女はどうだろう。こじらせると言葉にするのは簡単だが、ある程度の年齢をすぎると、重い女だとレッテルを貼られ、男は側に寄らなくなる。責任を取ることが1番苦手だからだ。
SEXとは、摩訶不思議なまでに、本人の深い意識を他人の目の前に簡単に晒すものなのでしょうか。
呪
女の誘惑を疑いたくないけれど…
暑い夏の日は、人の心をザワザワとさざめかせる。快感が伴えば、なおさら幻惑に入って抜けられない。SEXをしたい思いが募った男女が出会ったのは、人気のまったくないアパートの一室。出会ったのは、本物の相手だったのだろうか。
「そこの部屋に入り、SEXができたならば勇者決定!」
とてつもなく暇が多くなってしまった今年の夏。いくらウイルスに世界中が汚染されていると言われても、ネトフリのゾンビ映画のように、目の前に惨劇が現れない限り気にすることはない。かといって、ファミレスにだらだらと前のようにいると、世間の目がもの凄い勢いで、ぼくらを攻撃してくる。クラスターならばまだカタカナでカッコいいけど、ばい菌扱いということだ。
家にいれば、うるさい親たちが仕事の合間に、「勉強はしたか?」とコンタクトをとってくる。いちいちLINEで入れてくるけれど、目の前にいるのに、どうして話かけないのだろう。今どきの親は子どもに気を使って大変なんだな。とはいえ、ノルマの課題があろうとも、リモートの時間以外、家にいるとき机になんか座りたくない。座れるやつらもいるだろうけど、それはそいつらの特技だし趣味だ。ぼくらは机に座ったら、スマホを弄りながら、セクシー女優の誰がどれだけ可愛いかとか、日向坂の誰それには地元に彼氏がいて、定期的に帰っているとか、くだらない話をしたいのだ。
親たちのウザいLINEを既読スルーしているとき、Yから送られてきたLINEの内容は、「3丁目のボロアパートの204号室に入ると、幽霊とSEXができるらしい」という、今どきのホラー映画だったら取り上げることもないレベルの怪談話だった。
Sは「えええ?マジ?ち●ぽが呪われないwww」。Uは、「童貞喪失が幽霊って信じてもらえなさそう!」とか、冗談混じりに盛り上がる。ただ、YのLINEは真剣に誘い続ける。
「そこでSEXした人はその後モテるようになるので、みんなで行こう」
LINEグループの中は、ぼくとYの、「行ってみよう派」と、SとUの、「勘弁してくださいよ」にわかれた。ぼくはとにかくこのとてつもない暇が解消できれば、幽霊に取り憑かれようが、童貞喪失させてもらおうがどうでもよかったのだ。Yは、童貞喪失に前のめりなのが文面から伝わってくる。
「SEXさせてくれるって言うけど、どんな相手なんだろう」と疑問を投げるSに対し、Yは、「噂では、乃木坂のYちゃんに似ている小さくて可愛い子」と即答してくる。ますます怪しい話になっているけれど、ぼくは、「それは時間帯は夜?昼?昼間でも抜け出しづらいのに、夜はますます無理だろう」と答える。リモート出社によって、1番自由がなくなったのはぼくらだ。酔っぱらったり、疲れ果てたりして、夜中に帰ってくる両親じゃなくなり、ずっと監視下に収まっている。
「昼間のほうが良いらしい。住人がいなくなっているから」と返信されたけど、このコロナ禍で、昼間にいなくなる住人って、どんなアパートなんだろうと思った。
そして、Yと一緒に、204号室に入る時間を、14時10分に設定した。昼間とはいえ丑三つ時くらいがいいんじゃないかという、オカルト好きなぼくの提案だった。
集合時間になっても現れないY。「そういうやつだよな……」とひとり言とも言い難いレベルで愚痴た後、部屋に行った。別段薄暗いアパートという感じではないそこからは、住人がいないような雰囲気の部屋も多く、「自分だったらどれだけ安くても住むことは無理」と確信のようなことを考えながら、204だけが残る扉の前に立ち、ドアノブをひねると鍵は開いていた。
部屋の中はかび臭いという感じもしない。引っ越した後そのまま。「なんだよ……」と言いつつ、ダイニングに横になる。そこは、大きな窓と対になる位置にも窓ガラスがある日をたくさん部屋に入る構造であった。自分が2人、3人、4人と幾重にも重なって見える。合わせ鏡のような状態になっている。自分を見ていたら、なぜか眠気が我慢できなくなり、そのまま眠りに落ちてしまった。
数分のち、目が覚めると横にいたのは、同じゼミにいるMちゃんだった。久しぶりの出会いがこんな場所?夢なのか??夢ならば鮮明すぎないか??
「こんなに会いたいなんて」と彼女は言った。
「えええええ!」とガチ声をあげると、人差し指を口元に指を当てて、「しー」のポーズを取るMちゃん。「会いたかったよ」と満面の笑みを浮かべてくれる。何も判断することができずに、ただただアワアワする。見知らぬ幽霊が出たほうがもっとはっきりした恐怖のリアクションとかができたことだろう。
「Yくんにお願いしたの」とMちゃん。これまで、ロンハーでいえば、仕掛ける側であって、仕掛けられる側の芸人では無いと信じていた自分の人生に、クエスチョンマークが入ってしまった。
「なんで……」という言葉をつぐんだのはMちゃんからのキス。恥ずかしい話、ファーストキスもまだだったぼくにとって、柔らかい唇の感触は激しい衝撃であり、ち●こが一瞬にして、フル勃起したのがわかる。さらにMちゃんから匂ってくる、シャンプーなんだろうか、いい匂いがさらに興奮を加速させる。
唇と舌とよだれが、お互いの口元をぬるぬるにしていく。大人の丁寧なキスなんかじゃあなくて、AVで観るような絡み合うようなキス。舌と舌を舐め合うので、Mちゃんのよだれの匂いが鼻にずっと入ってくる。目を開くとMちゃんは自分のことをジッと見つめている。
「いいの……」という、エロマンガに出てくる言葉を自分が言っているのは恥ずかしかったけれど、確認しないとそれは失礼だ。しかしこんなギンギンに勃起しているのに、こんなに冷静な部分もあるんだなと、我ながら関心していたのも事実だ。
キスした途端に、なぜかまた、眠気が蘇ってくる。なぜ?このタイミング?こんな大チャンスを逃すなんてあり得ない。しかしながら抗うことができずに眠りに落ちていった。キスのぬめっとした感触とよだれの香り。服の上から触ったおっぱいとブラジャーの混ざった感触。そしてパンツの中に指を滑り込ませ、じんわりと濡れているま●ことギンギンに勃起したち●こ。
目が覚めるとそこには誰もいない、引っ越ししたばかりのような部屋の中。突然、ノック音が響き、Yが入ってきた。
「ごめん、遅れちゃった!それで出た?」
「お前がMちゃんを呼んだんじゃないの?いないけど」
「何の話だよ、それ?」
会話の辻褄が全く合わないので、会話は止めて、噂通りの怪奇現象が起こらないかを夕方まで2人で待ち続けた。しかし、噂のような美女は現れることもなく、拍子抜けしたYと部屋を出た。
ぼくにはMちゃんとのキスして抱き合った感触が残っている。あれが本当なのか嘘なのか。新学期が始まろうと、学部ではリモートが推奨されるので、モニター越しでしかお互いを認識することはできないだろう。でも、あれが夢だとは思えない。
その後、別の女の子とキスをしたとき、あのMちゃんとの感触が蘇った。ただしよだれの匂いは別物。ということはやはりあのとき、Mちゃんとキスをしたのだ。我慢することができなくなり、イヤらしく最高に快感な白昼夢を呼ぶ、204号室にひとりで再び訪問した。そして眠りにつくと、目が覚めたときには、横にMちゃんが待っているのだろうか。本当にMちゃんなのだろうか。
204号室の窓ガラスは、合わせ鏡の構造になっている。その中を通り抜けることができるのは、摩訶不思議な存在だけ。ぼくの望んでいる濃厚なキスを味合わせてくれたのは得体の知れない何かの気まぐれだったのだろうか……。
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嬢
美しい女の誘いに乗っかる男。
誘われたら断ることを知らないのは男ではない。勃起したち●こが断らないのだ。自分の意思ではモラリストであっても、リアルに硬く反り返ったイチモツは、ザーメンをたっぷり放出しないと緩んでくれない。だから男はいけない関係に踏み出してしまうのです。
「私とSEXしない?」本当にストレートにその女はぼくに言った。
見た目はアイドルグループにいても不思議じゃないルックス。だけどぼくらの出会った場所は居酒屋でも合コンでもなく、平板な発音のクラブではなくて、大人たちが高いお金を出してまでいくクラブだった。Mちゃんはそこのホステス。ぼくはたまたま上司の勢いでその店に連れていかれただけ。たぶん、接待で使っているから一回くらいはプライベートでも落ちるのだろう。そして金額が毎回同じだと怪しまれるので、連れてこられただけ。ぼくの給料や仕事の立場では、2度と来ることはないと思われる。
「私ね、霊的な直感が鋭くて、パッと目があって閃いた人とSEXすると運気がアップするの」と含み笑いをしながら、SEXする説明をするMちゃん。アイドルのような顔だからなのか、一段と妖しさ、いやイヤらしさを感じさせる。
「1時にLINEしてね。お店が終わってもう外にいる頃だから」ここまで言われてすっぽかすほど、ぼくは草食系ではない。夜の銀座の街は明るいように思えるけれど、実は閉まっている店がほとんど。賑わいある大通りですら停車したタクシーのほうが目立つ。駅前まで戻り、見つけた喫茶店で時間を潰し、最後は街中をうろうろ歩き、1時きっかりにLINEを送る。既読が即ついて、「今、7丁目の信号のところにいるから来て」と返信。そこに行くと、ドレス姿とは違うカジュアルな雰囲気のMちゃんがいた。
タクシーの中、会話らしい会話をすることなく、彼女の家に到着する。ホステスをしているとはいえ、タワーマンションではない。セキュリティも含めて、それなりにしっかりしたマンションだった。
「ストーカーがね、ついちゃったから良いところに引っ越したの。おかげでホステス業にどっぷり」と笑うMちゃんは、指を近づけロックを解除した。エレベーターを降りて小綺麗なフロアの一室。部屋の中は荷物らしい荷物もなく、大きなテレビだけが目立つ。
「シャワーはSEXじゃないし、前戯に風呂場を使いたくないから待ってて」すたすたと風呂場に向かうMちゃん。ドキドキがないと言ったら嘘になる。あんなアイドルのような女の子とSEXするなんてそう滅多にあるものじゃない。しかしあの口ぶりだと、結構な男たちとSEXしてきたんだろうな。下手くそと嘲られたら立ち直れなくなりそうだ。とか、男らしい「余計な想像」をして逡巡していた。
「タオルは置いてある新しいの使っていいからね」バスローブ姿のMちゃんは、ドレス姿とも普段着とも違う色気を感じさせていた。あと数10分後のことを想像して、顔が熱くなる。自然な流れで抱き合い、舌を絡ませると、Mちゃんからベッドへと誘われた。
積極的に誘われたけれど、MちゃんのSEXは受け身で、クンニをすると恥ずかしがって身悶えし、フェラを望むと躊躇しながら舌先だけを動かす。「もっと口で咥え込んで」と懇願して初めて肉棒をしゃぶるような形になった。しかしま●この濡れ方は尋常ではなくビショビショ。弄るだけで手のひら全体が濡れるほど溢れ出てくる。しかし、挿入口はとても狭く、なかなか挿入できず、やっと挿入すると、「うん……」と小さな呻き声をMちゃんはあげた。
無我夢中でピストンをし、途中、お尻をこっちに向かせてバックで突く。恥ずかしがっていたMちゃんだが、バックでは一段大きな声で喘ぎ、悶え腰を拗らせ絶頂へと達していた。事後、外したゴムをよく見ると赤い液体が付いている……処女だった!横で眠っていると思ったMちゃんは、もういない。「鍵は郵送で3日以内に送ってください」とだけメモを残したまま。
衝撃を残すSEXをしたぼくは、どうしてもMちゃんともう一度だけ会いたいと思いを募らせた。覚悟を決めて知り合いに借金をして、あの店に行ってみた。Mちゃんの在籍を確認したら、「そんな子はホステスにはいない」と言われた。先輩と来た日のことを話すと、確かに自分はいたのだが、別の子が接客をしているという。愕然となっているところに、お店のママが教えてくれたのは、こんな話だった。
「七丁目の信号あたりのビルとビルの間の路地で自殺したホステスがいるんだよね。ホステスになったことを誤解されて死んだらしい。そのホステスの幽霊が出るんだ。ときおり新人ホステスに取り憑いて、恋人を探しているらしい」
再び愕然となって店を出て歩いていると、どこかわからないビルの間をさまよっていた。夜の銀座はビルが似ているから、電気が消えるともうどこかわからない場合があり、位置関係を見失いそうになる。
目を凝らすと、通りに面したビルの横に女が佇んでいた。「ねえ、SEXしない?」その女は、Mちゃんとは違う、髪が長い色っぽいタイプだった。が、その笑顔は記憶の中のMちゃんと同じ表情をしていた。
「次はもっと激しいプレイがしてみたいの……」女の口元が笑い、言葉が脳に響く。取り憑かれているはずなのに、ぼくのち●こはフルサイズに勃起して、SEXを望んでいる。
誰が見ているかわからない大通りに面した路上で、Mちゃんと濃厚なキスをし続けた。別の顔をしているけれど、キスして口元に漂うよだれの匂いは同じ。匂いの記憶によって、さらに硬く激しく勃起している。そのままビルの合間に2人で入っていき、愛撫もそこそこに、お互いにパンツを下ろし、バックで激しく腰を振り続けた。
膣内に放たれた濃厚なザーメンを、自分の指ですくいとり、イヤらしく、AVで観るような仕草でそれを舐めるMちゃんは、「生きてる精子っておいしいんだよ」と言いながらキスしてきた。自分の口の中に自分の精液を流し込まれても、そのまま激しくキスを続ける2人。よだれとザーメンが混ざった匂いは、Mちゃんから漂う心地よい香りと一致する。
ザーメンを放ちながらも、未だに勃起し続ける自分のものを、Mちゃんは笑顔で握りしめて、「もう一回しようよ……」と囁いた。
憾
激しくせつない思いが体を這い上がる…
SEXだけのことをずっと考える時期がある。10代思春期に周囲から影響を受けやすい子どもほど、SEXへの関心が高くなる。家庭内にあってもそれは同じで、今ならばPCからのエロ写真や動画閲覧。昔ならば父親が残していたエロ本やエロビの発見によって刺激される。母親の艶かしいランジェリーを発見して欲情してしまう子どももいるようだ。
霊的なものもまた、10代思春期にあって強烈に語られる話題のひとつ。つまりSEX的なものと、霊的なものは同期しやすい。感情の中に浸透して入り混じり、記憶を混乱させるほど鮮明になって、体験したものと同じような感覚に陥る。
幽霊とSEXをした経験話は、山ほど怪談に登場する。語る側も聴く側も、別の場所で同じようなシンクロニシティを経験して、SEXを印象付けていく。実際にSEXをすると自然にそういう記憶だけのリアルはスッと抜けていくのだが、最近の風潮で、童貞と処女が増加しているわけで、妄想が深くなり記憶から削られることがなくなってしまう。そういうタイプこそ、霊的な経験が多い人となる。
実体験がないのに、経験したことがあるかのように記憶するSEX。確かに童貞は射精するし、処女だって濡れる。SEXしているかのように体が反応することは可能である。しかし、腰を振った記憶は汗となり、匂いとなり記憶に刻まれている。今、あなたの隣にいる女子、彼女を見えているのはあなただけなのではないだろうか。
SEXしたい欲望が霊になり、霊を呼び寄せる。霊とSEXした人間の話は無尽蔵に語られて尽きることがない。ただどの話も一様に、自分もまた消えてしまい、ハッピーエンドを迎えていないのだけは共通している怪談話なのである。
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